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AI × アジャイルで、エンタープライズを動かす: 文化に寄り添い、ビジネス価値を拡大する実践...

AI × アジャイルで、エンタープライズを動かす: 文化に寄り添い、ビジネス価値を拡大する実践知 / AI × Agile: Driving Enterprise Transformation

#RSGT2026 (Regional Scrum Gathering Tokyo 2026)の登壇で利用した資料です。
(AI × アジャイルで、エンタープライズを動かす: 文化に寄り添い、ビジネス価値を拡大する実践知)

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Yosuke Matsuura PRO

January 07, 2026
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  1. 仙台サテライトオフィス⻑ 兼 シニアPOリード ビジネスデザイン部 副部⻑ 松浦 洋介 • 2006年から⼤企業のIT会社にて、ソフトウェア 開発エンジニアとしてキャリアをスタート

    • 2011年からインターネット接続事業者や電⼒・ ⾃動⾞メーカー向けにアジャイルコーチを実施 • 2020年からLINE(現LINEヤフー)のアジャイコー チとして様々な組織やプロダクトの成⻑を⽀援。 • 2024年1⽉より現職。⽣成AI案件を担当。 • 趣味:温泉、サウナ、サッカー、野球 • 仙台市出⾝・在住 ⾃⼰紹介 KDDI Agile Development Center Corporation 2
  2. 3 三島サテライトオフィス⻑ アジャイルコーチ J.K(コサカ ジュンキ) Agileで⽇本から世界を楽しく!三島から⽇本を楽しく! Agileの世界とエンジニアコミュニティにどっぷりハマっ ている元製造業の⼈。 ソフトウェア開発でプロセスやコミュニケーションに課 題を感じていたところアジャイルに出会い、以降、ア

    ジャイルの世界へのめり込む。 開催した研修から200名の有資格者を輩出。現在はAgile とScrumの専⾨家としての知識や経験を活かしながら組 織開発に従事。カンファレンス運営などを通じ、⽇本に Agileが楽しく広まることを夢⾒て⽇々活動中 Agile Japan EXPO 代表理事 自己紹介 3
  3. 所在地 東京都港区⾼輪⼆丁⽬21番1号 THE LINKPILLAR 1 NORTH 11階 本社 代表取締役社⻑ 事業内容

    設⽴年⽉⽇ 2022年5⽉12⽇ 社員数 252名 職種⽐率 エンジニア…72% デザイナー… 11% その他…17% KDDIアジャイル開発センター(KAG)とは? 舞鶴/三島/那覇/秋⽥/⾼崎/札幌/福岡/⼤阪/名古屋/仙台/広島/⾦沢 ⽊暮 圭⼀ アジャイル開発事業および保守事業 拠点 72% KDDI Agile Development Center Corporation 4 re-INNOVATE YOUR BUSINESS “Be Agile, Update Culture” 約10年間“アジャイル開発“に徹底的にこだわり続けてきた DX専業のエンジニア集団
  4. 6 6 三島の⼩学校で職業講話など 仙台市役所ポータルサイトで会社紹介、講話実施 KDDI Agile Development Center Corporation オフィス⻑の活動例

    出典︓仙台市役所ポータルサイト︓https://sendaidehatarakitai.jp/sendaiinspiretalk2025/ 出典︓https://note.com/kag_matsuura/n/n27f008320572
  5. KDDI Agile Development Center Corporation KAGが提供するアジャイル開発⽀援 7 ビジネス価値を継続的に⾼めるアジャイル開発で お客さまのDXをサポートいたします。 アジャイル開発⽀援

    アジャイルな組織に 変⾰したい ⾃社でアジャイル 開発をしたい UXデザイン・PoC⽀援 アイデア創出と 仮説検証をしたい アジャイルを 初めて導⼊したい アジャイル教育 プロダクトを継続的に 成⻑させたい PdM⽀援
  6. ⽬次 KDDI Agile Development Center Corporation 1 2 3 オープニング

    エンタープライズにおける壁 スモールスタートから全社展開へのロードマップ 4 AI時代の意思決定を加速する役割設計 5 組織を動かす「デモ駆動型提案」 8 6 ハイブリッドなチーム運営のリアル 7 まとめ & 明⽇からの3アクション
  7. 背景︓「アジャイル導⼊した。でも成果が出ない」― 多くの⽇本企業が直⾯する壁 KDDI Agile Development Center Corporation 10 よくある声 IPA

    DX動向(2025年6⽉公開)が証明 アジャイルを導⼊したが、社内⽂化と衝突して しまう PoCで⽌まってしまい、ビジネスへの貢献が ⾒えにくい IT部⾨(情報システム部⾨)は動いているが、 他部⾨がついてこない 効率化はできたが、売上につながらない これは、あなたの会社だけの問題ではありません 出典︓https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2025.html ◦ ⽇本企業のDX取組率︓ 8割 しかし × 成果創出率︓ 6割(⽶国は 8割超) × 成果の質︓「内向き・部分最適」に偏る つまり、⽇本企業全体の構造的課題
  8. 本⽇の⽬的・ゴール KDDI Agile Development Center Corporation 11 1 本⽇の⽬的 •

    ⽇本企業のDXが「内向き・部分最適」で⽌ まる理由を構造的に理解し、⽂化に寄り添 いながら突破する考え⽅を共有する 2 本⽇のゴール • 3つの壁(⾒えない/内向き/部分最適)を 理解 • 各壁に対する具体的な突破法を把握 • 明⽇から着⼿できる最初の⼀歩を明確化 ⽇本企業DX︓取組8割×成果6割のギャップを突破する 内向き (効率化) 外向き (顧客価値創出)
  9. 3つの壁の全体像 KDDI Agile Development Center Corporation 13 内向き成果に偏る 2 •

    ⽇本企業︓コスト削減中⼼ ⽶国︓売上・顧客価値中⼼ • 効率化は進むが、 成⻑につながらない 成果が⾒えない・ 測れない • 7割の⽇本企業が成果 指標未設定 • 「何をもって成功か」を 定義せずにDXに着⼿して いるため、PoC⽌まり 部分最適で⽌まる 3 • 部⾨協調1割未満、部⾨ 毎に最適化が進む(サイロ化) • 全社としての成果が説明 できない 1 本質︓ 「⽂化 vs アジャイル」ではなく 「⽂化に寄り添いながら、どう組織全体を動かすか」の⽅法論不⾜ ⽇本企業に共通する3つの構造的な壁 出典︓IPA DX動向2025 https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2025.html
  10. 3つの壁の具体事例 KDDI Agile Development Center Corporation 14 事例︓⼤⼿企業営業 2 •

    提案資料作成時間 70%短縮 • しかし「受注率」「売上」 への影響未測定 • 結果︓ 経営層「それで売上は︖」 →追加投資⾒送り 事例︓⼤⼿企業 • PoCは成功 (業務時間30-50%削減) • しかし「何をもって本格 導⼊か」未定義 • 結果︓ 評価できず、PoC⽌まり 事例︓社内システム 刷新PJ 3 • IT部⾨:2週間で機能追加 • 業務部⾨:⽉次運⽤のまま • 経営部⾨︓四半期判断 • 結果︓ 開発スピードと意思決定 のリズムがバラバラ →全社展開⽌まる 1 各壁で起きているリアルな現場の声
  11. 4段階ロードマップの全体像︓⼩さく始め、全体を動かす KDDI Agile Development Center Corporation 16 基本⽅針︓全体像を描きつつ、⼩さく試し、信頼を積み上げて全体最適へ導く Step4︓ 組織に展開し

    ⽂化として定着させる Step3︓ 成果を可視化し 認知を広げる Step2︓ ⼩さく試し 成功体験をつくる Step1︓ 現状を理解し 成功を定義する 壁2「内向き」を克服 壁3「部分最適」を突破 開始 壁3「部分最適」を突破 (全体最適へ) 壁1「測れない」を突破 ロード マップ の本質 • 最初は「内向き・部分最適」でも良い • 全体像を描きながら、段階的に「外向き・全体最適」へ • ⽂化を壊さず、信頼を積み上げて組織を動かす
  12. Step1-2︓始め⽅ ― 「腹落ち」と「動くもの」が全ての始まり KDDI Agile Development Center Corporation 17 やること1︓現状理解で解像度を上げる

    • 経営層・現場・IT部⾨へのヒアリング • 実際の業務フロー観察 • →全体像(Big Picture)を把握 やること2︓成功の定義を関係者全員で合意 進め⽅の例︓ • ①業務の実態を可視化(完璧さ不要) • ②最⼩単位の業務を選ぶ (1部署・1チーム・1業務) • ③動くプロトタイプをつくる • ④現場で使ってもらい、フィードバック獲得 • ⑤改善し、効果を⾒える化(定量+定性) • ⑥継続的改善 →展開判断 ポイント︓ • Big Pictureを描きつつ、Small Startで信頼獲得 (ロードマップで全体像を描きながら進める) やること2︓成功の定義を関係者全員で合意 • 「◦ヶ⽉後、何が実現できていれば成功か︖」 • 内向き指標︓処理時間〇〇%短縮、⼯数〇〇%削減 • 外向き指標︓顧客対応時間〇〇%短縮、 満⾜度〇〇%向上、売上・利益〇〇%向上 • →A4⼀枚に成功定義を明⽂化 →関係者の腹落ちなしで前に進められない (Step2以降で必ず⽌まる) Step1︓現状理解+成功の定義(⽬安2-4週) Step2︓スモールスタートで成功体験(1-3ヶ⽉)
  13. (参考)実践のコツ KDDI Agile Development Center Corporation 18 相⼿の⽴場別に説明資料を⽤意する ロードマップは効果を定性・定量で⽰す •

    前提︓相⼿の役割や⽴場によって期待し ている説明内容が変わる。 下記のように、相⼿の⽴場別に説明資料 を⽤意するのが重要。 • 経営層︓投資に⾒合うか︖ →例︓成果・ROI・全社効果 • 現場部⾨︓部⾨で成果出るか︖ →例︓KPI・事例・リスク対策 • IT部⾨︓現場は回るか︖ →例︓スケジュール・⼯数・予算
  14. Step3-4︓広げ⽅・根付かせ⽅ ― ボトムアップ × トップダウンで全体最適へ KDDI Agile Development Center Corporation

    19 ①社内展開(ボトムアップ) • デモやデモ動画・成果事例の共有 • 社内ポータルのトップに事例掲載 →「うちでもやりたい」を増やす ①成功の進め⽅を組織の型として定着 ②社外展開(トップダウン) • 社外事例の発信・経営層への報告 • 評価軸を部⾨最適→企業価値へ引き上げ →経営層の判断材料を揃え、スポンサーを獲得 Step3︓成果可視化と認知拡⼤(⽬安3-6ヵ⽉) Step4︓組織的展開と⽂化浸透(6-12ヶ⽉〜) • 成功定義と成果指標を共通⾔語化 • 新しい取り組みは、この型で始める ②現場に「⾃⾛する⼈」を増やす • 各部署に改善主導者(取りまとめ役)を配置 • 成果や失敗を共有し、学びを横展開 ③上からの後押しと現場の成功をつなぐ • 経営層︓外向き価値を評価軸として⽰し続ける • 現場︓成功体験を共有し、次の挑戦を⽣む ④⽇々の判断と⾏動に染み込ませる • 判断の場で共通の成果指標が使われる • 新施策が「まず⼩さく試す」前提で語られる
  15. AI時代のボトルネックは何か︖ KDDI Agile Development Center Corporation 21 AI活⽤で開発は速くなった しかし意思決定は変わっていない ⼩規模プロダクト開発︓2-3⽇→2-3時間

    受容性検証のプロトタイプ︓数⽇ → 数分 開発チームは「すぐ動ける」状態 ビジネス判断が追いつかない 結論︓問題は「開発速度」ではなく「意思決定速度」 承認の場︓⽉次のまま 会議プロセス︓従来通り 部⾨間調整︓会議の繰り返し ⽇本企業 共通の 構造的 弱点 • 経営層・IT部⾨・事業部⾨の連携が弱い • 部⾨間の翻訳/調整/意思決定⽀援が機能していない →成果が全社判断につながらない • 結論︓作れるのに決められない。これがAI時代の新しいボトルネック →ツールでは解決しない。「役割」を設計し直す必要がある
  16. KAGの役割設計︓3つの役割で意思決定を速くする KDDI Agile Development Center Corporation 22 1 POL(Product Owner

    Lead)︓意思決定を前に進める • 複雑な要件を整理し、「今決めること/後で良いこと」を切り分ける • 意思決定(判断)できる材料を⽤意する • 論点・成果を分かる形に翻訳する 2 SM(Scrum Master)︓合意を⽀える/共通認識を合わせる • 経営層・IT部⾨・事業部⾨の考え⽅のズレを⾔語化して整理 • 前提・⽬的・制約条件の認識を揃える • 議論が前に進む場と流れを整える 3 Dev / Service Designer︓価値を形にする • 短い周期で動くものを作る • 説明ではなく体験で⽰す • フィードバックを即改善に反映する 役割を分け、つなぐことで顧客の意思決定を構造的に速くする 「何を決めればよいか分 からない」をなくす 「話がかみ合わない」を なくす 「使えるか分からない」 をなくす
  17. ビジネス・プロダクト・プロジェクト・ アジャイルを横断し、事業成果と顧客価値の 最⼤化を実現するつなぎ役(総合格闘家) KDDI Agile Development Center Corporation 23 補⾜︓KAG独⾃の役割定義︓POリードとは

    POリードの概要(本発表に合わせた⽂脈での内容) 【ミッション】 複雑な要件を整理し、意思決定(判断)できる材料に整理する 【POリードが⽣み出す提供価値】 顧客の判断が速くなる。迷いが減る。成果が説明できるようになる 【活動例】 ①要件の構造化 • 今決めること/後でよいことに分ける • 判断軸(期待効果・優先順位・リスク)を明確化 →顧客の意思決定の迷いを減らす ②意思決定の場づくり • 決める論点だけに絞る • 判断できる資料を⽤意する →決定を前に進める ③成果指標の設計 • 内向き+外向きの成果を定義 • 進捗と結果を⾒える化 →「成果が分からない」をなくす
  18. 【参考事例】KAG社内で実践している意思決定を加速する共有の仕組み KDDI Agile Development Center Corporation 24 1 幹部合宿(半期に1回。2-3⽇。役員と部⻑陣で開催。対⾯) •

    ⽬的︓⽅向性を決める • ⽬標達成に向けた戦略、今後の持続的な成⻑、拡⼤に向けた議論 • 半期のふりかえり、次の⽅針の合意など 2 KAGレビュー(毎週1回。1時間。社員全員で開催。オンライン) • ⽬的︓状況を揃える • プロジェクト進捗や知⾒の共有、成果の可視化 • 課題の早期発⾒と対策など 3 集中合宿(不定期。1-2⽇。パートナー含め開催。対⾯orオンライン) • ⽬的︓停滞を解消し、次の⼀歩につなげる • 重要課題を集中議論 • 認識のズレを⼀気に解消 役割だけでは意思決定は速くならない。同じ情報を同じタイミングで共有する仕組みが必要 得られた効果 経営層との認識が揃う 部⻑間の壁が下がる 意思決定の質とスピードが向上 顧客企業への展開 この仕組みを顧客企業の規模・ ⽂化・意思決定プロセスに合わ せて“形を変えて”⽀援している
  19. 短時間で判断できる「体験」が、組織を動かす KDDI Agile Development Center Corporation 26 Before︓ 従来の資料中⼼提案 After︓

    デモ駆動型提案 ⽤意内容 ⻑い説明資料を⽤意 動くデモを⾒せて触って判断 (シナリオ) 議論内容 コスト・⼯数・リスクに偏る 顧客価値・市場価値へ 会議時間 1〜2時間 約30分以内 結果 「もう少し検討」で⽌まる 承認期間短縮、決裁率向上 デモ駆動型提案の進め⽅ • ①動く最⼩デモを作る • ②意思決定者に⾒せ、触ってもらう (1-5分以内) • ③フィードバックを即反映 →「⾔ったことが形になる」を体感 なぜデモが効くか • ⻑い説明ではなく、体験から判断 • 短時間で触れる最⼩デモを⽤意 • 体験から顧客・市場という 外向き価値を議論できる 本質 • 短時間でも「確信」を持って判断で きる材料を⽤意することが、意思決 定を前に進め、組織を動かす
  20. 本⽇のまとめ︓⽇本企業の「3つの壁」と突破法 KDDI Agile Development Center Corporation 30 壁 現状・問題 壁1

    成果が⾒えない 測れない 突破法 具体的アプローチ 明⽇からのアクション案 壁2 内向き成果に偏る 壁3 部分最適で⽌まる • 7割の⽇本企業が成果指標 未設定 • 「何をもって成功か」 未定義 • PoCで⽌まる • コスト削減・効率化中⼼ • 売上・顧客価値は測れて いない • 経営層に評価されず 全社展開できない • 部⾨協調1割未満、 サイロ化 • 経営層・業務・IT部⾨の リズムがバラバラ • 全社としての成果が説明 できない 判断できる 材料を整える 体験で 外向き価値を 語る 役割と共有で 全体を動かす • 成功の定義をA4⼀枚 で明⽂化 • 内向き+外向き指標を 設定 • 関係者全員で合意形成 • 動く最⼩デモを1-5分 で体験 • 議論を「コスト」→ 「顧客価値」へ • 社内外で成功事例を発 信 • POリード・SM・Dev の役割明確化 • 定期的な情報共有の仕 組み • 上からの後押し&現場 の成功 • 会議で「今⽇決めること」 を1つに絞る • 成果を「内向き+外向き」 で可視化 • 「〇ヶ⽉後、何が実現でき ていれば成功か︖」を問う • 資料ではなく動くデモを⽤ 意(最⼩でOK) • 期待を超える体験を提供 • これで顧客は喜ぶか︖」を 問い続ける • 誰が判断材料を整えるのか を決める • 成功体験と事例を作り定期 的に共有 • 同じ情報を同じタイミング で共有する 結論︓⽇本企業でも「判断できる体験」と「共有の仕組み」があれば組織は動き壁を超えていける