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紅海からの代替調達について考えてみる

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April 04, 2026

 紅海からの代替調達について考えてみる

最近、国民民主党の山田先生が「ホルムズ海峡を通らない中東からの原油輸入ルート」として、「サウジ東西パイプライン」と「UAEアブダビ-フジャイラPL」のお話をされていました。お話の内容としては、バル・エル・マンデブ海峡を守ることも重要、というご指摘だったのですが、そもそもこの代替ルートでどの程度の確保ができるのか、考えてみました。

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April 04, 2026

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Transcript

  1. エグゼクティブサマリー ホルムズ海峡封鎖下における代替パイプラインの日本への実効寄与度 日本に必要な量 日本全体 :270万バレル/日 うち中東分 :254万バレル/日(94%) うちホルムズリスク分 :約230万バレル/日 ←

    代替対象 代替能力の算定 理論値 実行制約 日本振向け(30%) サウジ 700 UAE 180 合計 880 400 117 (港湾処理上限、タンカー不足等) (実行制約の30%) 残存ギャップ ホルムズリスク分230万 ­ 日本振向け117万 = 残存ギャップ113万バレル/日 対応策の方向性 短期:国家備蓄放出・IEA協調 | 中期:非中東調達拡大・タンカー確保 | ⾧期:脱中東 依存・再エネ移行 スライド2 スライド3~6 スライド8
  2. 日本の原油調達の現状 2025年実績:総輸入量1億3,718万kL、中東依存度94% 中東依存度94%の内訳 UAE:43%(日本企業が権益保有・自主開発) サウジアラビア:39%(2017年ピーク比▲28%) クウェート:6% カタール:4% ▸ うちホルムズ海峡経由:約90% ▸

    非中東(米国4%・その他4%):8% 日本の石油需要と不足分 • 総需要:日量約270万バレル • 中東依存分(94%):約254万バレル/日 • ホルムズ封鎖による影響分:約230万バレル/日/日 • 現状備蓄:254日分(国家+民間)
  3. 代替パイプラインの能力評価 サウジEAPL vs UAEパイプライン:理論値と減損要因 評価軸 サウジ東西パイプライン (EAPL) UAEアブダビ- フジャイラPL ①設計能力

    (理論値) 500~700万バレル/日 (2本合計、2026年3月フル稼働達成) 150~180万バレル/日 ②減損要因 • ヤンブー港処理上限: 400~450万バレル/日 • 既存輸出:110~140万バレル/日 • フジャイラ貯蔵能力制約 • 既存契約コミットメント • インフラ老朽化 • フジャイラ港稼働率71% ③実効期待値 (①-②) 約400万バレル/日 (世界市場への追加供給可能量) 約100~140万バレル/日 (増産・迂回余力) 出所:Bloomberg、Kpler、三井住友DSアセットマネジメント(2026年3月)
  4. 実行可能性制約 能力発揮を阻害する物理的・商業的制約要因 物理的制約 タンカー調達能力 • VLCC(超大型タンカー)不足 • ヤンブー向け25隻確保も不十分 • チャーター料金:記録的高騰

    航路距離延⾧ • ペルシャ湾直行:6,500マイル(20日) • 紅海経由:+1,200マイル(+3日) • 喜望峰迂回:+5,000マイル(+30日) 港湾荷役能力 • ヤンブー港:上限400~450万バレル/日 • フジャイラ:貯蔵タンク容量制約 • 24時間操業でも限界あり 商業的制約 既存契約の硬直性 • ⾧期契約(中国・インド向け) • 日本向け即時振向け困難 • 契約変更の交渉コスト 市場競合の激化 • スポット市場の流動性不足 • アジアプレミアム急騰 • 中国・インドとの競合 保険・金融コスト • 戦争リスク保険料:25~50%上昇 • Lloyd's引受能力限界 • 日本船社3社がホルムズ通過停止
  5. 中東石油インフラと代替ルート ホルムズ海峡封鎖下における2本の代替パイプライン 代替パイプラインの配置 【サウジ東西パイプライン(EAPL)】 ペルシャ湾岸(アブカイク)→ 紅海(ヤンブー) 全⾧:約1,200km 能力:700万バレル/日(2026年3月フル稼働) ヤンブー港処理上限:400~450万バレル/日 【UAEアブダビ-フジャイラパイプライン】

    ハブシャン油田 → フジャイラ港(オマーン湾) 全⾧:約360km 能力:150~180万バレル/日 稼働率:約71%(日量約150万バレル/日) 航路距離・日数比較 ペルシャ湾直行(通常ルート) 約6,500マイル | 片道20日 紅海経由(ヤンブー) 約7,700マイル | 片道23日 【代替①】フーシ派リスク フジャイラ経由(UAE) 約6,200マイル | 片道19日 【代替②】最短・最安全 出所:出光タンカー、商船三井、Bloomberg、中東調査会 現在封鎖中
  6. 日本への実効果:ギャップ分析 ホルムズリスク分に対する代替能力と残存ギャップの定量評価 ホルムズリスク分(代替対象) 約230万バレル/日 日本の中東依存分254万バレル/日 × ホルムズ経由率90% = 約229万バレル/日 代替能力(理論値

    → 実行制約 → 日本振向け30%) (単位:万バレル/日) 残存ギャップ 約113万バレル/日/日 ホルムズリスク分230万バレル/日 ­ 日本振向け117万/日 = 残存ギャップ113万バレル/日 その他、追加考慮が必要なリスクあり →次スライド 理論値 実行制約 日本振向け(30%) サウジ 700 UAE 180 合計 880 400 117 港湾処理上限、タンカー不足等の 実行可能制約あり (実行制約の30%) 約117万バレル/日
  7. 追加考慮が必要なリスク ホルムズ海峡・代替ルートに関連する地政学的・インフラ・市場リスク ホルムズ海峡 関連リスク • イラン海峡完全封鎖の⾧期化(機雷敷設・砲撃) • 保険市場の機能不全継続(Lloyd's引受能力限界) • 日本船社の運航再開条件(安全確保・保険復活)

    • クウェート・カタールLNG輸出の完全停止 代替ルート インフラリスク • サウジパイプラインへのテロ攻撃(2019年油田攻撃の再来) • ヤンブー港・フジャイラ港の処理能力限界 • フーシ派による紅海ルート攻撃能力の拡大 • UAEルワイス製油所の稼働停止(ドローン攻撃実績あり) 代替調達 市場リスク • アジア需要急増(中国経済回復・インドとの競合激化) • 米国SPR放出余力の限界(4億バレル規模も時間稼ぎ) • VLCC・スエズマックスのチャーター料金高騰継続 • スポット市場の流動性不足によるアジアプレミアム上昇
  8. 対応策の方向性 短期・中期・⾧期の3層構造による残存ギャップ解消戦略 短期対応 (即時~3ヶ月) • 国家備蓄の戦略的放出判断(民間備蓄との協調) • IEA協調放出への参加(4億バレル規模の可能性) • スポット調達の機動的拡大(米国・西アフリカ・ブラジル)

    • 価格補助金・激変緩和措置の継続 中期対応 (3ヶ月~1年) • 非中東産原油の調達拡大(米国シェール・豪州・西アフリカ) • タンカー⾧期傭船契約の締結(VLCC・スエズマックス) • 代替エネルギーへのシフト加速(LNG・再エネ・原子力再稼働) • 戦略的パートナーシップ強化(産油国・IEA・ASEAN) ⾧期対応 (1年以降) • エネルギー安全保障戦略の根本的見直し • 脱中東依存のロードマップ策定(目標:中東依存度50%以下) • 水素・アンモニア等次世代燃料への移行 • 国内エネルギー自給率向上(再エネ・蓄電・省エネ)