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コピーする深圳から、コピーされる深圳へ -「深圳速度」を生み出すエコシステム-

コピーする深圳から、コピーされる深圳へ -「深圳速度」を生み出すエコシステム-

第1章:
現在の深圳の立ち位置、実力 ~世界を争うクラスのR&D企業~

第2章:21世紀になり「イノベーション」の意味が変わる    ~メイカームーブメント、オープンソース~

第3章:
コピー品から自社ブランドへ ~ムーブメントを利用し、コピー企業から進化~
第4章:
We are part of Shenzhen ~深圳の一部となる~

TAKASU Masakazu

April 08, 2018
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Transcript

  1. 深圳の人口構成: (縦軸は合わせたけど、横軸は人口が違うので単位が違う、割合をみてください) 高齢者率2% 20代が大半、30代と合計して65%を占める 今も中国各地から移民してきて、帰っていく 深圳2010: (出所)日本総研大泉啓一郎氏提供 (原出所)『広東省2010年人口普査資料』 0 500,000

    1,000,000 1,500,000 0-4 5-9 10-14 15-19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80-84 85-89 90-94 95-99 100+ 男性 (千人) (歳) 0 500,000 1,000,000 1,500,000 女性 (千人) 深圳男 深圳女 東京男 東京女 60歳ライン 20歳ライン 東京2015: 統計メモ帳 https://ecitizen.jp/Population/PrefPyramid/13
  2. 自動運転バス 開発チームに聞く • この自動運転バスには、LIDER(光の点で測距する技術)やカメラによるセンシング、人口知能による SLAM(自己位置推定、まわりの環境地図作成)など、最先端の技術が投入されている。もちろん何をどう 使っているか具体的には言えないけど。 • とはいえ、今の最先端の技術を導入しても、人間のように運転できるわけではない。本当に人間並みに なるのはいつかまだわからないし、「人間並み」というのがどういう状態かもまだもやもやとしている。 •

    この実験道路は本当に公道で、けっこう普通のクルマも走る。路上駐車もある。今も実験には気をつか う。 • もちろん実験なので、実際に道を走らせている時間よりも調査開発をしてる時間の方が長い。何度も来 ればそのうち動いているのを見られる、ぐらいのレベルだと思う。 • このためにバス停や、QRコードによって指定バス停に止まるシステムも作っていて、実際に動作するが、 一般人を乗せて運行する予定はない。今のところVIPや正式な取材、そしてもちろん実験のために使っ ている。 • 実験をやっていれば事故が起こることもあるし、手戻り(問題が生じて作業をやり直すこと)することもあ る。深センはそういう実験を、たとえば北京に比べるとやりやすいのがありがたい。 • 北京だと、「まず失敗しない」段階まで仕上げてからでないと実験さえできないが、深センでは現段階で の実験でできる。うまくいかないことまで含めて、実験から得られるものはたくさんある。
  3. お金を出してくれるのもメイカー ロバート T モリス 世界で最初にインターネット上で増殖するウィルス(ワーム)を作り、アメリカでサイバー犯 罪を取り締まる法律ができたときの、最初逮捕者になる。 その後グレアムと一緒にViawebを設立 ポール グレアム 伝説的なプログラマ

    作家としても有名で、著書に「ハッカーと画家」 世界で最初のサーバサイドサービスであるViawebを設立 (後にYahooに売却しYahoo Shoppingとなる) 成功したメイカーが、若いメイカーにお金を出資(ビジ ネスの手助け)する仕組み 「わかる人」に「わかる人」がお金を渡す
  4. イノベーションを支える投資モデルの進化 「スタートアップアクセラレータ」の誕生 ・企画書ベース ・数千万~数億円で始める ・リーダーはゼネラリスト ・数年単位の投資計画 ・⾧期にわたる計画 ・マーケットの見込みがあることをやる ・先に動くプロトタイプがある ・数百万円で始める

    ・リーダーはエンジニア ・大規模化(スケーリング)はあとから ・⾧期計画でなく、Agile(機敏) ・成功する見込みはわからない 既存の投資モデル スタートアップの投資モデル -多数決/合議制(数字ベース) -ヒット商品の後追い -今あるマーケットの開拓 -直感ベース -多産多死 -まるで漫画家やロックバン ドへの投資
  5. ハードウェアイノベーションの民主化 アイデアのみで製造0のドリーマーは、Web のチュートリアルやキットが入手できる クオリティの足らないモノしか作れない プロトタイプメーカーに、 3Dプリンタなどのデジタル工作機械 発明はできるが量産できない大学教授 などに、量産請負サービスが 1000個単位での製造に必要なコストと マーケティングが、クラウドファンディン

    グで 宣伝・販売などのサプライチェーンが、 オンラインとSNSベースに -Seeedstudio 製 品 製 造 ロ ッ ト ソフトウェアに比べると設備も初期投資も必要なため、20世紀スタイルの研究開発(専門 家=大メーカー中心)だったハードウェアのイノベーションが民主化されつつある
  6. 20世紀的なprofessional 科学技術イノベーション的 21世紀的なMAKERS 社会実装イノベーション的 Idea/R&D/ Prototype 大学や大企業の研究所 インターネットやコミュニティで 学び、作る Produce

    会社の企画部が企画し、 技術部門が作る ホビイスト達がコミュニティで作 り、評価しあう Promotion 広告代理店を使って宣伝、 プロのセールスマンが売る クラウドファンディングなどで、 愛好家が発明を大きくする ソフトウェアと同じく、 ・大学の研究室で細々とやってた ・ガレージでやってた趣味が嵩じた 人たちが、スタートアップを起こしてハードウェア企業になる ガレージからのハードウェア
  7. ソフトウェア開発 ハードウェア開発 課題 開発環境 ・オープンソースのソフト ・パーソナルコンピュータ ・オープンソースのハード ウェア ・デジタル工作機械 プロトタイピングに関するハードウェア

    はオープンソース化されているが、量 産品の情報はオープン化されていない スケーリング (大規模化) ・クラウドコンピューティング ・EMS(製造請負企業) 発注できるようにはなったが、まだ「誰 でも手軽に」とは言えない スタート時の 資金調達 ・アクセラレータ ・アクセラレータ ハードウェアのほうがスケール時に資 金が必要 マーケティング ・SNS ・コミュニティ ・SNS ・コミュニティ ハードウェアのほうは、大規模になる ほど実店舗とのつきあいがある ハードウェアスタートアップは大規模化に課題がある ハードウェアのスタートアップは、ソフトウェア(Web)に比べて大規模化が難しい。 Dropboxは2017年にクラウドサービスから独自のサーバー群に移行したが、つまりそれぐらい 巨大化するまでクラウドコンピューティングの利用が可能だった。 比べてハードウェアは、数千個単位の量産から、手探りでEMS工場達とつきあわなければなら ず、大規模になるとオンライン販売以外も必要になる。 その要素を埋めるために深圳が登場してきた。 深圳が必要とされている部分
  8. 代表的なプレイヤー 「深圳発→世界のイノベーション」Seeed 2008年~深圳で創業。創業者はEric Pan、社員もだいたい中国人 世界(主に欧米。近年まで中国語のサイトはなかった) ・オープンソースの開発ツールの販売 ・個人が自分のコンピュータで設計した基板データをオンラインで受注し、現物をおくる 「クラウド基板製造サービス」を展開 ・個人の発明家のアイデアを自社で請けおい、製造販売する 「世界から深圳へ」HAX

    2012年~シリコンバレーで創業。アメリカのVC SOSVの傘下。社員は世界中から集まってい るが欧米人が多い。深圳に開発ラボをもつ、世界最初のハードウェア専門アクセラレータ。 ・世界中からハードウェアの企画を持ち込むチームを集め、2000件の応募から半年ごとに 15組の起業家を選考 ・中国深圳のラボで111日間の開発を行う。
  9. 20世紀型の製品開発がすべてなくなったわけではなく、 「数値でわかる世界最高性能」を目指す、大企業中心の世界は今も存在しているが、 コンシューマが買うハードウェアは数値で判断されないものが増え続けている 20世紀には、そもそも大組織しかイノベーションを起こせなかったので、これまで注 目されてこなかった 伝統的な製品開発 科学技術イノベーション的 コミュニティベース 社会実装イノベーション的 team

    大きい組織が承認ハンコを集めな がらつくる 小さい組織がagileにつくる Focus 数値で評価され、機能的 感覚的でセンスの善し悪しで判断 される Customer 自組織のボスor会社外の消費者 自分たち Typical Product 機能的な製品や、 CCD、抵抗、マイクロチップといった コンポーネント ガジェットや、自分たちのための プロトタイピングツール
  10. 深圳独特のIP管理システム, 公開(Gongkai) 資料はMIT研究員のAndrew Bunnie Huang著「The Hardware Hacker」(2017)の、 Gongkai Innovation章から。同書籍は高須の翻訳にて2018年出版予定 知財は単一の所有者をもち、知財に対して金銭を

    受け取るのが西洋・日本のIPモデル 知財が商品に付随し単体で流通しない (モノを買うと知財がついてくる)のが深圳のIPモデ ル 知財とセットで販売される公板(GongBan) 1枚から、量産可能な数千枚単位まで販売され、製品 化に必要な部品リスト、ソフトウェア、データシートも添 付される チップセットメーカーの周辺にあるデザインハウスが製 造するほか、EMSが不正に流出させることもある。同様 の外装プラスチック 公模(GongMo)も存在する
  11. 長谷川先生 東工大 HAXにアプライ -深圳観察で分かったことは、ソフトウェアだけでなく、ハードウェアもオープンな市場 で流通してしまえば、オープンソースソフトウェアのようにコミュニティができてどんど ん進歩していく -ある考えを広めるための方法として、論文や著書や講演は良い方法だと思います が、これだと自分で事業はできません。会社で働くと手出しはできるが考えられず、 起業すると両方できるけど一つのことに集中せねばなりません。 -起業家が成功した後どうするのかに興味も持っていませんでしたが、アクセラレー

    タになって多くの事業に関わるというやり方を今回初めて知りました。 起業家はプレゼンしている場合ではない、プロトタイプを作るために時間を使うべき だという言葉には、日本は技術者と経営が乖離していると感じている身には羨まし い限りでした。 -また、(大当たりする)ユニコーンのことは忘れよう、投資家はコックローチを探すべ きときだという言葉にも感激しました。小さな発明でも小さく事業化して社会に還元し ないともったいない、先進国(深圳を含む)はそこもやらないと、と近頃思っていたの で、意を得たりと強く同意しています。 深センのスタートアップ環境を見学して受けた衝撃について(2016/05,第5回)
  12. ニコ技深圳コミュニティのミートアップ in 深圳 深圳を象徴するメイカー達が集まる PCBオールスター Seeed Eric Pan Swie Benji

    Elecrow Javaran Switch Science 金本茂 Maker Faire Xian Annie Maker Faire Shenzhen Eric Maker Faire Calgary Hoover Maker Faire Singapore 高須 JENESIS 藤岡 Bunnie Huang
  13. 「作りたいものを作る」日本のDIYマーケット、 同人ハードウェアは大きく拡大中 スイッチサイエンス 委託販売実績 この4年で5倍近くに 日本の同人誌の売り上げ総計に比べるとまだ0.1%未満 Maker Faire Tokyoの入場者数はコミケの5%ぐらい つまり、日本の同人ハードウェア市場は、まだまだ伸びる。

    もしコミケの2%だとすると、今の20倍伸びる 日本の製造業はまずいかもしれない。日本のハードウェアス タートアップはCESで存在感ないかもしれない。 日本の同人メイカーは世界で大人気で、市場はこれからだ。