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サービスイノベーション

 サービスイノベーション

デジハリのデジタルヘルスラボで話した時の資料
デジタルサービスを念頭にサービス開発の基本的な考え方をまとめた

masashiokawa

July 26, 2018
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  1. Copyright © 2018 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 自己紹介 【専門領域/研究テーマ】

     専門:サービスイノベーション、サービスマネジメント  BtoBビジネスモデルイノベーション支援(特に製造業のサービス化)  デジタル化を伴う産業構造転換(Digital Transformation)の調査研 究・政策提言  デジタル新サービス開発支援(ユーザー起点、Agile、UX) 【プロジェクト実績(商工会議所)】  日本商工会議所「中小企業活力増強のためのITサービス・レシピ」  東京商工会議所「ものづくり企業の現状・課題に関する調査」 【講演】  経済産業省、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、  日本経団連、経済同友会、日本商工会議所、自治体、業界団体  商工会議所:東京、大阪、名古屋、神戸、札幌、静岡、青梅等 【出版・寄稿】  出版:IoTまるわかり、ビジュアル解説IoT入門(ともに三菱総合研究 所編、日本経済新聞出版社)  寄稿:読売新聞朝刊、日経新聞朝刊、朝日新聞朝刊、日刊工業新聞、 読売オンライン(帝京大学入試問題)、 プレジデント(特集監修)、 日経ビッグデータ(連載)、 週刊東洋経済、日経コンピュータ、 日経 Biz Gate、学会誌、専門誌 【外部活動:公的団体】  明治大学 サービス創新研究所 客員研究員  東京商工会議所「ものづくり企業の現状・課題に関する調査」 専門家ワーキンググループ 座長  ロボット革命イニシアチブ(RRI) 中堅中小AGメンバー 【外部活動:私的団体=コミュニティ活動】  エンタープライズIoTLT主催者、ヘルスケアIoTLT主催者(日本最 大のIoTコミュニティ「IoTLT」分科会)  M5Stack User Group Japan 言い出しっぺ  D Empowerment Lab主催者 大川真史(おおかわまさし) ウイングアーク1st株式会社 エヴァンジェリスト 妻(遺伝看護専門看護師、臨床/教育/研究)、子供(小学生)2人 @masashiokawa masashi.okawa1 @masashiokawa
  2. Copyright © 2018 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 会社概要 3

    商号 ウイングアーク1st株式会社 (英文表記:WingArc1st Inc.) 所在地 〒106-6235 東京都港区六本木三丁目2番1号 六本木グランドタワー 創業 2004年3月 資本金 2億円 事業内容 ソフトウェアおよびサービスの開発・販売 決算期 2月 従業員数 連結554人/単体482人(2018年3月1日現在) Empower Data, Innovate the Business, Shape the Future. 東京(本社) 仙台 新潟 札幌 広島 福岡 大阪 名古屋 JAPAN 8拠点 文雅科信息技术 (大连)有限公 司 文雅科信息技术 (上海)有限公 司 WingArc Singapore Pte. Ltd. WingArc Australia Pty Ltd GLOBAL 4拠点
  3. Copyright © 2018 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 事業概要 4

    市場シェア(SVF、EUR) 販売実績 SVFの累計導入社数は2万1000社にのぼ り、10年以上にわたってトップシェアを 維持しています。 SVFの特長のひとつである「保守継続率 の高さ」が、ソフトウェア基盤事業の安 定的な成長を下支えしています。 国内 シェア 第1位 62.8% ※ミックITリポート2017年「帳票設計・運用製品の市場動向、帳票運用製 品」(2017年度)をもとにウイングアーク1stが作成。日立製作所と帳 票分野で提携(2018年4月)し、同社が保有する帳票ソフト「EUR」の資 産取得を行ったことに伴う数値。 リカーリング ライセンス 2013 2014 2015 2016 2017 (億円) 83 83 84 91 102 ソフトウェア基盤事業 業務に欠かせない帳票の効率的な運用を支援 帳票基盤ソリューション 帳票クラウドサービス 市場シェア(Dr.Sum、MotionBoard) 販売実績 BI市場の成長を牽引するリーディング カンパニーとなっています。 大規模での導入やソリューション化(複 数の製品の組み合わせ)の推進により、 成長が加速しています。 国内 シェア 第1位 15.9% ※株式会社アイ・ティ・アール「ITR MARKET VIEW DBMS/BI市場 2018」データ分析/レポーティング市場:ベンダー別売上金額推移および シェア(2016年度) 2013 2014 2015 2016 2017 (億円) 30 32 37 42 54 Dr.Sum SPA MotionBoard ソリューション データエンパワーメント事業 成長のための業務改革をデータ活用からサポート 集計・分析プラットフォーム BIダッシュボード 電子活用ソリューション Salesforceデータ 編集ツール 第三者データ 提供サービス
  4. Copyright © 2018 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. デジタル技術革新とサービス化する社会 6

    第4次産業革命 自律的な最適化 (AI、IoTなどデジタル化) 第3次産業革命 自動化 (コンピュータ) 第2次産業革命 動力革新 (電力・モーター) 第1次産業革命 動力獲得 (蒸気機関) 工業化社会に最適化された産業構造・企業組織形態・就業構造が劇的に変わる可能性 18世紀 19世紀 20世紀 21世紀 社会構造 サービス化社会 工業化社会 イノベーション の源泉 ユーザーインサイト獲得→ユーザージャーニー、UX 技術獲得 → 機能・製造 仮想・ネット中心 実物・実体が中心 イノベーション 創出の対象 外部分散・集結 内部集積 ユニークな 経営リソース 出所:経済産業省「新産業構造ビジョン」「第4次産業革命クリエイティブ研究会」より講演者作成
  5. Copyright © 2018 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. デジタル・サービス化する社会で何が起きているのか 7

    • 産業の垣根がなくなり、現在の 市場を一変させるようなビジネ スが生み出される時代 • クリエイティビティを用いた価 値創造や、ユーザー体験(UX = User Experience)を重視した、 ユーザー視点での最適な価値提 供が重要 顧客価値 時間 非連続の技術やビジネスモデル イノベーション (Disruptive) UBER Facebook 世界最大のタクシー会社 →車両を保有していない 世界で最も普及したメディア →コンテンツを作っていない Alibaba airbnb 世界最大の小売業 →在庫を持っていない 世界最大の宿泊サービス会社 →物件を持っていない 既存の技術やビジネスモデル 改良型イノベーション (Incremental) インダストリー3.0 インダストリー4.0 デジタルエコノミー 出所:経済産業省「第4次産業革命クリエイティブ研究会」より講演者作成 アセットなし UXが競争優位の源泉
  6. Copyright © 2018 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 0 10

    20 30 40 50 60 70 80 90 100 1986年 1991年 1996年 2001年 2006年 2011年 2016年 PC普及率 スマホ普及率 PC-9801 1982年発売 Macintosh 1984年発売 iPhone3G 2008年発売 Windows95 1995年発売 デジタル体験の新世界 (第4次産業革命) ・体験が違う ・価値観が違う ・コミュニケーションが違う ・働く環境が違う ・マネジメントが違う ・・・・・・・・ パソコン、スマートフォンの世帯普及率 コンピュータがある生活 (第3次産業革命) 出所:情報通信白書(http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/)より講演者作成 サービス化社会のマジョリティ=デジタルネイティブ 8 • スマホネイティブは、それまでの世代とデジタル体験に対する認識が根本的に異なる • デジタル技術を使い「何かをする」際には、この点は忘れてはならない 人類史上初、身近に デジタルが存在 ↓ 人・社会がデジタルで表現
  7. Copyright © 2018 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. (参考)「デジタル化(IoT、AIなど)」のしくみ 9

    モノ (物や人) モノ (物や人) データ蓄積、 データ分析 デジタルで表現された 「モノ」「コト」 新しいコト デジタルで 「新しいコト」 ビッグデータ 3Dプリンタ ロボット スマホ AI センサー スマホ  これまでリアル・アナログだったモノやコト が「デジタル」になって、誰もが気軽に触れ る・知るようになり、ユーザーにとって新し い「コト」が起きる  いまのIoTやAI進化のインパクトは、 ① これまで専門家じゃないと出来なかった複雑 な事がどんどん簡単になって自分で作って自 分で使って自分で改善する ② 100万円していたシステムが、1万円のツール で実現できたり、コストが劇的に下がる  技術的には以下の点が注目されています。 ① フリーソフト(OSS)の高度化・標準化 ② Web系言語でモノが扱える ③ 画像・動画の解析技術の進展 出所:「IoTまるわかり」(三菱総合研究所編)より講演者作成
  8. Copyright © 2018 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. サービスイノベーションの視点 10

    サービスの定義 サービス提供者が、対価を伴って受容者の望む状態変化を引き起こす行為 時間 他社サービス (役務、ソフトウエアなど) 自社リソース (役務など) 場面 モノ(製品など) 望む状態変化 =価値創造 出所:東京大学 サービス工学研究会 価値の特徴 ユーザーが知覚する価値は、事前期待・提供プロセス・成果品質で決まる サービスイノベー ションの視点  UX、ユーザージャーニー(状態変化(価値創造)の変遷)  価値創造に関わるすべて(事前期待・提供プロセス・成果品質+ビジネスモデル・エコ システム)をデザイン サービスの特徴 消滅性(Perishable) 在庫できない(常に受給がアンバランス) 無形性(Intangible) 見えない、知財保護出来ない、価格設定が難しい 変動性/異質性(Heterogeneous) 提供の状況に左右される、標準化、品質管 理が難しい 同時性(Simultaneous) 生産と消費が同時に起こる、時間と場所の制約、 顧客接点機能が重要
  9. Copyright © 2018 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 事前期待:事前期待の持ち方と顧客満足の関係 11

    • 事前期待がないサービスは価値と知覚されない 事業者 サービス提供者 (従業員、組織) モノ (製品、設備) サービス機能 モノを届ける 知りたい事を教える 色々な事を相談する 所有物を修理する 代りに手配する ・ ・ ・ ユーザー 事前期待の持ち方 潜在的な事前期待 状況で変化する 事前期待 個別的な事前期待 共通的な事前期待 【ユーザーの認識(評価)】 感動サービス ホスピタリティサービス 素晴らしいサービス ワン・トゥ・ワンサービス 価値あるサービス マニュアルサービス 当たり前サービス 顧 客 満 足 大 小 成果品質・ プロセス 品質 事前期待に適合していない 迷惑行為・大きなお世話 出所:諏訪良武『顧客はサービスを買っている』(ダイヤモンド,2009)より講演者作成
  10. Copyright © 2018 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. • サービス設計で想定した顧客期待価値は必ず外れる。知覚価値とは常にギャップが生まれる。

    • どれだけ早く正確にギャップを把握し、素早くサービス設計を修正できるかが要諦。 提供プロセスと成果品質:常にギャップが生まれる 12 想定した 顧客の 期待価値 お客様 サービス 設計 期待価値 設計したサービス (期待価値) 内部事情(リソース、 予算、期間) 設計したサービス サービス提供 実際に提供した サービス サービスの 背景、解釈 (提供サービス) (期待価値) 知覚価値 知覚価値 =対価支払 サービス 品質 素早くサービス設計を終始する ギャップを 正しく把握する 出所:ジェームス・トゥボール『サービス・ストラテジー 』(ファーストプレス,2007)より講演者作成
  11. Copyright © 2018 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. サービス開発の基本 13

    作るべきサービスは何か? → ユーザーが使い続けるサービス サービス開発で 重要な認識  いいサービスの答えはユーザーが決める。自分達では決められない。  ユーザーは「何がいいサービスかUXか」を教えてくれるわけではない。 サービス開発の 基本方針  ユーザー試行して、失敗と修正が多いほど「いいサービス」になる。  1回でも多く、1日でも早く、ユーザーから「ダメ」といわれるべき。 サービス開発の 進め方 試行錯誤 (失敗と修正) アイデア 利用開始
  12. Copyright © 2018 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 【新しい】 アジャイル

    アジャイル開発 14 • アジャイル(試行錯誤型)で開発する。アイデアを出来るだけ早く具体化/具現化し、ユー ザー等による検証(試行)を行い、すぐ修正し、再度ユーザー検証(試行)を行う。 • アジャイル開発は「利用開始=改善のスタート」である。ツールは明確なゴールがない。 ユーザーの状況変化が続く限り、最適なツールは変化する。 ジャーニー マップ 【従来方法】 ステージゲート/ ウォーターフォール アイデア 検討 実現性・ 市場性検討 開発 量産・上市 試作・ビジ ネスプラン 検証 具体化 評価 修正 ロ ー ン チ MVP/ MVS プロト タイプ 出所:三菱総合研究所「社会シフト×デザイン=新しいかたちの新事業開発」(https://www.mri.co.jp/news/seminar/ippan/021540.html)より講演者作成
  13. Copyright © 2018 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. チーム:圧倒的に不足しているのはデザイナー 15

    • ユーザーを中心に、Director、UX(=User eXperience:ユーザー体験)Designer、Digital Engineerが少人数で一体となって、アジャイルに試行錯誤を行う。 【Digital Engineer】ツール等の事例収集と評価  Web APIを利活用できる技術がある  幅広く情報を取得し、自サービスに導入できる目利きができる  自分で試作(プロトタイプ)を作ることができる 【UX Designer】ユーザーインサイト獲得  現場の観察や対話を通じてユーザーインサイトを獲得する  UXだけでなく、サービス全体(エコシステムとビジネスモデル) をデザインできること  開発するサービス・ツールの良し悪しが決まる 【Director】課題探索と優先度  実体を受け入れ、ユーザーと共に課題を探索する能力がある  探索した課題の中から優先度を決める能力がある  チーム外との調整、ノイズキャンセリングが得意 User (実際に価値を 受容) Director (価値探索の推進、 優先度決め) UX Designer (ユーザーインサ イトの獲得) Digital Engineer (情報収集、 評価と適用)
  14. Copyright © 2018 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 工業化社会イノベーション方法論の終焉 16

    出所:ダレル・マン,「TRIZ:必要だが不十分 市場およびすべてを包括する理論」,小西慶久訳, 第5回日本TRIZシンポジウム(2009年9月10-12日, 国立女性教育会館,埼玉県), 日本TRIZ協会,2009年9月,http://www.triz-japan.org/PDF/05-02_EI02jS-Mann(UK)-090825_J.pdf(p. 9, 2013年1月24日アクセス) 発 想 支 援 法 、 マ ー ケ テ ィ ン グ 手 法 、 分 析 手 法 知って損なし 気楽に使うと痛い目に あう HowよりWhat、Why が重要 振り翳すなら、知らな い方が良い レトリック、結果論 次々出てくる経営手法、 バズワードはこの文脈 で理解すべき イノベーティブなアイ デアは出ない
  15. Copyright © 2018 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. 強いてやるなら→ビジネスモデルキャンパス 17

    • 事後的な思考の整理としてビジネスモデルキャンパスなどを使うのは効果的 • ただし作成後すぐに捨てて試行錯誤を再開すべき Strategyzer AG 出所:Strategyzer AG「The Business Model Canvas」(https://strategyzer.com/canvas/business-model-canvas)より講演者作成
  16. Copyright © 2018 WingArc1st Inc. All Rights Reserved. (おまけ)サービスマネジメントの基本的構造 18

    • 「サービスプロフィットチェーン」とは、サービス業において、売上・利益の成果を得るために主な 要因の関係性を示したフレームワーク • サービスプロフィットチェーンにおける内部プロセスと外部プロセスの2つ視点からマネジメント上 の戦略要素が導出される。 【サービスプロフィットチェーン】 内部プロセス 外部プロセス 顧客満足 従業員 満足 従業員ロイヤ ルティ 顧客ロイヤル ティ 社内サービスへの投資 従業員の 生産性 社内サービス (*)の質 顧客への価値 提供 売上・ 利益 * 職場環境、意思決定権限、 従業員の選抜と育成、報酬と評価、 顧客サービス用ツール 出所:W.アール.サッサーJr、J.L.ヘスケット 他「サービス・プロフィット・チェーンの実践法」(ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー)より講演者作成