DevRel/Asia 2020での発表資料です。 https://devrel.dev/asia-2020/speakers/yuko/
15年続く老舗技術メディアのリブランディングで考えたこと2020.11.14 @kondoyuko from SHOEISHA Co.,Ltd.DevRel/Asia 2020
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自己紹介近藤佑子 aka @kondoyuko / ゆうこりん• 所属:株式会社翔泳社– CodeZine編集部 編集長– Developers Summit オーガナイザー• メディアの立場でDevRelに関わる– DevRelCon Tokyo 2017-2020 スタッフ– DevRel/Japan 2019 スピーカー&スタッフ• 開発者と一緒に踊る、キャッチコピーは「踊る編集者」kondoyuko516kondoyukoアイコンアー写
CodeZine / Developers SummitCodeZine:2005年から続くソフトウェア開発者向けメディアDevelopers Summit:2003年から続くソフトウェア開発者向けカンファレンス
DevRel/Japan 2019での登壇内容https://devrel.tokyo/japan-2019/speakers/kondoyuko/https://speakerdeck.com/kondoyuko/how-to-make-a-tech-conference-from-an-editors-perspective
Developers Summit 2020
Developers Summitを通じて感じた手応え• 特定のテーマ(例「ともにつくる」)のもと、多数の開発者が自己や他者と向き合う1カンファレンスがそんな機会となる可能性を感じた• 出版社が主催するからこそ、広く届いて多くの開発者の助けになりうる。その結果、世の中が良くなることにつながるかもしれない
デブサミの運営を通じて上がった視座• デブサミで感じた手応えは、Webで開発者に広く参照してもらえるCodeZineにも適用できるのではないか?• 「いいメディア/イベントを作りたい」から「いいメディア/イベントで世の中を良くしたい」へ自分のなかで視座が上がった
そんなことを考えていたら・・・• 2020年2月下旬「CodeZineの編集長を任せたい」と上長から伝えられた• 新型コロナウイルス感染症拡大の影響でカンファレンスの中止が相次ぐ時期
そして2020年6月:CodeZine 15周年を機に編集長を交代編集長交代の告知ニュースhttps://codezine.jp/article/detail/12344いきさつをふりかえったブログhttps://kondoyuko.hatenablog.com/entry/2020/10/08/190000
今日お話したいこと• 開発者向けメディア「CodeZine」の15周年にあたり、リブランディングとして何を行ったか• リブランディングで学んだこと
こんな課題を持っている方のヒントになるかも?• 長年続く開発者向けの取り組みを新しく引き継いだ方• 取り組みを時代に合わせてアップデートしたい方
老舗技術メディアのリブランディングで何を行ったのか
リブランディングで行ったこと• コンセプトの刷新• ロゴの刷新• Webとイベントの連動
CodeZineの新コンセプト• 旧コンセプト:開発者のための実装系Webマガジン• 新コンセプト:デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア
リブランディングの背景• 視座が上がっていた私は、2020年6月のCodeZine 15周年に向けてコンセプトやロゴの変更を行いたいと提案• 2020年1月末、編集部と広告営業メンバーで「CodeZineはどんなプラットフォームでどんな社会的責任があるのか」というテーマで検討会議を開催した
話し合ったこと• いま開発者を取り巻く状況にはどんな課題があるか• CodeZineによって誰のどんな課題を解決したいか
ミーティングの様子開発者を取り巻く課題について CodeZineが解決しうることについて
出てきたトピックとそれに対してできそうなこと(一部)• 開発者向けの情報が多すぎる– 現場視点の解説記事– メルマガ• キャリアに悩みがある– 若手向けキャリアインタビュー– ロールモデルとなりそうな方の紹介• 技術と他分野の掛け合わせが広がっている– 開発とビジネスがうまく連携している事例の紹介• アウトプットを高めたい– アウトプットのコンサルティング
ミーティングで前編集長が言ったこと15年前は「技術が主役」、今は「開発者が主役」
15年前は「技術が主役」、今は「開発者が主役」• CodeZine発刊当初は今より個人の発信が多くなく技術情報を発信するだけで貴重だった?• 現在、多様な手段で技術情報が得られるなか、開発者を主役に据えた情報発信をしていきたい→開発者の成長(キャリア)と現場の課題解決に焦点
早い段階でプレスリリースを作成• Amazonの開発スタイルを参考に、コンセプトを考えたらまずプレスリリースを作った• 折々で修正しながら完成形に持っていくhttps://codezine.jp/article/detail/12344
新旧ロゴ比較旧ロゴ 新ロゴ
なぜロゴを変更したかったか• 旧ロゴは一昔まえの印象があり、今風にしたかった• 翔泳社が持っている開発者向けプロダクトのブランド統一ができていなかった
各種プロダクトの旧ロゴ
ロゴ発注の際にお伝えしたこと• 開発者に新しい印象を与えたい• フォントウェイトは細すぎず太すぎず– 参考となるロゴもいくつか提示• 関連プロダクトが統一感あるようなデザイン• デブサミ/デブストは大きく印象が変わらないように• ロゴタイプの前に●型のアイコンがあるとよさそう?• プレスリリースの草案も共有
最終的に完成したロゴ
実際のプレスリリース文面より(ロゴについて)Developers Summitが、デベロッパーとしての頂点を目指し高め合う「山」のような存在だとしたら、CodeZineは、デベロッパーを取り巻く不確実性の高い環境を「海」とたとえ、デベロッパーがその大海原を進んでいくためのガイドでありたい。そう考え、CodeZineの新しいシンボルとして「コンパス」のマークを採用しています。カラーリングやモチーフは当初から意図したものではないが、考えるなかで、イメージがつながっていく感覚があった
Webとイベントの連動• デブサミとCodeZine、それぞれブランドがあるが、同一企業・チームで運営されていることがあまり知られていない• Webとイベントのシナジーを強めることで、開発者のアウトプットが最大化され、学びが深くなりブランドもより強固になると考えられる
行っていること(まだ道半ば)• ロゴに統一感をもたせる(既出)• デブサミの特設コーナー(Developers Online)の設置• 「開発者の成長ジャーニー」を考え、社内に共有
CodeZine内にDevelopers Onlineの設置• デブサミ/デブストのレポートなどの関連コンテンツを紹介する特設コーナーを設置• イベントの発信をストックし、発信の価値を最大化するために拡充していきたいhttps://codezine.jp/devonline/
翔泳社プロダクトと開発者の成長ジャーニー(例)CodeZineやデブサミに触れた方が組織やコミュニティで前向きな行動を起こしCodeZineの著者やデブサミ登壇者になりCodeZine Academyの講師になる各プロダクトが開発者の成長にどう関わっているか社内にイメージを伝える
リブランディングで学んだこと
リブランディングの効果• プロダクトへのオーナーシップを持てるようになった• デブサミの「ミッション」を言語化に役立った
プロダクトのオーナーシップを持てるようになった• 「借りてきた言葉」を使っていた感覚から「CodeZineは私達のプロダクトである」と思えた• 孤独なリモートワークでの自分の支えになったし、きっと他のメンバーの指針にもなったと思う
デブサミの「ミッション」を言語化に役立った• オンライン開催となるデブサミ2021で、これまで通りの価値が提供できるか不安– 雅叙園という空間も、対面の交流もない……• だからこそ、社内外の方にはたらきかけるにあたって「世の中に価値を届けるために協力してほしい!」と伝えるため、ミッションを考えた– CodeZineで一度考えていたので、スムーズに考えられた
デブサミの「ミッション」デベロッパーをスターにし、世の中をアップデートを加速する• スピーカーをスターにするのはもちろん、参加者の前向きなアクションのきっかけとなり、組織や社会、身の回りの方々から尊敬・尊重され、デベロッパー全員がスターになることを目指しています• 輝けるデベロッパーが増えた結果、価値提供が進み、世の中がより速くアップデートされると信じています
実は翔泳社やCodeZineのミッションと対応しているコンテンツで人と社会の可能性を拡げるデベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディアデベロッパーをスターにし、世の中をアップデートを加速する
デブサミのミッションの活用• 考えたミッションを社内外に伝える– 社外開発者による「コンテンツ委員会」お誘いの際に– 苦しいときを乗り切れるように社内メンバーにも• 講演依頼の際や参加者の方に向けても伝えていく予定
リブランディングで学んだこと• 引き継いだものを自分の言葉で語ることの大切さ– プロダクトへのオーナーシップ– 折れそうな心の支え• プロジェクトの「社会的責任」を伝えることの大切さ– 自分が「何のために?」と迷わないため– 社内外に協力いただき、ミッションの実現に近づくため
おわりに
新型コロナの影響で、私の生活は一変した• 勉強会にフットワーク軽く参加できない• 登壇したり、同人誌を書いたりして楽しめない• 雑談できず、孤独にリモートワークをする日々• ……
でも辛いからこそ、考え続けた• この状況のなかで開発者に貢献できることとは?• そのためにどんなメッセージを発していけばいいか?• 心が折れないように、前に進み続けるには?• 楽しく働くには? 仕事を頑張れるには?• ……
自分を省みて、世の中へと接続する• 自分の取り組みにどんな社会的責任があるか考える• それを自分の言葉にする• まわりに伝え、実現のため協力してもらう• 世の中が良くなることに接続していると信じる
自分の取り組みが世の中につながっていると信じてともにがんばりましょう!