Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

良いチームを作るためのふりかえり(アジャイル レトロスペクティブズ)

ため
January 07, 2024

良いチームを作るためのふりかえり(アジャイル レトロスペクティブズ)

「ふりかえり」が強力なチーミングの手法である、ということを示した書籍「アジャイルレトロスペクティブズ」のまとめです。

ため

January 07, 2024
Tweet

More Decks by ため

Other Decks in Business

Transcript

  1. 4 わたしは 紹介 為安 圭介(ためやす けいすけ) 札幌市在住のITエンジニア 仕事 企業向けWebシステムやスマホアプリ開発 資格

    認定スクラムマスターとかプロマネとか 著書 『強いチームを作るためのたった66の方法』『1200日の朝会で学んだたったひとつのこと』 『自分のことを朕と呼んだらチームが変わった』『ブレイブ・プロジェクトマネジメント』等多数 ・・・だと良いな https://www.facebook.com/keisuke.tameyasu
  2. 11 ふりかえりの効果 ◼ 生産性の改善 ◼ 技術スキルの向上 ◼ 品質の改善 ◼ チーム関係の改善

    ◼ 問題解決力の向上 ◼ 予見できない効果 技術の改善 チームの改善
  3. 14 時間 ふりかえりの所要時間は、目標と複雑度により定める。 複雑度を上げる要因 • 衝突や意見の対立 • イテレーションやプロジェクトの長さ • 要素(人数、技術、他Gとの関係、チーム構成)

    所要時間 • 1週間のイテレーション→15分で十分 • 1ヶ月のイテレーション→最低でも半日 • 3ヶ月のプロジェクト→1日を標準に複雑度で増減 • 失敗プロジェクト→1~2日、場合によってそれ以上 • 衝突や意見の対立を抱えるチーム→1時間×数回に分ける
  4. 19 1.場を設定する 概要 何をすべきか これから行う作業に集中するための準備作業 • 目的を口に出して再確認する • タイムボックス、目標、進め方を決め、話し合える環境と心構えを作る •

    チームみんなが「価値」と「約束」を共有する 考え方のポイント 場の設定を飛ばしたり「節約」してはならない。 チームの価値と約束によって、会話や相互作用が生産的に保たれるから。 Stage1
  5. 20 1.場を設定する 手法 ① フォーカスオン・フォーカスオフ 望ましい形作りのためのマインドセットを確立する チームの価値基準 質問 > 主張

    会話 > 口論 受容 > 防御 対話 > 議論 成果 > 役割 現在 > 過去 未来 > 現在 [やり方の例] ・事前にフォーカスオン・フォーカスアウトの 用語を書いておき、チームで用語の意味に ついて議論する。 ・生産的なコミュニケーションと非生産的な コミュニケーションのパターンについて 共通認識を得る。 Stage1
  6. 21 1.場を設定する 手法 ② チームの約束(Work Agreements) 生産的な議論のための行動様式を確立する 今回の約束事 ・携帯はマナーモード ・会話中携帯を見ない

    ・タイムキーパに従う ・必ず1度発言する ・約束事を見直す場合 は挙手で申し出る [やり方の例] ・事前にフォーカスオン・フォーカスアウトの 用語を書いておき、チームで用語の意味に ついて議論する。 ・有効なテーマについて3~7選択する。 [ポイント] ・全員が納得するものにする。 ・具体的な行動であり判断できるものにする。 ・見直しのルールを入れる。 ・多いと覚えられないので、最大7つまで。 Stage1
  7. 23 2.データを収集する 概要 何をすべきか 様々な観点から情報を得る • イベント(ミーティング、マイルストーン、何らかの決定等) • メトリクス(コード量、障害数、問題解決率、改善提案数) •

    以上、客観的な事実と感情的な事実を集める。 考え方のポイント データを得る目的は、共通の理解を得るため。共通の理解が無いと、個人の意見 や信念が正当化されやすくなる。 データを集めることで、チームの視野が広がる。 Stage2
  8. 24 2.データを収集する 手法 ① タイムライン 作業の履歴やイベントを並べ、多くの観点を基に作業の全体像を作り上げる … [やり方の例] ・重要なイベントやタイトルをリーダが書き、 その後はチームメンバが書き込む。

    ・付箋紙を渡しておくのも有効。 ・色分け(感情、テーマ、イベント種類等)に より気づきの観点を増やす。 ・内容を全員で参照し、気づきを得る。 Stage2 [ポイント] ・様々な視点が重要であることを理解する。 ・必ず「事実」と「感情」のデータを含める。 … … … … … ◦◦フェーズ ◦◦フェーズ … … … … … ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・
  9. 25 2.データを収集する 手法 ② カラードットコード/喜怒哀楽 感情をカラードットシールにして表現し、感情の観点で議論する … [やり方の例] ・事前に、色のルールを決めておく。 ・タイムライン上にカラードットコードを

    表現する。 ・その内容について議論する。 Stage2 … … … … … ◦◦フェーズ ◦◦フェーズ … … … … … ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・
  10. 26 2.データを収集する 手法 ③ 強みを見つける チームの強みを特定し、次にそれを活かせるようにする。 [やり方の例] ・チームメンバ同士でインタビューを行い、 良かったポイントを出し合う。 ・良かったポイントを作り出した原因や状況を

    議論し、理解する。 Stage2 良かった点 その原因と状況 [ポイント] ・このアクティビティは、チームの状況が 停滞している場合にでも有効に働く。 ・特に良かった点は、必ず掘り下げ、 原因を特定する。
  11. 27 2.データを収集する 手法 ④ 満足ヒストグラム チームの満足度を見える化する。観点の違いを認める。 [やり方の例] ・テーマを決める。 ・満足度の定義を行う。 ・フリップチャートを用意し、テーマごとに

    満足度を投票する。 Stage2 プロダクト品質 [ポイント] ・このデータは蓄積し、次のプロジェクトや イテレーションで確認することで、改善の 推移を確認できる。 5 4 3 2 1 顧客とのやり取り 5 4 3 2 1
  12. 29 3.アイディアを出す 概要 何をすべきか 収集した情報を基に、みんなで改善のアイディアを考えていく • 成功へと繋がる強み、状況、原因 • 相互作用、パターン、欠点やリスク •

    以上をチームメンバで調査し、改善のためのアイディアを出す 考え方のポイント リーダが取りまとめるのではなく、チーム実行の主体たるメンバが中心と なり、 アイディアを出すことが重要。 Stage3
  13. 30 3.アイディアを出す 手法 ① ブレーンストーミング ブレスト。 [やり方の例] ・みんな知ってる通り・・・だが、以下が大事。 ・チームで意見のフィルタ条件を2~4決める。 ・出てきた意見をフィルタリングする。

    ・全てのフィルタを通過した意見を、次の ステージへ移す。 [ポイント] ・意見を出す方法を考える。発言のみにすると、 声の大きい人の意見だけが残る。 ・時間を有効に使う方法(付箋等)を考える。 Stage3 ブレストガイドライン ・量にこだわる ・編集しない ・ユーモア ・クリエイティブ ・判断、評価は最後に。 ・見える化。
  14. 31 3.アイディアを出す 手法 ② ドットによる優先度付け 1人あたり10dotでアイディアに投票。 [やり方の例] ・優先度1に4dot、2に3dot、3に2dot、4に 1dotとし、アイディアの横に貼ってもらう。 ・優先度の高いアイディアについて更に議論を

    深める。 ・チームで実施したい内容について合意する。 [ポイント] ・投票は科学的ではない。科学的にしない。 ・必要なのは、チームが支持する決定。 みんなが実行しなくては意味がない。 Stage3 アイディア 1.勉強会の実施 2.ペアプログラミング 3.良いコードの実践 4.詳細設計工程の廃止 5.レビュー期限の短縮 6.簡易会議椅子の導入 7.レビュープロセス定義 8.総合テスト計画
  15. 32 3.アイディアを出す 手法 ③ テーマの特定 アクティビティ「強みを見つける」から得た内容を議論し選別する。 [やり方の例] ・「強みを見つける」アクティビティの後、 いくつかの強みから、共通のテーマや 説得力のあるアイディアを見つける。

    ・見つけたアイディアを更に詳細化する。 [ポイント] ・全ての問題を列挙して解決策を見出す やり方とは逆。 ・強みを見つけ、更にそこからより強力な テーマを見つける。 Stage3 共通のテーマ ・~ができている ・~についてのノウハウ ・~部分のチームワーク ・毎日実施している~ ・~と~が保有するスキル ・~のやり方 ・~の時~が出来ていた 強みリスト
  16. 33 3.アイディアを出す 手法 ④ 学習マトリックス 4つの観点でデータを分類し、重要な課題を見つける。 [やり方の例] ・データを以下の観点で分類する ・笑顔:良かったこと、続けたいこと ・悲顔:変えたいこと

    ・ ! :新しいアイディア、技術 ・Thank you:感謝したい人 ・ドットで投票し、優先付けリストを作る [ポイント] ・できるだけ慣れ親しんだ言葉で表現 ・書ききれなくなったらもう写真を取り継続 Stage3 (^^) (T_T) Thank you ! ・ ス ケ ジ ュ ー ル 遅 延 0 ・ バ グ 0 ・ チ ー ム ワ ー ク ・ ふ り か え り 実 施 ・ 歓 迎 会 実 施 ・ ビ ル ド エ ラ ー ・ 単 体 バ グ が 結 合 工 程 で 発 生 ・ リ フ ァ ク タ リ ン グ で き ず ・ リ ー ダ 負 荷 上 昇 ・ ◦ ◦ 処 理 改 善 の 方 法 ・ 工 程 入 れ 替 え ・ 他 チ ー ム レ ビ ュ ー ・ ◦ ◦ 役 割 の 見 直 し ・ ◦ ◦ か ら ◦ ◦ へ ・ ◦ ◦ か ら ◦ ◦ へ ・ ◦ ◦ さ ん が ~ ・ ◦ ◦ さ ん が ~
  17. 35 4.何をするか、決める 概要 何をすべきか 試みや改善リストから優先付けを行い、次の活動で実施するものを決める • 試みや改善リストから上位の項目を1~3程度選択する。 • 何をすべきかを計画する。(リーダは支援し、メンバが計画する) 考え方のポイント

    リーダがコミットするのではなく、チーム実行の主体たるメンバが中心と なり、 タスクに個人でコミットする。 (でないと、「チーム」が実施すると思い込み、誰もやらない) Stage4
  18. 36 4.何をするか、決める 手法 ① 計画ゲーム 改善計画を詳細化し、タスクに分解する。 [やり方の例] ・改善計画を成功させるためのタスクを、 チーム全員で洗い出す。 ・洗い出しは個人かグループで行う。

    ・結果を複数人で修正、削除、統合する。 ・結果をホワイトボード等に張り出す。 ・実施する順番を決める。 ・各タスクに個人がサインアップする。 改善計 画 Stage4 タ ス ク 内容 備考 実施者 1 2 3 4
  19. 4.何をするか、決める 手法 ② SMARTな目標 明確に計測できるアクションを作る。 [やり方の例] ・計測できる目標の重要性について簡単に 理解を深める。 ・下記の目標を作るようにする。 S…Specific(明確な)

    M…Majorable(計測可能な) A…Attainable(達成可能な) R…ReLevant(適切な) T…Timely(タイムリーな) S M A R T G o a l Stage4 明確な目標は達成率が 高い S…Specific(明確な) M…Majorable(計測可能な) A…Attainable(達成可能な) R…ReLevant(適切な) T…Timely(タイムリーな)
  20. 38 4.何をするか、決める 手法 ③ 質問の輪 改善について、チームメンバがお互いの意見を聞く [やり方の例] ・チームメンバが輪になって座り、横の人に 改善に関する質問をする。 ・終わったら次に同じことを繰り返す。

    Stage4 [ポイント] ・サイクルは1~2週程度。ただしサイクルは 最後までまわすこと。 ・このアクティビティは、チームメンバが お互いの意見を聞く必要がある際に実施する。
  21. 39 4.何をするか、決める 手法 ④ 短い話題 多様性の気づきを得る。 [やり方の例] ・スキームを選択し、アクションを洗い出す。 ・Keep/Drop/Add ・Keep/Problem/Try

    ・喜/怒/哀 ・Stop/NewStart/Keep ・継続/統合/リファクタリング ・アクションの中から優先度付けを行い、 やるべきことを特定する。 Stage4 テーマ Keep Problem Try [ポイント] ・このアクティビティだけでは、チームに 豊かなアイディアは出てこない。
  22. 42 5.ふりかえり、終了する ① プラス/デルタ 今以上にやるべき強みや、次のふりかえりで変更することを見つける [やり方の例] ・今回のふりかえり自体について、 ・次のふりかえりで続けたいこと(+) ・変えたいこと(⊿) をそれぞれ書き出す

    ふ り か え り の プ ロ セ ス 改 善 Stage5 + ⊿ [ポイント] ・このアクティビティの時間には、ふりかえりの リーダは相当疲弊している。 ・意見を受け入れすぎないよう、上位1~2つ に絞って提案を選別する。 手法
  23. 43 5.ふりかえり、終了する 手法 ② 感謝 チームでお互いに感謝し合い、ポジティブにふりかえりを終了する [やり方の例] ・今回のふりかえりやプロジェクトで、みんなの 貢献に対して感謝を述べる。 Stage5

    [ポイント] ・感謝は強要ではない。 声に出すのが苦手な人もいることを理解する。 ・任意で、1つでも発生すれば、それは 「有り難い」ことであることを共通認識とする。