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2025年度ICT職専門研修(海外派遣研修)報告書 No.1

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2025年度ICT職専門研修(海外派遣研修)報告書 No.1

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  1. Yuko Kogure 報告内容 Agenda 2025年度 東京都ICT職専門研修「海外派遣研修」 2 1.研修概要 ① 研修スケジュール・渡航先

    ② 研修テーマ・目的 2.実施内容 ① Service Design Global Conference 2025 • イベント概要 • ワークショップ参加レポート • セッション聴講レポート ② Salesforce • 企業概要 • ヒアリング訪問レポート ③ San Francisco City • 都市概要 • San Francisco Digital & Data Servicesヒアリング訪問レポート • サンフランシスコ市内視察レポート ④ Microsoft • 企業概要 • ヒアリング訪問レポート • レドモンド市役所見学レポート ⑤ New York City • 都市概要 • New York Office of Technology and Innovation(OTI) ヒアリング訪問レポート • ニューヨーク市内視察レポート 3.総括 Power Pointストック画像「ニューヨークの街並み」
  2. Yuko Kogure 1.研修概要 2025年度 東京都ICT職専門研修「海外派遣研修」 3 Dallas, Texas San Francisco,

    California Redmond, Washington New York, New York 研修期間:2025年10月14日(火)~29日(水)16日間 渡航先:アメリカ合衆国(4都市) 同行メンバー(東京都ICT職): •一般財団法人GovTech東京派遣 デジタル事業本部デジタルサービスグループ 涌田 椋也 •一般財団法人GovTech東京派遣 テクノロジー本部テクニカルグループ 佐藤 瑠璃 •デジタルサービス局 DX協働事業部デジタル手続推進課 村松 かんな 研修スケジュール: 日付 場所 内容 10/14(火) 移動 東京国際空港羽田→ダラス・フォートワース国際空港 10/15(水) テキサス州 ダラス Service Design Global Conference 2025 ※15日はワークショップ参加 10/16(木) 10/17(金) 10/18(土) 移動 ダラス・フォートワース国際空港→サンフランシスコ国際 空港 10/19(日) カリフォルニア州 サンフランシスコ 休日 10/20(月) 市内視察、訪問準備 10/21(火) Salesforce訪問 10/22(水) 市内視察、訪問準備 10/23(木) San Francisco市訪問 移動 サンフランシスコ国際空港→シアトル・タコマ国際空港 10/24(金) ワシントン州レドモンド 市内視察、Microsoft訪問 10/25(土) 移動 シアトル・タコマ国際空港→ジョン・F・ケネディ国際空港 10/26(日) ニューヨーク州 ニューヨーク 休日 10/27(月) ニューヨーク市訪問、市内視察 10/28(火)~29(水) 移動 ジョン・F・ケネディ国際空港→東京国際空港羽田 研修概要 SDGC2025 (イベント) Salesforce (IT企業) San Francisco City (行政機関) Microsoft (IT企業) New York City (行政機関) 総括 New York Redmond San Francisco Dallas 研修スケジュール・渡航先 アメリカ合衆国 地図
  3. Yuko Kogure デジタルツールの 導入・活用 1.研修概要 研修テーマ「行政におけるデジタル・AIを活用した業務効率化・組織変革の国際事例研究」 2025年度 東京都ICT職専門研修「海外派遣研修」 4 研修へ参加した背景・目的:

    東京都ICT職は、デジタルツールやAIの知見を先取りして実践し、東京都各局および区市町村 における「新しい働き方」への移行を牽引・支援する役割を担っている。デジタルツールの導入およ び活用を推進するにあたっては、技術的・制度的な基盤整備や職員のリテラシー・スキル向上、継 続的な改善と現場からのフィードバックに加え、組織としての「マインドセット」や「組織文化の醸 成」が不可欠であると考えている。 こうした観点を踏まえ、本研修では単に新技術の活用方法を学ぶだけでなく、組織文化そのもの を変革していくためのグローバルな視点・戦略・設計思想を直接吸収することを目的とした。これに 関する日本の行政DXの現場に還元可能な知見を獲得し、行政DX推進における本質的な課題 と可能性を見極めたいと考えた。 ヒアリング内容(例): 1. 行政DXの「マインドセット」と「カルチャーづくり」について – (行・企)文化や制度、職員のマインドセットや組織文化の違いが行政DXにどのような影響を与えていると捉えているか。 – (企)貴社が支援した行政DXプロジェクトの中で、成功につながったマインドセットや組織文化の特徴はなにか。 – (企)アジア地域における行政DXの傾向について、どのような特徴があると捉えているか。 2. デジタルツールの行政活用と組織変革について – (行・企)行政機関におけるデジタルツールの活用事例で、特に組織改革や職員教育、自治体間連携に効果があった取り組み はあるか。 – (企)貴社が理想とされるデジタルツールの活用モデルを実現している都市はあるか、またどのような成果が出ているか。 3. 生成AIとAIエージェントの行政活用について – (行・企)生成AIとAIエージェントをどのように行政業務に活用しているか(サービス提供しているか) – (行)自律的に判断・動作するAIエージェントが活用しているか。 – (行)今後の行政業務におけるAIエージェントの役割や可能性についてどのように考えているか。 本研修における訪問先: 左記目的を達成するため、訪問先としては世界各国の行政機関に対し、業務効率化や組織 変革を支援するツール・ソリューションを提供してきた実績を持つ企業を選定した。これらの企業は、 顧客支援に先立ち自社内でもAI活用やマインドセット改革に取り組んでおり、行政DXを外側から 支える立場としての知見を豊富に有している。こうした視点は行政DXにおいても不可欠であり、東 京都の今後の取組に大いに参考になるものと考えている。 また、海外都市のデジタル推進部門とも意見交換を行い、行政組織としてのデジタル推進体制 や文化醸成の在り方について、国際的な視点から理解を深めた。 技術的・制度的 な基盤整備 職員の リテラシーと スキル向上 マインドセット 変革 組織文化の 醸成 継続的な改善と フィードバック 研修概要 SDGC2025 (イベント) Salesforce (IT企業) San Francisco City (行政機関) Microsoft (IT企業) New York City (行政機関) 総括 New York Redmond San Francisco Dallas 小暮が考える 行政のデジタルツール 導入・活用に必要な要素 ※行・・・行政機関向け、企・・・企業向け
  4. Yuko Kogure Service Design Global Conference 2025 2025年度 東京都ICT職専門研修「海外派遣研修」 6

    Service Design Global Conference(SDGC)は、Service Design Network (SDN)が主催する世界規模の年次カンファレンスであり、サービスデザイン分野における最新の 知見や実践事例を共有することを目的として、毎年異なる都市で開催されている。 基調講演、ワークショップ、セッション、パネルディスカッション、ネットワーキングなど多様なプログラム で構成され、サービスデザイナーをはじめ、企業のイノベーション担当者、行政・公共部門関係者、 研究者など、国や分野を超えた参加者が集う国際的な交流の場となっている。サービスデザインの 理論と実践を結び付け、組織や社会における活用の可能性を広げることを目指すイベントである。 開催日:2025年10月15日(水)~17日(金) 会場: 【ワークショップ】各ワークショップ指定のオフィス 【カンファレンス】The Pavilion At Toyota Music Factory(トヨタ・ミュージック・ファクトリー) (300W, Las Colinas Blvd., Irving, TX 75039 アメリカ合衆国) 参加者: サービスデザイナー、ストラテジスト、UX/UI専門家、イノベーション担当者、公共組織関係者など、 業界横断的なプロフェッショナルが対象 内容:ワークショップ、セッション、スポンサー企業展示 開催形式:初日にワークショップ、2・3日目はセッション(現地+オンライン)の3日間構成 主催者:The Service Design Network(SDN) イベント概要 The Service Design Networkとは? Service Design Network(SDN)は、2004年に設立されたドイツ・ケルンを拠点とする非営利の国 際ネットワーク組織である。サービスデザインの専門性と価値を世界的に発展・普及させることを目的と し、企業、行政、教育機関、デザイナーなど多様な分野の実務者を結ぶグローバルコミュニティを形成し ている。 国際会議やローカルイベントの開催、専門誌の発行、教育・認定プログラムの提供、ケーススタディや 知見の共有などを通じて、サービスデザインの理論と実践の両面から分野全体の成熟を支援している。こ れらの活動を通じ、組織や社会におけるサービスデザインの活用とその社会的インパクトの向上を目指し ている団体である。 参加の様子(小暮・同行者撮影) 研修概要 SDGC2025 (イベント) Salesforce (IT企業) San Francisco City (行政機関) Microsoft (IT企業) New York City (行政機関) 総括 New York Redmond San Francisco Dallas
  5. Yuko Kogure Service Design Global Conference 2025 2025年度 東京都ICT職専門研修「海外派遣研修」 7

    テーマ「Journey Management for Business Transformation: Aligning Agile Projects Through Customer-Centric Design」は、顧客中心の変革を進めるためのジャー ニー・マネジメントと、ジャーニーマップの作り方・運用の考え方をまとめたワークショップ。講義のあとは、 「空港体験」を題材にグループに分かれて作図する演習も実施した。 開催日時:2025年10月15日(水)9:00~12:00 会場:Slalom Office (5430 Lyndon B Johnson Fwy # 1200, Dallas, TX 75240 アメリカ合衆国) 参加者:ベトナム、日本、メキシコ、コロンビア、ブラジル、カナダなど世界各国のサービスデザイナー。 (またはサービスデザインに関わる人) 内容: ◼ 良いジャニーマップの条件 • 思い込み(assumption)ではなく調査(research)に基づくのが理想。 • 定量(what)+定性(why)の組み合わせが重要。(定性の例:インタビュー、観察、 シャドーイング、共創ワークショップ等) ◼ Journey Managementの考え方(静的→動的) • 従来の“貼り物”の静的マップは、共有しづらく、すぐ古くなる。 • Journey Managementでは、更新・共有・共同編集できる「動的なブループリント」として扱 い、CXダッシュボードのように組織横断でつなぐ。 ◼ 意思決定につなげるための“運用の型”(KPI/JPI+優先順位付け) • KPIは“NPS一本化”等、単一指標に寄せない。体験指標と事業指標を混ぜる。 • Journey Performance Indicator(赤・黄・緑)で各ジャーニーの健康状態を一目で示 す。比較と会話の起点になる 感想: ワークショップの講義はユーモアを踏まえ要点が羅列されており、知見として持ち帰りやすい解説内 容だった。実際にジャーニーマップを描いてみる演習の題材は「空港」にいる様々なシーンを切り取っ ていたので、実体験としてイメージしやすいもののマップに落とし込むべく構造化して言語化しようとす るとなかなかアイディアが出てこなかった。 ワークショップ参加レポート ワークショップのグループメンバーと 休憩中に雑談していた様子が イベント公式Xに掲載されました! 参加の様子(小暮・同行者撮影) 研修概要 SDGC2025 (イベント) Salesforce (IT企業) San Francisco City (行政機関) Microsoft (IT企業) New York City (行政機関) 総括 New York Redmond San Francisco Dallas
  6. Yuko Kogure Service Design Global Conference 2025 テーマ 「Step into

    the future of design with this talk on ‘agentic systems’ – where AI agents are reshaping user experiences and blurring the lines between traditional design roles.」 「エージェント的システム(agentic systems)」に関するこのトークで、デザインの未来へ踏み出そう。AIエージェントがユーザー体験を再構築し、従来のデザインの役割との境界をあいまいにしていく世界 内容: 1.生成AIとAIエージェント(agentic systems)についての定義・特徴 • 生成AIは主に“コンテンツ生成”と“逐次タスク実行”の道具として考え、結果を編集する前提で 人がプロンプトを与える。 • AIエージェントは自律性を持つエージェントの集合体。知覚し、推論し、行動し、学習し、複数 の行動候補を評価できる。マルチステップで動き、進捗を監視し、一定の独立性を持つ点が特 徴。 2.「AIと働く」= 人がエージェントをマネジメントする • “everyday people will become agent managers” という見立てがあり、人の仕事は AIを用いた業務の「目標設定」「意図の指定」「監督」になる • 意図したタスクをさせるため、エージェントが自律的に動く前提で、振る舞いの境界条件としての “採点基準”と“禁止事項”を渡しておく。 • エージェントを部下や協働者に近いものとして扱い、何を学んで、何をしようとしているかを人が 把握し続ける運用(定期的な1on1)をする。 3.信頼・透明性・ガバナンス(AIエージェント時代の論点) • 信頼は「正確さ」だけでなく、透明性(どこからデータが来たか、何が起きているか見える)が重 要 • ガバナンス面では、出典の明示、トレーサビリティ(経路を追えること)、バイアス検知の基盤が 必要 2025年度 東京都ICT職専門研修「海外派遣研修」 8 “人々がうまくマネジメントできるよう支援しよう — ・目標を設定し ・プロセスを形づくり ・優れた成果を達成するために” Speaker Shelley Evenson seeSpace Ltd セッション聴講レポート “エージェントシステムは従来の生成AIとどう違う?。” SDGCの様子(小暮撮影) SDGCの様子(小暮撮影) 画像出典:SDGCのホームページ 研修概要 SDGC2025 (イベント) Salesforce (IT企業) San Francisco City (行政機関) Microsoft (IT企業) New York City (行政機関) 総括 New York Redmond San Francisco Dallas
  7. Yuko Kogure Salesforce 企業概要 2025年度 東京都ICT職専門研修「海外派遣研修」 9 企業名: Salesforce, Inc.(旧称:salesforce.com,

    inc.) 所在地: 【本社】Salesforce Tower (415 Mission St, San Francisco, CA 94105 アメリカ合衆国) 企業紹介: • クラウド型CRM(顧客関係管理)を中核とするクラウドサービスを提供する米国発のテクノロ ジー企業 • 営業・カスタマーサポート・データ分析・アプリケーション開発等を統合的に提供するプラットフォー ムを有し、ノーコード/ローコードによる迅速な業務アプリケーション構築を可能としている。 • セキュリティ、可用性、拡張性を前提としたクラウド基盤を提供しており、グローバルに多様な業 種・規模の組織で利用されている点が特徴である。 公共分野における事業展開: ◼ Public Sector Solutions(PSS) • 行政のワークフローをデジタル化し、住民・事業者等を中心としたデータの一元管理を可能にす る統合プラットフォーム。 • 事前定義されたデータモデル・プロセス・ユーザー体験・分析機能を備えており、導入後すぐに行 政DXの取り組みを開始できる点が特徴である。 • 給付管理(Benefit Management)、コンタクトセンター管理(Contact Center Management)、職員ポータル(Employee Experience)、助成金・事業者管理など の業務を効率化する。 ◼ Agentforce for Public Sector • 行政の問い合わせ対応や案件管理の効率化、不正検知、データ分析などに活用できるエー ジェントAI。 • Public Sector Solutions 上に構築されており、公共分野特有のデータモデルやプロセスに 対応している。 訪問の様子(小暮・同行者撮影) 研修概要 SDGC2025 (イベント) Salesforce (IT企業) San Francisco City (行政機関) Microsoft (IT企業) New York City (行政機関) 総括 New York Redmond San Francisco Dallas
  8. Yuko Kogure Salesforce ヒアリング訪問レポート 2025年度 東京都ICT職専門研修「海外派遣研修」 10 訪問日時:2025年10月21日(月)11:00~18:00 訪問場所:Salesforce Tower

    参加者: 【東京都】 • 涌田、小暮、佐藤、村松、通訳者 【Salesforce社】 • Ben Aultさん(Senior Director, Public Sector Solution Engineering) • Zach Nandapurkarさん(Public Sector, Lead account, Solution Engineering ) • 福島さん(Public Sector Sales, Account Executive) • 久保さん(Salesforce Innovation Center, Senior Manager) 実施したセッション • 11:00~12:00 Welcome and Connection • 13:00~15:00 Salesforce public sector Overview ➢ How we Attract & Solution Overview • 15:10~17:00 Case study&Demonstration ➢ Introducing San Francisco ➢ AI Solutions ➢ The State of California • 17:10~18:00 Rap up ➢ Investing in San Francisco ➢ Government cloud ➢ Q&A ヒアリング内容: 1. Salesforceから行政DXの「マインドセット/カルチャー」に関する提言 • 「AI導入は人の働き方を変える」ので、職員の声を初期から入れることで現場の理解と参加 を得ながら進める文化やチェンジマネジメントが成否を左右する • 政府・公共部門はトップダウンより合意形成型であり、「成功事例を聞くことがインスパイアに なりやすい」ので、都市同士が成功事例を学び合うことが有効 • 小さな成功を積み上げてスケールさせるべき 2. Salesforce社製品の行政活用と組織変革 • Salesforceは単一業務ツールではなく、住民対応を横断的に支える基盤としてニューヨークや ロサンゼルスなどの大規模自治体で、全庁・基幹業務・住民向けサービスに広く採用されている • カリフォルニア州政府において10年以上にわたり、80以上の部局・200超のアプリケーションで 使われている • アメリカの複数都市の「311サービス」においてSalesforceが住民からの通報情報のハブとして 機能することにより、オペレーターの案件管理や事務処理が効率化され、住民への返答時間も スピードアップした。 3. Agentforce(AIエージェント)の行政活用 • 「311サービス」の24時間即応対応と人員縮小の現実を踏まえ、AIエージェントが問い合わせ 対応やケース起票・分類・通知・タスク設計を自動化し、職員が判断と現場最適化に集中で きる体制を目指している • 「311サービス」における画像解析により住民が通報する情報の入力を削減し、分類・件名生 成・要約・通知・解決タスクまでを自動化して、職員が「事務処理」から「問題解決」へ時間配 分を移行させるサポートを行っている The 311 Serviceとは? アメリカで都市が運営する、市民が緊急を要しない通報や行政サービスを依頼し、市情報にアクセスで きるデジタル窓口。緊急用911回線の混雑防止に寄与し、24時間オペレーターが対応する。基盤には Salesforceが多くの都市で採用されている。 訪問の様子(小暮・同行者撮影) 研修概要 SDGC2025 (イベント) Salesforce (IT企業) San Francisco City (行政機関) Microsoft (IT企業) New York City (行政機関) 総括 New York Redmond San Francisco Dallas
  9. Yuko Kogure 都市名:サンフランシスコ市,カリフォルニア州 面積・人口:約121㎢、約83万人 サンフランシスコ市政について: • 正式名称: サンフランシスコ市郡政府 (City and

    County of San Francisco)​ • 設立: 1856年に市と郡の機能が統合され、現在の行政基盤が確立。 • 職員数: 約34,000人以上 (住民一人当たりの職員数が全米トップクラス)​ • 部署数: 約60の部局 (各部局の独立性が高い「連合的」な組織構造)​ 訪問先(San Francisco Digital & Data Services)について: • 市のデジタル・IT機能を司る2つの主要部門のうちの1つ ① 技術局 (Department of Technology - DT) 職員向けの「守りのIT」を担当(インフラ、セキュリティ、内部システム)。約260人体制。 ② デジタルサービス課 (San Francisco Digital Services - SFDS) 市民向けの「攻めのIT」を担当(サービスデザイン、UX改善)。約50人体制。 • SFDSは、市全体で200以上のウェブサイトが存在し市民にとって使いにくいバラバラな行政 サービスを解決するため、2017年に設立された。 • 特定の部局(例:技術局)に属するのではなく、市の管理者直下に置かれており、市長や 各部局のトップと直接連携できる強い権限を持つ • プロダクトマネージャー、デザイナー、エンジニアなどで構成される専門家チームが、各部署を支援 する形で市全体のデジタル改革を進めている。 San Francisco City 2025年度 東京都ICT職専門研修「海外派遣研修」 11 都市概要 Dallas, Texas San Francisco, California Redmond, Washington New York, New York 東京都23区合計 面積・人口: 627.51㎢、約988万人 面積は東京23区合計の方が約5.2倍広い 人口は東京23区合計の方が約12倍多い カリフォルニア州 地図 San Francisco Digital & Data Servicesの主な取り組み 1.市民中心の統一サイト「SF.gov」: 200以上あったウェブサイトを、市民の目的別に再構成した単一の窓口へ統合 2.デザインの標準化: 市全体で一貫性のある品質の高いサービスを提供できるよう、「DESIGN SYSTEM」を公開 3.市民参加の徹底: 常に市民テスターを募集し、実際の声をサービス開発に反映させる仕組みを構築 4.生成AIの活用: 全職員にAIアシスタントを導入し業務を効率化する一方、責任ある利用のための厳格なガイドライン を策定 都市の特徴: ✓ アメリカ西海岸を代表する港湾都市で、シリコンバレーに近く、市 内にテック企業の本社・拠点が多数存在。 (本社がある企業として、Salesforce、Uber Technologies、 Airbnb、Dropbox、Adobe等) ✓ 坂の多い地形と霧に包まれる独特の気候が特徴的。 ✓ 主な観光地として、ゴールデンゲートブリッジ、アルカトラ ズ島、チャイナタウン、フィッシャーマンズワーフ等がある。 Power Pointストック画像 「ゴールデンゲートブリッジ」 研修概要 SDGC2025 (イベント) Salesforce (IT企業) San Francisco City (行政機関) Microsoft (IT企業) New York City (行政機関) 総括 New York Redmond San Francisco Dallas アメリカ合衆国 地図
  10. Yuko Kogure San Francisco City San Francisco Digital & Data

    Servicesヒアリング訪問レポート 2025年度 東京都ICT職専門研修「海外派遣研修」 12 1. 庁内DXの「マインドセット/カルチャー」 • サンフランシスコ市組織内では、新しい取り組みに対して前向きな人と否定的な人がいる。否 定的な反応の背景に、時間・人員への制約感がある。 • 市の職員の多くは良い公共サービスを提供したい意欲がある。一方で、職員同士のコミュニ ケーションと、市民(外部)に向けたコミュニケーションは切り替えが必要 • 米国の政府では、技術を内製するより外部から購入する傾向がある (その結果、エンジニアやPdMが不足すると調達もうまくいかない、という問題意識がある) 2. デジタルツールによる業務効率化/組織変革 • 市公式サイトSF.gov構築ではサイト横断的に「問題報告」を受け付ける仕組みを用意。 • 影響度(Critical等)の定義を明確化し、改善優先度を共有して対応を行っている。 3. 生成AI・AIエージェントの行政活用 • 庁内には生成AIを導入しているがその利用率は20%ほど。 • AIエージェントの本格運用は検討段階。クローリングで使ってみる案が出ている。 • AIスクレイパー等によるアクセス増加を背景に、LLM.txt等の活用や専門家との協議など、AI エージェント時代のWeb対応を検討している。 • 「構造が強固でコンテンツが明確であるほど、内製か外部製かを問わずAIツールにとって有利」 という前提が共有されており、これを踏まえた情報設計の重要性が示されている。 4.サンフランシスコ市の組織体制 • 市公式サイトSF.govのデリバリーチームには、コンテンツデザイナーやプロダクトマネージャーなど 多様な役割が参加している • サンフランシスコでは、政府職員約35,000人のうちICT関連のチームは約350人規模 • 米国の政府機関は「内製より購入(buy)」に寄りがちで、それが技術人材が少ない構造と も関係している、という問題提起がある • 技術職の採用は政府プロセス上難しい。職務分類(job classification)が古く、実際の 職務と公式な職名が一致しない問題がある。分類の見直しが必要 訪問日時:2025年10月23日(木)11:00~13:00 訪問場所:San Francisco Digital & Data Services (1 Van Ness Ave 2nd Floor, San Francisco, CA 94103 アメリカ合衆国) 参加者: 【東京都】 • 涌田、小暮、佐藤、村松、通訳者 【San Francisco Digital & Data Services】 • Cyd Harrellさん(Civic Technologist) • Rebekah Ottoさん(Digital Services Delivery Director​) • Amy Martin​さん(Digital Services Project Manager implementing SF‘s Accessibility and Inclusion Standard​) • Eddie McCaffrey​さん(Director of the Committee on Information Technology​)Mariela Taylorさん、ほか計8名(記念写真+途中退席者) 実施したセッション: • 11:00~11:15 自己紹介 • 11:15~11:40 東京都・GovTech東京の取り組み説明(東京都) • 11:40~12:00 サンフランシスコ市の取り組み説明(サンフランシスコ市) ➢ 「Building accessibility into our workflow」 ➢ 「Getting digital accessibility right from the start - Creating accessible SF.gov pages and documents -」 • 12:00~12:50 意見交換 • 12:50~13:00 オフィス案内 訪問の様子(小暮・同行者撮影) 研修概要 SDGC2025 (イベント) Salesforce (IT企業) San Francisco City (行政機関) Microsoft (IT企業) New York City (行政機関) 総括 New York Redmond San Francisco Dallas
  11. Yuko Kogure DEAF SERVICES CENTER (ろうサービスセンター) サンフランシスコ公共図書館 サンフランシスコ公共図書館 では、ろう・難聴者の情報アク セスを制度として保障するため、

    アメリカ手話対応の専門スタッ フが常駐する「Deaf Services Center」を設置し、通訳・字幕 支援や専門資料提供を行ってい る。 自動運転自動車Waymo(ウェイモ) サンフランシスコ市全体 ▪運転手がいなくても走る自動運転自動車 • 360°監視:高性能センサー・カメラ・LiDAR (ライダー;レーザー光を 使って周囲の距離や形状を高精度に測定する技術)で周囲を常時監視し、 最大約300m先まで3Dで描写。 • AI解析:収集データをAIが解析し、人間の目では見落とす死角や信号誤 認にも対応。 • 高精度検知:過去10年の開発・データ蓄積により、夜間や雨天でも遠方 の物体を検知可能。 ▪自動運転にするメリット • AIによる即時制御:カメラやセンサーで集めたデータを解析し、ブレーキ・加 速・車線変更を瞬時に反映。膨大な走行データをもとに複雑な交通状況で も最適な判断。 • 事故リスク低減:人間だと起こりうる疲労や注意散漫等がなく安全運転を 実現。サービス提供エリアでは交通事故による死傷者数が減少。 ▪日本でのサービス展開予定 一般向けサービスは未開始。東京都の一部の地域で実証実験中。 公共交通MUNI(ミュニ) San Francisco Municipal Railway サンフランシスコ市全体 公共交通機関MUNIは、市内全 域をカバーするバス、路面電車、地 下鉄区間、歴史的ストリートカー、 ケーブルカーといった複数の交通手 段を提供している。通勤・通学など 市民の日常的な移動から観光客の 移動までを担う、市内交通の中核的 存在。 チケットは現金、モバイルア プリ、交通系ICカードなどで購 入可能。 豪華絢爛 サンフランシスコ市役所 サンフランシスコ市役所は、巨大な ドームを持つ歴史的建築で、市政の 象徴であると同時に、結婚式や公式 行事の会場としても市民にも開かれ た公共空間である。 館内には婚姻手続きを扱う 2025年度 東京都ICT職専門研修「海外派遣研修」 13 後部座席にあるモニター 運転席 San Francisco City サンフランシスコ市内視察レポート 東京都ICT職として、公共施設やデジタル技術を活用しているサービス等に着目し市内を視察した。 County Clerk な どが置かれる一方、 住民票や税・福祉 といった行政手続 きは主に別施設や オンラインで提供さ れている。 研修概要 SDGC2025 (イベント) Salesforce (IT企業) San Francisco City (行政機関) Microsoft (IT企業) New York City (行政機関) 総括 New York Redmond San Francisco Dallas 訪問の様子(小暮撮影) 訪問の様子(小暮撮影) 訪問の様子(小暮・同行者撮影) モバイルアプリ画面 乗車の様子(小暮撮影) 画像出典:Waymoウェブサイト
  12. Yuko Kogure Microsoft 企業概要 2025年度 東京都ICT職専門研修「海外派遣研修」 14 企業名: Microsoft Corporation

    所在地: 【本社】Microsoft Corporation (One Microsoft Way, Redmond, WA 98052-7329,アメリカ合衆国) 企業紹介: • クラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」を中核とし、業務アプリケーション、コラボレーション、 データ分析、AI 等を包括的に提供する米国発のテクノロジー企業。 • Microsoft 365、Dynamics 365、Power Platform などを通じて、業務プロセスのデジタ ル化からアプリケーション開発までを統合的に支援しており、ローコード/ノーコードによる迅速な 業務改善を可能としている。 • 高いセキュリティ、コンプライアンス、可用性を前提としたクラウド基盤を提供しており、公共機関 を含むグローバルな組織で広く利用されている点が特徴。 公共分野における事業展開: ◼ Microsoft 365(公共分野向け活用) • メール、ドキュメント管理、オンライン会議、チャットなどのコラボレーション機能を統合的に提供す るクラウドサービス。 • 行政職員間および関係機関との情報共有や業務コミュニケーションを効率化し、テレワークや 柔軟な働き方の実現を支援する。 • 高度なセキュリティ管理、アクセス制御、監査機能を備えており、公共分野に求められる情報セ キュリティ要件への対応が可能である。 ◼ Power Platform(Power Apps / Power Automate / Power BI) • ローコード/ノーコードで業務アプリケーションや自動化フローを構築できるプラットフォーム。 • 職員自らが業務改善を行うことを可能とし、既存システムと連携しながら行政DXを段階的に 推進できる点が特徴である。 ◼ Copilot / Azure AI(公共分野向けAI活用) 問い合わせ対応支援、文書作成・要約、データ分析、業務ナレッジ活用などに活用可能な生 成AI・AIサービス。 訪問の様子(小暮・同行者撮影) 研修概要 SDGC2025 (イベント) Salesforce (IT企業) San Francisco City (行政機関) Microsoft (IT企業) New York City (行政機関) 総括 New York Redmond San Francisco Dallas
  13. Yuko Kogure Microsoft ヒアリング訪問レポート 2025年度 東京都ICT職専門研修「海外派遣研修」 15 訪問日時:2025年10月24日(金)13:00~17:00 訪問場所:Microsoft Experience

    Center One Microsoft Building 1 参加者: 【東京都】 • 涌田、小暮、佐藤、村松、通訳者 【Microsoft社】 • Worldwide Government Solutions Leader • Collin Vandamentさん(Envisioning Specialist) • Olivia Hernandezさん(Envisioning Specialist) • Lisa Minikenさん(Director, Microsoft Digital Customer Engagements) • David Lavesさん(Director Business Programs at Microsoft) • Aanya Hagiwaraさん(Global Security Solution Architect | Security Consulting Manager, Global Operation Manager) 実施したセッション • 13:00~13:15 Welcome and Briefing Objectives • 13:15~13:45 AI in Government • 政府や行政機関におけるAIの活用に関する概要、現状、事例等をご紹介(座学) • 13:45~14:45 Immersive Experiences • 先進的な企業や行政機関がビジネス等の根本的な変革にどのようにAIを活用しているか、デモ等を交えてご 紹介 • ※建物内に展示されているデモをツアー形式で移動しながらご見学 • 15:00~16:00 Inside Microsoft - Our Digital Transformation • マイクロソフトがハードソフトウェア企業からどのようにITやAI企業に変革を遂げてきたか、そのプロセスを紐解き ながらカスタマーゼロの開発概念等をご紹介(座学) • 16:00~16:15 Summary and Evaluations • 16:15~16:30 Shuttle Transportation • 16:30~17:00 Company Store • カンパニーストアご見学 ヒアリング内容: 1. Microsoftから行政DXの「マインドセット/カルチャー」に関する提言 • 行政DXは一部の専門職だけでなく、全公務員が最新のデジタルスキルとAI(含むエージェ ント型AI)の使い方を学ぶ前提で設計する • 必要スキルの定義は、企業と連携して検討を進めるべき 2. Microsoft社製品の行政活用と組織変革 • 政府のデジタル変革(AI活用を含む施策)は、小規模なパイロットから始め、MVPまで迅速 に回し、うまくいかなければ中止して次を試す、成果が出てスケール可能なら展開・公開する、と いう短いサイクルで進めると良い • 行政機関における組織改革や職員教育の要点として、「AI center of excellence(AI推 進のハブ・中核拠点)」の設置、セキュリティとガバナンスの整備、全職員がAIを使うための最 新デジタルスキルの訓練を受けることが重要 3. AIエージェントの行政活用 • AI活用の前提として“データ準備・基盤・データ管理”の準備が重要 • AI活用により、住民向けデジタル政府サービスはセルフサービス化できる • 公共分野におけるAgentic AIの展望として「人間+エージェント」から人間主導のオーケスト レーションまで段階的に進化するが、AIエージェントは人間の指揮下に置く前提である ▪エンタープライズにおけるAI活用成熟度のロードマップ(5つのステップ) 1. Awareness & foundation(認識・基盤整備) AI活用に向けた基本戦略、ガバナンス原則、経営層の理解と支援を整える段階。 2. Active pilots & skill building(実証実験とスキル構築) PoCやパイロットを通じて、効率化・コスト削減・品質向上といった初期成果を得つつ、社内人材を育成。 3. Operationalize & govern(本格運用と統制) 複数のAIユースケースを全社規模で運用。部門横断のガバナンスのもと、AIの目的と事業価値を整合させる。 4. Enterprise-wide adoption(全社展開) AIが業務戦略の中核となり、データドリブンな文化と継続的な効果測定が定着。 5. Transform your business with agentic AI(エージェント型AIによる事業変革) AIによって組織そのものが変革され、大幅な効率向上を実現し、企業AI活用のリーダーとして認知される段階。 研修概要 SDGC2025 (イベント) Salesforce (IT企業) San Francisco City (行政機関) Microsoft (IT企業) New York City (行政機関) 総括 New York Redmond San Francisco Dallas
  14. Yuko Kogure レドモンド図書館 (外観) 市役所内部 市役所の案内板を見るとCustomer Service Center(住民窓口)、Pet Licenses(ペット登 録)、Human

    Resources / Employment(採 用情報・人事)など住民サービスから役所の内部管理 部署まで幅広く建物内に集約されていることがわかる。 また、役所内にはガラス張りで開放的な市議会議場 があり、議会のMission、Vision、Valuesが掲示され ていた。 Ballot drop box (投票用紙の投函ボックス) 市役所エントランス外 レドモンド市役所のエントランス外に設置されていたこ の箱は、住民が郵送で届いた「郵便投票用紙(mail- in ballot)」を 郵送せずに直接投函できる公式ボック ス「Ballot drop box」という。 アメリカ(特にワシントン州やオレゴン州のような 郵送 投票が中心の州)で主に活用されている。なお、この BOXを発見し、「オンライン投票もやっているかも」と思い 調べたが、アメリカにおいてもオンライン投票は未導入の ようであった。 2025年度 東京都ICT職専門研修「海外派遣研修」 16 Redmond City レドモンド市役所見学レポート 東京都ICT職として、公共施設やデジタル技術を活用しているサービス等に着目し市内を視察した。Microsoft社があるワシントン州レドモンド市の市役所では、一般開放エリアのみを見学した(事 前アポは取っていないため)。訪れた際は生憎の雨のせいか、街はとても閑静だった。市役所へ向かう途中の道路や通りかかった図書館も壊れたり汚れていたりということがなく、整備が行き届いている印象を受け た。 Microsoftという巨大テクノロジー企業を抱えつつ“暮らしやすさ”も伺える都市だった。 研修概要 SDGC2025 (イベント) Salesforce (IT企業) San Francisco City (行政機関) Microsoft (IT企業) New York City (行政機関) 総括 New York Redmond San Francisco Dallas 市役所エントランス ※本スライドの写真はすべて小暮撮影
  15. Yuko Kogure New York City 都市概要 2025年度 東京都ICT職専門研修「海外派遣研修」 17 都市名:ニューヨーク市,ニューヨーク州

    面積・人口:約789㎢、約848万人 ニューヨーク市政について: • 正式名称: ニューヨーク市 (City of New York)​ • 職員数: 約300,000人以上 • 部署数: 70以上の部局 訪問先(Office of Technology and Innovation)について: • ニューヨーク市のテクノロジー戦略・デジタル革新を推進する中枢組織。 • 市全体の IT・デジタル戦略、データ活用、デジタルインクルージョン(誰もがデジタルサービスに アクセスできる社会の実現)等を統合的に管理している。 • 以前の名称は Department of Information Technology & Telecommunications であり、現在は OTI が市技術機能を統括している。 東京都23区合計 面積・人口: 627.51㎢、約988万人 面積はNYC のほうが約160㎢広い 人口は東京23区合計の方が約140万人多い Dallas, Texas San Francisco, California Redmond, Washington New York, New York アメリカ合衆国 地図 ニューヨーク州 地図 都市の特徴: ✓ アメリカ最大の都市であり、世界的な金融・文化・メディアの中心地。 ✓ マンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス、スタテンアイ ランドの5つの区(borough)で構成される。 ✓ 世界中から移民が集まる多文化都市で、人口の多様性が非常に高い。 ✓ 主な観光地として、タイムズスクエア、セントラルパーク、自由の女神 像、メトロポリタン美術館等がある。 New York Office of Technology and Innovationの主な取り組み 1. デジタル戦略・政策企画: • ニューヨーク市全体の技術戦略やデータ戦略の策定を行い、自治体全体での整合性を図る。 • コネクティビティ(インターネット接続)やデジタルリテラシー向上への取り組みを政策面で推進している。 2. デジタル公平性(Digital Equity)の推進: • 市民のデジタル格差を是正するためのDigital Equity Roadmapを構築し、アクセシビリティの向上に取り組んでいる。 • 機器提供、デジタルスキル教育、テクニカルサポートなど包括的支援策を実施。 3. データ活用・データ公開の推進: • 市庁内データを横断的に利活用する基盤整備(NYC Open Dataなど)とともに、データを市民向けに公開し理解 を促す取り組みを推進。 • データリテラシー教育やデータの可視化を通じて透明性の高い行政運営を進める。 4. 市庁内 IT 統合支援: • 各部署でばらばらになりがちな IT プロジェクトを標準化・統合し、セキュリティ保全・運用効率化・技術的負債の解消 などを支援。例として市全体のモバイル通信キャリア契約改善により税金の節約を図る等の成果も出ている。 タイムズスクエア(小暮撮影) 研修概要 SDGC2025 (イベント) Salesforce (IT企業) San Francisco City (行政機関) Microsoft (IT企業) New York City (行政機関) 総括 New York Redmond San Francisco Dallas
  16. Yuko Kogure New York City New York Office of Technology

    and Innovation(OTI)ヒアリング訪問レポート 2025年度 東京都ICT職専門研修「海外派遣研修」 18 1. 庁内DXの「マインドセット/カルチャー」 • DX推進の最大課題を、「行政文化と業務慣行の変革」にある。 • 現場には行政文化・意識の壁と、紙・レガシー業務の残存が残存する一方で、AIへの期待も 高まっているギャップがある。 2.市公式サイト「NYC.gov」構築に関するデジタルツール活用/組織変革 • 2024年8月にCMS依存を避ける「Agnostic Code」と「Adobe Experience Manager (AEM)」向け実装の2系統でデザインシステムを公開し、統一されたアクセシビリティと一貫し たUIを提供しつつ、可能な範囲で柔軟性も持たせる設計とした。 • 各局が自律性を持ちながら、一方で、共通のデザインシステムガイドにより、サイト全体の一貫 性(look & feel)とアクセシビリティを担保する方針。 • NYC.govについて、情報設計を局(agency)単位の配置から、住民の課題・サービス起 点の横断設計へ転換し、複数局でガイドページを共同作成している。その際、311コールセン ターのデータ、Web解析、局職員・開発側への内部ヒアリング(インタビュー)など複数ソース を用いて、住民ニーズとアクセスの多い領域を特定し、改善の優先順位を決めている。 • 対象人口850万人に対し、70超の局が450超のサイト資産と独自ITチームを持ち、OTIは 必要時に支援。 • 非エンジニアの実証的ツール開発への関心が高まっており、今後の内製能力・テクノロジーリテ ラシー育成が論点。 3. 生成AI・AIエージェントの行政活用 • 2023年10月に策定した「AI Action Plan」で37アクションを設定。ガバナンス体制、職員ス キル向上、住民への教育・透明性確保など。35件が完了・進行中。 • AI活用の具体例として「機械翻訳で職員と住民の会話を促進できるか」の実証を行っている。 • Agentic AIは現時点は検討段階。現場からの具体的需要は限定的で、業務活用には信 頼性確認が必要と考えている。 • 今後については、生成AIの活用にあたり、適切なガードレールを整備した上で、安全に提供・ 利用できる状態確保を優先する。 訪問日時:2025年10月27日(月)10:00~11:00 訪問場所:2 Metro Tech Center (2 MetroTech Center, Brooklyn, NY 11201 アメリカ合衆国) 参加者: 【東京都】 • 小暮、佐藤、村松、通訳者 【ニューヨーク市】 • Renata Gereckeさん(Agency Solutions Manager, Research and Collaboration​) • Gina Kimさん(Director of Design, Strategic Initiatives) • Brown Leslieさん(Senior Advisor, Office of Public Information) 実施したセッション: • 10:00~10:10 参加者紹介、東京都・GovTech東京の取り組み説明(東京都) • 10:10~10:20 ニューヨーク市の取り組み説明(ニューヨーク市) • 10:20~11:00 意見交換 訪問の様子(同行者撮影) 研修概要 SDGC2025 (イベント) Salesforce (IT企業) San Francisco City (行政機関) Microsoft (IT企業) New York City (行政機関) 総括 New York Redmond San Francisco Dallas
  17. Yuko Kogure アクセシブルQRコードNaviLens(ナビレンス) ニューヨーク市地下鉄構内 ▪読み取りやすいQRコード;ナビレンス ナビレンス(NaviLens)は、スマートフォンのカメラと専用アプリを用いて読み取る、アクセシビリティに 配慮したコード技術である。特に、視覚に障害のある人や弱視の人でも、容易に情報へアクセスでき るよう設計されている点が特徴であり、その他にも以下のような特徴がある。 • スマートフォンを向けるだけで認識でき、ピント合わせが不要である

    • 数メートル離れた場所からでも読み取り可能である • 読み取り可能な角度が広く、正面からでなくても認識できる • 認識速度が速く、コードを探す負担が小さい ニューヨーク市公立図書館 ニューヨーク市マンハッタン区 ニューヨーク公共図書館(New York Public Library)は、1895年に設立されたアメリカを代 表する公共図書館である。マンハッタン本館は、 荘厳な外観と大理石や装飾を多用した豪華な内 装を特徴とし、都市を象徴する文化的ランド マークとして知られている。 一方で、単なる歴史的建造物ではなく、誰も が平等に知識や情報へアクセスできる公共イン フラとしての役割を重視している。約90の分館 を通じて、図書・デジタル資料の提供に加え、 教育、就労支援、市民向けプログラムなど多様 なサービスを展開している。 また、視覚障害者や聴覚障害者を含む多様な 利用者に配慮したアクセシビリティ施策にも積 極的に取り組み、公共空間としての図書館のあ り方を進化させている。 ニューヨーク市役所 ニューヨーク市マンハッタン区 ニューヨーク市では、市役所は市長 や市幹部が政策判断や統治を行う 政治・行政の中枢であり、住民が日 常的に行政手続きを行う窓口では ないため、建物自体は一般に常時 開放されていない。 一方、住民向けの行政サービスは 各区や専門局に分散配置された窓 口、311に代表されるワンストップ窓 口、オンライン申請などを通じて提供 されており、物理的に市役所に入ら なくても行政サービスの利用や市政 への参加が可能な仕組みとなってい る。 2025年度 東京都ICT職専門研修「海外派遣研修」 19 New York City ニューヨーク市内視察レポート 東京都ICT職として、公共施設やデジタル技術を活用しているサービス等に着目し市内を視察した。 研修概要 SDGC2025 (イベント) Salesforce (IT企業) San Francisco City (行政機関) Microsoft (IT企業) New York City (行政機関) 総括 New York Redmond San Francisco Dallas 通常のQRコードは、視覚的に位置を確認し、正確にカメラを 合わせることが前提である。一方、ナビレンスは、「スマートフォン を向けるだけで情報に到達できる」ことを前提に設計された技術 であり、アクセシビリティの観点で大きな違いがある。 ▪サービス展開エリア ナビレンスは、スペインをはじめとする欧米およびアジアの都市 で、公共交通機関や公共施設を中心に導入が進んでいる。ア メリカでは、ニューヨーク市の地下鉄駅やバス路線をはじめ、ロサ ンゼルスやサンアントニオなどの都市で、公共交通分野における 導入事例が報告されている。 日本においては、現時点では恒常的な導入という段階には 至っていないものの、自治体や商業施設、公共空間における実 証実験や期間限定の導入が進められている。 ※本スライドの写真はすべて小暮撮影
  18. Yuko Kogure 組織文化とマインドセットを醸成するときの3つのポイント 1. 小さく試し、早く学ぶことを当たり前にすること 2. 現場の声を最初から吸い上げる仕組みをつくること 3. 全職員が共通の前提としてデジタル・AIリテラシーを持つこと 総括

    サービスデザインの最新動向として「Journey Management」 や「Agentic Systems(AIエージェント)」に関する知見を得た。 特に、ジャーニーマップは静的な貼り物から動的なブループリントへ 進化し、組織横断で更新・共有できる仕組みが重要であることを 学んだ。 また、意思決定に結びつけるためには、体験指標と事業指標を 組み合わせたKPI/JPI設計が不可欠である。 AIエージェントに関しては、「人がエージェントをマネジメントす る」という視点が強調され、目標設定・意図の指定・監督が人の 役割になること、エージェントを部下や協働者に近い存在として扱 う運用が求められることが示された。 2社の提言は、今後の東京都や日本の行政DXにおいて指針とすべき 内容である。 Salesforceは、AI導入に伴う働き方の変化を踏まえ、現場職員の 声を初期から取り入れる文化とチェンジマネジメントの重要性を強調し ていた。都市間で成功事例を共有することがインスパイアにつながると指 摘した。 Microsoftは、行政DXを専門職だけでなく全職員が最新デジタル スキルとAI活用を学ぶ前提で設計するべきと提言していた。さらに、AI 活用は短いサイクルで進めること、AI Center of Excellenceの設置、 セキュリティ・ガバナンス整備、職員教育が不可欠とした。 また、AIエージェント活用のロードマップとして、5段階モデルが示され、 行政においても段階的な成熟が必要である。 2市の現状は、基本的に東京都と類似していた。 • サンフランシスコ市では、庁内DXに対する反応は賛否が分かれ、 否定的な背景には時間・人員制約がある。生成AIは導入済 みだが利用率は約20%、AIエージェントは検討段階であった。 技術人材不足や職務分類の古さが課題であり、採用プロセス の見直しが必要とされている。 • ニューヨーク市では、DX推進の最大課題は行政文化と業務 慣行の変革にある。AI活用は機械翻訳の実証など限定的で、 AIエージェントの活用はサンフランシスコ市と同じく検討段階。 今後は、ガードレール整備と安全性確保を優先する方針だった。 2025年度 東京都ICT職専門研修「海外派遣研修」 21 Service Design Global Conference IT企業 行政機関 訪問先ごとのまとめ 研修概要 SDGC2025 (イベント) Salesforce (IT企業) San Francisco City (行政機関) Microsoft (IT企業) New York City (行政機関) 総括 New York Redmond San Francisco Dallas 研修テーマ「行政におけるデジタル・AIを活用した業務効率化・組織変革の国際事例研究」
  19. Yuko Kogure 総括 都政への還元 海外研修での気づき 都政への還元 22 2025年度 東京都ICT職専門研修「海外派遣研修」 ◼

    グローバル比較で見えた共通課題と示唆 • 海外都市の先進事例から新たな知見を得ることを想定していたが、実際には、行政機関として直 面している課題の多くが東京都と共通していることが確認できた。 • 新技術の導入に対する慎重な姿勢や、制度・組織・文化が変革の制約となる点は、日本固有の 課題ではなく、行政DX全般に共通する構造的課題である。先進事例を学ぶ姿勢だけではなく、 共通課題もあることを踏まえながら、継続的に意見交換しながら知見を共創することが有効であ ると感じた。 • 共通課題の差は「何を持っているか」より運用の成熟度に現れる。単発の情報収集ではなく、継 続的な対話と相互レビューの場を持つことが知見の質を高めると考える。 ◼ カルチャー・マインドセットの重要性 • DXの前提にはマインドセットがあり、それを根付かせ、支えるのが組織カルチャー。 • 企業では、すでに各企業理念に則し、さらに顧客や成長性を踏まえたマインドセットを持っており、 新しい技術とともにこれらについても行政機関へ提供する姿勢を見せていた。 ◼ AIの活用への視点 • 行政機関ではAIエージェントの前段階として生成AIの庁内活用の促進や支援をしているフェーズ であり、海外都市と東京都では同じ先進性に差はないように感じた。 • AIエージェントを使いこなすには技術以上に、人間がAIをマネジメントすることが重要 • “正確性”や“信頼性”は、小さく試す→効果を測る→拡張か中止かを早く決めるという短い検証サ イクルで担保する。 • 目的・境界条件・禁止事項を明確化し、ガードレールと監査で安全性を確保する。 自身のキャリアとして歩んできた基礎自治体職員、東京都職員、外資系企業派遣、GovTech 東京派遣での勤務経験に今回の海外研修での知見を踏まえ、以下の要素を備えたICT職として 業務をとおし都政へ知見を還元したい。 • 「マインドセット、組織カルチャーの変革」に取り組み、行政DXの取組が機能するための組織 的な土台をアップデートできる • 海外都市やIT企業のベストプラクティスを都政DXの文脈に翻訳して改革を進める • 東京都ICT職として広い視野を持ち続けるために海外とも積極的に交流して情報収集に努 める 技術そのものではなく、技術を根付かせ、活かすためのカルチャー・マインドセット・現場と技術 をつなぐ翻訳力・学びの循環を都政にもたらす“未来志向の東京都ICT職”として取り組んでい きたい。 具体的には、自身の役割を「DXの通訳者」と位置づけ、業務を通じて都政への還元を図る。行 政現場とデジタルツール事業者の間に立ち、用語や考え方の違いを調整するとともに、DXが進ま ない現場においては、業務内容や課題、ボトルネックを整理・言語化する。 その上で、海外都市やIT企業の事例を参考に、都政DXの文脈に翻訳した小規模な試行案を 提示し、結果を共有しながら改善を重ねることで、「小さく試し、改善する」文化の定着に貢献する。 研修概要 SDGC2025 (イベント) Salesforce (IT企業) San Francisco City (行政機関) Microsoft (IT企業) New York City (行政機関) 総括 New York Redmond San Francisco Dallas
  20. Yuko Kogure EoF End of File 23 2025年度 東京都ICT職専門研修「海外派遣研修」 Power

    Pointストック画像 公開: 2026年3月 連絡先:デジタルサービス局総務部デジタル人材戦略課 [email protected]