ICH Q1D 安定性試験におけるBrancketingとMatrixingについて

ICH Q1Dは安定性試験におけるBrancketingとMatrixingについてのガイドラインです。BrancketingとMatrixingは共に試験を部分的に省略する方法で、特定の状況において安定性試験の試験モデルとして利用することができます。

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1. ICH Q1D 安定性試験におけるBracketingと Matrixingについて 2020/7/22 Ver. 1.0
2. BracketingとMatrixing 共に試験を省略する方法のこと • Bracketingは極端なサンプルのみ試験する方法 • Matrixingは組み合わせを維持して試験する方法 • 有効期限・リテスト決定に使えるが、正当化が必要 • 共に利用できる条件が限られている
3. 省略試験の適用可能性 安定性試験として利用できるが、正当化が必要 • 有効成分にはBracketingは使えない • 製品の安定性、結果のばらつきを考慮する必要がある • 同時に2つ使うことはできるが、十分な理由が必要となる
4. Bracketing 極端なサンプルのみ試験を行う方法 • 因子（含量、包装形態）などに条件がある • “極端な条件”のみ試験を行う • “極端な条件”と判断できる因子が必要となる
5. Bracketingの適用 含量、包装の種類に条件がある • 含量の適用には、処方が同じなどの条件が必要 • 包装のサイズ、内容量に差がある場合に使える • 中身が同じ顆粒のカプセル • 造粒物が同じの錠剤 • 添加物にほぼ差がない経口液剤 など • 内容量が最大・最小 • サイズが最大・最小 など
6. Bracketing: 考慮すべき事項とリスク 途中で市販しなくなったときの正当化が必要 • ある含量を販売しないときに、極端なものでなくなる • Bracketingは維持できるが、正当化しないといけない • 有効期限・リテスト期間への影響を検証しておく
7. Bracketingの例 含量 50 mg 100 mg 150 mg ロット 1 2 3 1 2 3 1 2 3 コンテナサイズ 15 mL • • • • • • 100 mL 500 mL • • • • • • 黒丸のサンプルのみ試験を行う （含量の最大・最小、コンテナサイズの最大・最小のみ）
8. Matrixing すべての因子の組み合わせを試験する省略法 • 因子（ロット、含量、包装形態）の組み合わせ • 2次包装が安定性に貢献する場合は包装に用いることができる
9. Matrixingの適用 含量、包装の種類に条件がある • 含量の適用には、処方が同じなどの条件が必要 • 正当化できれば添加剤が違っても使える • 透湿・透明性が同じであれば、包装にも使える • 中身が同じ顆粒のカプセル • 造粒物が同じの錠剤 • 添加物にほぼ差がない経口液剤 • 製造機器や工程が同じ製剤 など
10. Matrixing: 考慮すべき点 すべての要素を同じだけ試験する必要がある • 最初と最後の時点の試験はすべて実施する • 中間の時点は省略できる • 承認前なら12ヶ月のデータをすべて取る必要がある＊ • 加速・中間的試験では3点以上試験を行う • 安定性試験結果のばらつきが十分に小さい必要がある ＊承認前に長期試験が完了していない場合
11. Matrixingの例: One-Half Reduction 安定性試験時間（ヶ月） 0 3 6 9 12 18 24 36 含量 50 mg ロット1 • • • • • • ロット2 • • • • • • ロット3 • • • • • 100 mg ロット1 • • • • • ロット2 • • • • • • ロット3 • • • • • 中間的な時点を半分だけ試験する方法
12. Matrixingの例: One-Third Reduction 中間的な時点を2/3だけ試験する方法 安定性試験時間（ヶ月） 0 3 6 9 12 18 24 36 含量 50 mg ロット1 • • • • • • ロット2 • • • • • • ロット3 • • • • • • • 100 mg ロット1 • • • • • • • ロット2 • • • • • • ロット3 • • • • • • ＊包装を入れた3要素のものもあるが、複雑なのでココでは示さない