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ボトムアップの改善の火を灯し続けろ!〜支援現場で学んだ、消えないための3つの打ち手〜 / 20...

ボトムアップの改善の火を灯し続けろ!〜支援現場で学んだ、消えないための3つの打ち手〜 / 20260509 Kazuki Mori

2026/5/9 Scrum Fest Niigata 2026
https://www.scrumfestniigata.org/

株式会社SHIFT
ふりかえり&アジャイルアバンジェリスト
森一樹(びば)

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SHIFT EVOLVE PRO

May 07, 2026

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Transcript

  1. Scrum Fest Niigata 2026 | May 9, 2026 | Main

    302 ボトムアップの改善の 火を灯し続けろ! 〜支援現場で学んだ、消えないための3つの打ち手〜 森 一樹(びば) @viva_tweet_x 株式会社SHIFT AIアジャイル開発部 ふりかえり&アジャイルエバンジェリスト
  2. 自己紹介 ふりかえりは、立ち止まり、よりよいやり方を見つけるために話し合い、行動を少しずつ変えていく活動です。 私はふりかえりを中心とした組織変革を行っています。ここにいるみなさんと一緒に、企業と日本を変えるため の対話をしていけたら、とてもうれしいです。 登壇歴・書籍執筆など RS GT、各地のスクラムフェス(新潟/金沢/三河/仙台/北海道/福岡/沖縄など) ふりかえりカンファレンス オーガナイザー(2020~2026) ふりかえりガイドブック/カタログ/チートシート/ナビ/チェックシート等の作者

    スクラムフェス新潟は初回より登壇し、ビジネスに直結するテーマを中心に話してきました 「ふりかえり手法を試そう!」 で始めるギャザリング体験 ~初めましての人あつまれ!~ 2025 Products Eye/愛 を生み出そう 2024 徹底的に自分たちのプロダク トを検査する『自分たちでデ モをしない』スプリントレ ビュー 2023 ビジネス x テスト。ビジネス のいろんな場所で活きる、ア ジャイルとテストのエッセン ス 2022 2026 ふりかえりで日本を変える、黄色いエバンジェリスト
  3. 打ち手① 翻訳する | 実例の解説 何が問題だったのか 1. スクラムの論理で話していた マネージャーには「コストをかけてスクラムの勉強会をする」にしか聞こえない 2. 問題と改善の「因果」が見えなかった

    属人化・レビュー遅延がプロダクト遅延の原因側にあることが伝わっていない 3. 投資規模が大きく、あいまいだった 「色んなチームで」という提案は、マネージャーに1人月という大きな決断を求めていた
  4. 打ち手① 翻訳する 「翻訳」できた瞬間、人は動く 伝わらない論理 伝えるべき論理 「インセプションデッキ、ペアプログラミング、カンバン…ワークシ ョップをしたいんです」 「全体で開発のスループットが落ちています。プロダクト開発の遅延が さらに広がるリスクがあります。実は1チームで1ヶ月やってみたところ 、課題認識が深まり改善の兆しが見えました。他の1チームにも横展開

    していきたいのですがよいでしょうか?」 3つの問題 解決策 - 自分のやりたい範囲の話をしていた - 問題との因果関係が見えなかった - 投資規模が大きく、あいまいだった - マネージャーの見ている世界の論理で話す - 問題とプロセス改善を「因果」でつなぐ - スモールスタートで判断ハードルを下げる
  5. 打ち手① 翻訳する 同じ「プロセス改善」でも、誰に話すかで切り口を変える 経営層 企業価値・キャッシュフロー・市場シェア 事業部長・VP 売上達成率・ロードマップ達成・平均受注率 開発MG・PM リソース効率・スケジュール・品質 プロダクトオーナー

    ビジネス価値・ユーザー満足度・スケール テックリード 技術的負債・4 keys・ADR 現場メンバー 働きやすさ・成長・ムダの削減 相手に合わせて翻訳する。それがスクラムマスターに求められる翻訳力。 相手の求める指標(KPI)はその場その場で考える必要があり難しい。 説得したい相手の「論理」を知る人と繋がったり、まず 指標を立てて「相談する」形で巻き込むやり方も重要。 指標は一回立てておしまいではない。毎回ふりかえりをして指標そのものも改善していく。 指標を達成することがゴールにならないように注意しよう。
  6. 打ち手② 巻き込む | 実例の解説 何が問題だったのか 1. 結果を「見せた」だけで、「体感」させなかった 部長はふりかえりを一度も体験していない。頭での理解だけでは、行動は生まれない 2. 部長に「コストのかかる依頼」を丸投げした

    「声がけしてくれ」は、相手に判断・実行の負荷をかける依頼。相手のコストを考えていなかった 3. 相手が「動く理由」を作れていなかった 部長の論理(生産性・成果・チームの変化)で語れていなかった。翻訳が足りていなかった
  7. 打ち手② 巻き込む 関係者を意図的に巻き込む まず、味方をひとり見つける - 決裁者でなくていい - 「関心を持ってくれている人」を探す - その人と一緒に関係者への説得材料を作りに行く

    小さな成功体験を「体感」させる - 報告ではなく、体感 - 体感させる前と後で、人は変わる - 体感の場を「設計」するのもスクラムマスター の仕事 雑に巻き込むのではなく、巻き込み方すらも設計しよう
  8. 打ち手② 巻き込む 体感の場を設計する 問題:「結果を見せた」だけだった 取るべきアプローチ 「部長から声をかけてもらえませんか?」 「アクションはこんな感じなんですけど」 「部長に来ていただけるとチームの士気も上 がります。そして部長に是非、ふりかえりの 場を一度体感いただきたいんです。私が感じ

    ていることを、部長にも知っていただき、広 げ方を一緒に考えていただけると嬉しいです 。」 場の空気・チームの変化はドキュメントから 伝わらない。必要だったのは理解ではなく 体感。 ふりかえりを事前に仕込む いつもの120%の効率・効果を「魅せる」 部長への事前ブリーフィング 期待値を事前に論理化して渡す
  9. 打ち手③ 仕組み化する | 実例の解説 何が問題だったのか 1. 中堅メンバーひとりが「エンジン」になっていた テーマ選定・資料作成・進行のすべてを中堅メンバーひとりが担っていた 2. 5回続いた

    ≠ 習慣になった 成功体験があっても、仕組みがチームに内製化されていなかった 3. 離れる前に「設計」を渡していなかった 「もう大丈夫」の判断が、仕組みの移管より先に来てしまった
  10. 3つの打ち手 改善の火を消さないための3つの打ち手 ① 翻訳する 現場の論理を関係者の論理に 変換する - KPIは活動の前に設計する - 「因果」で問題とつなげて語る

    - 誰に話すかで切り口を変える ② 巻き込む 関係者を意図的に巻き込む - まず味方をひとり見つける - 体感の場を設計する - 巻き込み方すらも設計する ③ 仕組み化する 個人の熱量を仕組みに変換す る - 無理せず継続可能な形をつくる - 次回の設計とふりかえりを組み込む - 自分事になる動機付け
  11. 改善活動のロードマップ 改善活動のロードマップ 打ち手① 翻訳する 打ち手② 巻き込む 打ち手③ 仕組み化する STEP1. 小さく始めて事例を作る

    自分が動ける範囲でまず動いてしまう。 うまくいかなければそっと閉じる。 STEP2. 成果を周囲へ「魅せる」 KPIは事前設計。巻き込むための材料を収集する。 STEP3. 上層部を巻き込む 味方になってくれそうな人を一人探す。定期的に ふりかえって再計画することを計画に入れる。 STEP4. 興味のある層を巻き込む 施策を少しずつ手渡ししていき、成功体験を作る 。 STEP5. 仕組み化して広げる 手上げ制からある程度の強制力を持たせた仕組み へ。ふりかえりとセットでゴールを更新し続ける。
  12. 改善活動のロードマップ 小さく動く。そして、魅せる。 STEP 1 小さく始めて事例を作る ← 打ち手① • 周囲に相談すると、その時点で止められることがある •

    自分が動ける範囲で、まず小さく動いてしまう • うまくいかなさそうなら、そっと閉じる(撤退基準も最初に決めておく) STEP 2 成果を周囲へ「魅せる」 ← 打ち手① • どんなKPIを取るのかは事前に設計しておく • 巻き込むための材料を事例の結果から収集する
  13. 改善活動のロードマップ 味方を増やし、仲間を広げる。 STEP 3 関係者を巻き込む ← 打ち手② • 材料が足りなくても、味方になってくれそうな人を探す •

    その人と一緒に、関係者への説得材料を作りに行く • 定期的にふりかえって再計画することを計画に盛り込む
  14. 改善活動のロードマップ 最後に、仕組みにする。 STEP 4 自分に依存しない仕組みを作る ← 打ち手③ • これまでの活動を周囲に伝え、興味のある人を探す •

    施策を少しずつ手渡ししていき、成功体験を作る STEP 5 仕組み化して広げる ← 打ち手③ • 手上げ制の次は、ある程度の強制力を持たせた仕組みへ • ふりかえりとセットにしてゴールを更新し続ける 3つの打ち手のストーリーは、このロードマップの中にすべて包括されます
  15. まとめ 明日から始められる打ち手の3つ ①翻訳する 相対する関係者の論理で語れるように する。 KPIは活動の前に設計して、都度 改善。 小さく動く。 そして、魅せる。 ②巻き込む

    味方をひとり見つけて、一緒に材料を 作る。 体感の場を設計するのもあなた の仕事。 味方を増やし、 仲間を広げる。 ③仕組み化する 熱量に依存しない状態を意図的に作る。 自分がいなくても回る設計が、最後の 仕事。 最後に、 仕組みにする。
  16. さらに先へ 実際には、この先にも道がある ⑤ 自分以外が改善活動を行 えるようにサポートする ⑥ 自分以外が自律的に改善 活動を行える土壌を作る ⑦ 自組織・部下たちが改善

    活動を行える土壌を作る ③の次に何が来るかはあなたのシチュエーション次第。 この内容は別講演での発表を待つか、私と会話しましょう!
  17. みんなが気になる部分 理屈はわかるけど、どこから始めればいいの? Q. 相手の求める論理や指標がわかりません。 A. それをわかる人を探して相談してみましょう。まず指標を立ててみて、相手に「相談する」形で巻き込む。 最初のKPIは正しくなくて当たり前。KPIの改善自体を計画に組み込みましょう。グッドハートの法則を念頭に! Q. 声がけしても味方になる人が見つかりません。 A.

    チャットでlike・メンションしてくれる人にDMで直接声をかけてみましょう。 「やってもらえませんか」ではなく「一緒にやりませんか」「助けてください」と伝えましょう。 Q. 仕組み化をどこから手を付ければいいかわかりません。 A. 「無理なく継続できる」「誰かのスキルに依存しない」ように小さく始めて3回続けましょう。 型ができたら新しいメンバーをペアワークで巻き込み、バトンをどんどん渡していきましょう。