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感染症の数理モデル15

 感染症の数理モデル15

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Daisuke Yoneoka

December 04, 2025
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  1. 目次 1. 感染症のコンパートメントモデル 2. 基本再生産数 3. 最終流行規模 4. R実装 5.

    人口の異質性とSIR 6. 再生産方程式とエボラ vs インフル 7. R0の推定方法(流行初期) 8. 内的増殖率の検定 9. Effective distance 10. 分岐過程 (Branching process) 11. 大規模流行確率と水際対策 12. Backcalculation 13. 致死率の計算 14. (シンプルな)ワクチン接種の自然史と流行条件 15. ワクチン接種VEの推定 16. 従属性現象における因果推論 17. ワクチン接種戦略について 18. 報告間隔の緩和 19. 予防接種戦略 20. 麻疹のモデリングについて(Mizumoto et al. 2018, Euro Surveil) 21. 予防接種の効果のモデリング 本書の内容をカバーします。 具体的なコードなどは右の本 詳細なプログラムなどは https://github.com/objornstad/epimdr/tree/ master/rcode (結構間違ってる。。。) 2/48
  2. ワクチン免疫の持続時間を考慮 • 天然痘ワクチンは1980年まで (WHOが1980年に根絶宣言) • すでに45年が経過 103 ワクチン 接種者の うちある

    一定以上 の免疫を 保持して いる割合 部分的にワクチン免疫が残っている • ほぼ全員が感染からは防がれていない • 半数は死亡からは防がれている 部分的にワクチン免疫が残ることはいいことか? • 感染者は軽症で過ごすかもしれないので診断遅れ • 軽症なので(未接種者の感染者より)多い接触 数理の言葉で言い換えると ワクチンの部分的免疫は、何も免疫がない場合 と比べて流行はどうなるか?
  3. R 0(一人の感染者が生み出す二次感染者の平均値) を使った定式化 • 未接種者はR0 人うつす • 接種により割合vf が完全な免疫、割合vp が部分的免疫を得る

    • Rji はj→iの二次感染者の平均値 • ワクチン接種者においては • 感受性の減弱がαs 、感染性の減弱がαi • 部分的免疫を持っている場合 • 接触回数はαm 倍になっちゃう(ワクチン打ったからって安心して接触しちゃう) • 感染性期間はαd 倍になっちゃう(ワクチン打ったから軽症で診断が遅れちゃう) 未接種者同士の接触による二次感染者数は 未接種者1人が生み出す接種者の二次感染者数は 接種者1人が生み出す未接種者の二次感染者数は 接種者1人が生み出す接種者の二次感染者数は 104
  4. ワクチン接種下の再生産数 • 次世代行列 • これのスペクトル半径(最大固有値)がワクチン接種下の再生産数 105 が流行拡大の条件なので Notations (再掲) •

    未接種者はR 0 人うつす • 接種により割合v f が完全な免疫、割合v p が部分的免疫を得る • R ji はj→iの二次感染者の平均値 • ワクチン接種者においては • 感受性の減弱がα s 、感染性の減弱がα i • 部分的免疫を持っている場合 • 接触回数はα m 倍になっちゃう(ワクチン打ったからって安心して接触しちゃう) • 感染性期間はα d 倍になっちゃう(ワクチン打ったから軽症で診断が遅れちゃう)
  5. 元の世界に戻りたい気持ち • COVID-19のデルタ株での実効再生産数(R)は1.3~1.5程度。 • デルタ株のR0 は5.75くらい • 予防接種が比率p (=0.4くらい?) •

    予防接種によって逃れた発病リスクをε (= 0.8くらい?) • 接種下の実効再生産数は • 元の暮らしに戻りたいよね よしワクチンパスポートなどで接種者から規制を緩めて元の生活に戻りましょう • 実際は未接種の若者中心に接触が流行前に戻っていく(ex. イスラエル、英国) 106 ちなみにp=1でもR 3 >1なので必ず流行