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歴史教育の中で情報教育を扱う授業の提案/JSET2023Spring-3-S01E4
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NAKAZONO Nagayoshi
March 26, 2023
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歴史教育の中で情報教育を扱う授業の提案/JSET2023Spring-3-S01E4
NAKAZONO Nagayoshi
March 26, 2023
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Transcript
歴史教育の中で情報教育を 扱う授業の提案 麗澤大学 国際学部 中園 長新 NAKAZONO Nagayoshi nnakazon [at]
reitaku-u.ac.jp 2023-03-25 (Sat.) JSET2023年春季全国大会 本研究は、JSPS科研費JP17K14048ならびにJP21K02864の助成を受けたものです 授業立案助言: 愛知県立大府高等学校 野々山 新 教諭 3-S01E4
2 Summary 高校地歴科「歴史総合」において、情報教育の視点を重視した 歴史教育の授業が実践可能 現代は情報社会 → 現代史と情報教育は親和性が高い 歴史総合の教科書等には情報教育に関連する内容が存在 具体的な授業の提案 歴史総合
「D グローバル化と私たち」の授業として開発 過去からの学びを未来の創造につなげることを意識 2023-03-25 (Sat.) JSET2023年春季全国大会 歴史教育の中で情報教育を扱う授業の提案 導入 現代のグローバル社会と情報化 展開1 講義:情報化の具体的事例 ※情報科と連携 展開2 問題提起と議論 e.g.)AI普及で社会はどう変化するか? まとめ 自分自身が生きる未来の情報社会の姿を考える
3 情報教育の位置付け 学習指導要領 → 全校種とも「総則」に情報教育の記載あり 校種・教科等を問わずすべての学校教育で扱われるべき 情報科は他教科との連携が求められる 数学科、公民科 etc. 公民科の教科書等にも情報社会に関する記述あり(中園
2022) ほかの教科等でも情報科は連携できるのではないか 2023-03-25 (Sat.) JSET2023年春季全国大会 歴史教育の中で情報教育を扱う授業の提案 情報科と他教科等の連携における 情報教育の可能性
4 本研究のアプローチ 歴史教育の中で情報教育を扱う 現代は情報社会 → 現代史と情報教育は親和性が高い 情報社会はグローバル化の中で進展 → ひとつの国に特化するのではなく、世界全体の中で扱うほうがよい 2023-03-25
(Sat.) JSET2023年春季全国大会 歴史教育の中で情報教育を扱う授業の提案 高等学校 地理歴史科の科目である 「歴史総合」で情報教育を扱う
5 高等学校 地理歴史科 (令和4年度~) 科目 標準 単位数 必履修 科目 地理総合
2 ◦ 地理探究 3 歴史総合 2 ◦ 日本史探究 3 世界史探究 3 2023-03-25 (Sat.) JSET2023年春季全国大会 歴史教育の中で情報教育を扱う授業の提案 必履修「総合」 + 選択「探究」 歴史総合 日本史・世界史を総合的に扱う 近現代史が中心
6 歴史総合 目標 社会的事象の歴史的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して, 広い視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会 の有為な形成者に必要な公民としての資質・能力を次のとおり育成することを目指す。 (1) 近現代の歴史の変化に関わる諸事象について,世界とその中の日本を広く相互的な視野から捉え, 現代的な諸課題の形成に関わる近現代の歴史を理解するとともに,諸資料から歴史に関する様々 な情報を適切かつ効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
(2) 近現代の歴史の変化に関わる事象の意味や意義,特色などを,時期や年代,推移,比較,相互の関 連や現在とのつながりなどに着目して,概念などを活用して多面的・多角的に考察したり,歴史に見 られる課題を把握し解決を視野に入れて構想したりする力や,考察,構想したことを効果的に説明し たり,それらを基に議論したりする力を養う。 (3) 近現代の歴史の変化に関わる諸事象について,よりよい社会の実現を視野に課題を主体的に追究, 解決しようとする態度を養うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵養される日本国 民としての自覚,我が国の歴史に対する愛情,他国や他国の文化を尊重することの大切さについて の自覚などを深める。 2023-03-25 (Sat.) JSET2023年春季全国大会 歴史教育の中で情報教育を扱う授業の提案 出典:高等学校学習指導要領(平成30年告示)
7 歴史総合 内容 A 歴史の扉 B 近代化と私たち C 国際秩序の変化や大衆化と私たち D
グローバル化と私たち (1) グローバル化への問い (2) 冷戦と世界経済 (3) 世界秩序の変容と日本 (4) 現代的な諸課題の形成と展望 2023-03-25 (Sat.) JSET2023年春季全国大会 歴史教育の中で情報教育を扱う授業の提案 石油危機,アジアの諸地域の経済発展, 市場開放と経済の自由化,情報通信技 術の発展などを基に,市場経済の変容と 課題を理解すること。 出典:高等学校学習指導要領(平成30年告示)
8 歴史総合の教材と情報教育 2023-03-25 (Sat.) JSET2023年春季全国大会 歴史教育の中で情報教育を扱う授業の提案 出典 左上:清水書院『私たちの歴史総合』(検定済教科書)p.129 右上:帝国書院『明解歴史総合図説 シンフォニア』p.178
右下:帝国書院『明解歴史総合図説 シンフォニア』p.153 画像省略
9 授業の提案 授業の位置付け 歴史総合「D グローバル化と私たち」の一単元として実施 授業時数はおおむね3~5時間程度を想定 ※1時間でも可 情報教育との連携 あくまでも「歴史の学習」であり、地歴科教員が実践することを想定 情報科教員がTTやサポートティーチャーとして関与することを期待
2023-03-25 (Sat.) JSET2023年春季全国大会 歴史教育の中で情報教育を扱う授業の提案 「情報教育を意識的に重視した歴史教育」の実践
10 単元の流れ 2023-03-25 (Sat.) JSET2023年春季全国大会 歴史教育の中で情報教育を扱う授業の提案 導入 現代のグローバル社会と情報化 展開1 講義:情報化の具体的事例
※情報科と連携 展開2 問題提起と議論 e.g.)AI普及で社会はどう変化するか? まとめ 自分自身が生きる未来の情報社会の姿を考える
11 導入:現代のグローバル化と情報化 歴史教育として、現代のグローバル社会に着目 情報科によってもたらされる具体的事象の検討 (予想される生徒の回答例) インターネットの普及、スマートフォンの活用、AIの台頭 etc. 2023-03-25 (Sat.) JSET2023年春季全国大会
歴史教育の中で情報教育を扱う授業の提案
12 展開1:講義:情報化の具体的事例 情報化の具体的事例に関する講義 単元の理解に必要な最低限の知識を身につけさせる (詳細は情報科で学習) 情報科で学習済の場合は復習として扱う 具体的内容は情報科教員と連携して検討 情報科教員がゲストティーチャーとして授業に参加することも想定 2023-03-25 (Sat.)
JSET2023年春季全国大会 歴史教育の中で情報教育を扱う授業の提案
13 展開2:問題提起と議論 展開1で学習した内容に基づき、生徒に課題を考えさせる ある程度の具体性・将来性を持たせた問題提起 e.g.) 「AIが普及することで私たちの社会はどのように変化するか?」 課題が提示されたら、課題を克服する未来のあり方を検討させる △ 「問題が発生するから使わない」といった消極的意見 ◦
「問題を克服してどのように活用するか」といった積極的意見 大局的で他人事の意見だけではなく、自分自身が参画する未来社会の 問題解決という観点での思考を促す 2023-03-25 (Sat.) JSET2023年春季全国大会 歴史教育の中で情報教育を扱う授業の提案
14 まとめ:未来の情報社会の姿を考える 授業全体の学習を振り返り、自分自身が生きる未来の 情報社会の姿を考えさせる 歴史の授業であるが、過去を振り返るだけに留まらず、 過去からの学びを未来の創造につなげることを意識 2023-03-25 (Sat.) JSET2023年春季全国大会 歴史教育の中で情報教育を扱う授業の提案
15 提案授業の実践 2023年2月 高校で授業実践 今後、どこかの学会・研究会等で報告予定 2023-03-25 (Sat.) JSET2023年春季全国大会 歴史教育の中で情報教育を扱う授業の提案
16 Summary(再掲) 高校地歴科「歴史総合」において、情報教育の視点を重視した 歴史教育の授業が実践可能 現代は情報社会 → 現代史と情報教育は親和性が高い 歴史総合の教科書等には情報教育に関連する内容が存在 具体的な授業の提案 歴史総合
「D グローバル化と私たち」の授業として開発 過去からの学びを未来の創造につなげることを意識 2023-03-25 (Sat.) JSET2023年春季全国大会 歴史教育の中で情報教育を扱う授業の提案 導入 現代のグローバル社会と情報化 展開1 講義:情報化の具体的事例 ※情報科と連携 展開2 問題提起と議論 e.g.)AI普及で社会はどう変化するか? まとめ 自分自身が生きる未来の情報社会の姿を考える