Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

複雑なビジネス環境における システムデザインを体験するゲーム(JSAI/SIG-BI 15th))

複雑なビジネス環境における システムデザインを体験するゲーム(JSAI/SIG-BI 15th))

m-miura.jp

March 18, 2020
Tweet

More Decks by m-miura.jp

Other Decks in Education

Transcript

  1. Copyright levii Inc. All rights reserved. 発表概要 Presentation • 背景・目的

    • ゲームの紹介 • 実践例 • まとめと今後 複雑性や不確実性が大きいビジネス 環境での製品開発について考えるための 導入教材としてシリアスゲームを開発 した。
  2. Copyright levii Inc. All rights reserved. イノベーションは右上にある 複雑さ (部品や関係者が多い) 新規性

    より複雑で、より新しい製品やサービスを作っていかねばならない
  3. Copyright levii Inc. All rights reserved. 株式会社レヴィ:VUCA時代のシステムデザインを探求・普及 • JAXA宇宙科学研究所で学んだメンバーが集まって創業 •

    システムデザインの独自フレームワーク「システミング」 を提案し、トレーニング/コンサル/ツール等を提供 • 大阪府立大学、鳥取大学の工学教育にて実践&改善 認識をそろえる 不確実性を減らす システム思考 「価値があること」 を検証する 「ちゃんと動くこと」 を検証する
  4. Copyright levii Inc. All rights reserved. システムデザインのフレームワーク:システミング システミング 製品・サービスをシステムとして捉えて、 チームで共通のゴールを描きながら価値提供を実現するためのフレームワーク

    様々な立場や観点から見 たシステムについて考え ます。 チームやステークホルダ と認識をあわせながら デザインを進めます。 価値の検証、整合性の検証、 チームやステークホルダとの 合意を大切にします。
  5. Copyright levii Inc. All rights reserved. システムデザインのフレームワーク:システムモデル 10 外部 要素

    システム 外部 要素 外部 要素 外部 要素 物理要素 物理要素 物理要素 物理要素 物理要素 アクション アクション アクション アクション 構成モデル コンテキストモデル アクティビティモデル システムモデル利用のメリット • 理解・伝達のしやすさ • トレーサビリティ • 管理・運用のしやすさ VS
  6. Copyright levii Inc. All rights reserved. システムデザインのフレームワーク:ビューモデル システムを外から見る システムの中を見る AAA

    ビュー BBB ビュー CCC ビュー DDD ビュー FFF ビュー GGG ビュー HHH ビュー EEE ビュー 整合性 整合性 整合性 整合性 システムを表現する上で考えるべきビューと モデル間で担保すべき整合性を表現する システムをブラックボックスと して捉え、利用者の視点で要求 や 業 務 などを 記 述 するための ビュー システムをホワイトボックスと して捉え、システムの視点でシ ステムの動作などを記述するた めのビュー システムの外と中を繋ぐ境界で あり、変換を行うためのビュー
  7. Copyright levii Inc. All rights reserved. システムデザインのフレームワーク:不確実性に対処するワークプロセス システムのスコープを分割することで 不確実性を限定し、対処可能にする サブプロジェクトに分割

    アジャイル アジャイル ウォーター フォール スコープ サブシステムに分割 アジャイル アジャイル アジャイル ウォーターフォール 時間 時間
  8. Copyright levii Inc. All rights reserved. (レヴィ式の)システムデザインを学ぶ上での課題点 • 実務の中で暗黙的にやっていることが多く含まれるが、 言葉が一致しない。または言葉を持っていない。

    そのため、解説内容と自分の課題を結びつけることができない。 • 抽象的な概念(システム思考、ビュー、モデル、合意など) とその意義を理解しづらい。 • [学生・新入社員] 実務経験がなく、プロダクト/サービス開発の 全体像が分からないので、システムデザインの話に入れない。 導入教材としてのゲームを開発
  9. Copyright levii Inc. All rights reserved. システムデザイン体験ゲーム:ペジテの自転車 製品やサービスの開発の全体像をつかみ、 複雑性や不確実性に起因する問題について 考えることのできるゲーム教材

    • プレイヤ数は3~4人 • 新規製品開発チームの一員になりきって、 開発の全体を体験 • 製品開発やシステムデザインの言葉に触れる • 複雑さや不確実性に起因する問題、 システム思考の必要性などを体験
  10. Copyright levii Inc. All rights reserved. ゲーム中に出てくる言葉・概念 • 顧客要求 •

    システム要求 • 要求と機能 • リソース • 設計資産 • 流用設計 • ステークホルダ • 要求変更 • 仮説検証 • プロトタイピング • 不確実性 • 複雑性
  11. Copyright levii Inc. All rights reserved. ストーリーと勝利条件 勝利条件:ゲーム終了時に計算するスコア(顧客満足度)が      一定の値を上回ればプレイヤーチームの勝ち <ストーリー>

    あなたはペジテ社(自転車メーカー)の新製品開発チームのメンバ です。限られた資源を有効活用して、顧客満足度の高い自転車を設 計することを目指します。 ▪ このゲームは協調ゲーム(テーブル間の競争は定義できる) ▪ ゲーム終了:プレイヤがリリースを宣言したときまたは       一定のターン数が過ぎたとき ▪ 顧客満足度:(基本的には)要求の達成/不達成から計算される
  12. Copyright levii Inc. All rights reserved. リソース • プレイヤはゲーム開始時にリソーストークンを 等分して取得する

    ※シンプル編の場合:合計30を等分 • 機能の設計、行動カードの行使、設計資産化、 コミュニケーション(手札の共有)などのアクションに リソースを消費する
  13. Copyright levii Inc. All rights reserved. 各手番の行動 ① ドローフェイズ  

    機能カードか行動カードのどちらか1枚を山札から引いて手札に加える ② アクションフェイズ
  14. Copyright levii Inc. All rights reserved. プロトタイピング • 設計されているカードのうち半分(切捨)を捨てることで、 裏になっている要求カード1枚を表にする。

    • リリース可能な最小機能数を設計できていないと プロトタイピングを行うことはできない。 捨てる or 設計資産
  15. Copyright levii Inc. All rights reserved. ルールセット:複雑編 ▪ 要求数、機能数、プロトタイピング可能な最小機能数が大幅UP ▪

    初期リソース合計:45 ▪ 勝利条件:顧客満足度 ≧ 10 ▪ ターン数:20 さらに視点カードを導入
  16. Copyright levii Inc. All rights reserved. 視点カード • ゲーム開始時に各プレイヤに配布され、お互いに見ることができない •

    製品開発では、様々な視点、側面、立場を考える必要があることを表現 • しばしば視点の内容が対立するような場面が起こる
  17. Copyright levii Inc. All rights reserved. プログラムの全体(企業研修や授業の場合) チュートリアル シンプル編プレイ 複雑編プレイ

    デブリーフィング レクチャー&ワークショップへ • システム思考基礎 • ワークプロセス • システムモデリング • 課題抽出ワークショップ • …
  18. Copyright levii Inc. All rights reserved. デブリーフィング 1) 上手くいったとすれば、どうしてか? どんなファインプレーがあったか?

    2) 上手くいかなかったとすれば、どうしてか? どのようにすればよかったのか? 3) シンプル編と複雑編でどう違ったか? 4) 現実のプロジェクト活動やシステム開発と 同じところ、違うところはどこか? 5) 気になったカード、分からなかった言葉
  19. Copyright levii Inc. All rights reserved. デブリーフィングで出てくる振り返り例① 1) 上手くいったとすれば、どうしてか? どんなファインプレーがあったか?

    • 早いうちにプロトタイピングをやって要求を明らかにした • 行動カードを使ってコストを消費したけど視点を共有した • 規制が緩和されて楽になった 2) 上手くいかなかったとすれば、どうしてか? どのようにすればよかったのか? • 要求が分からないまま最後まで進んでしまった • リリースせずに続けていたらイベントカードで状況が 変わってスコアが下がった
  20. Copyright levii Inc. All rights reserved. デブリーフィングで出てくる振り返り例② 3) シンプル編と複雑編でどう違ったか? •

    視点が入ったことが大きい。視点で大きく減点されて しまった。 • プロトタイピングできず、要求カードを表にできなかった。 4) 実際のプロジェクト活動やシステム開発と同じところ、 違うところはどこか? • 同じ)隠れた要求や、要求の矛盾に苦しめられるところ • 同じ)無限会議(イベントカード) • 違う)カードや視点に相当するものは打ち合わせなどに    よって共有できると思う。
  21. Copyright levii Inc. All rights reserved. 参加者の声、感想 • 様々な要求があり、全てを満足するのは難しいことが体感でき た。また、同じ設計に対しても様々な視点があり評価が異なる

    ことが再現されていたことが印象に残った。 • 多くの要求を満たそうとするほど、システムは複雑になり、シ ステムを構築することが難しくなると感じました。 • カードゲームを通して、できる限り多くの要求や顧客の視点で の条件を満たす開発や設計の仕方や行動の行い方を考えて積極 的に行うことができた。また、色々と相談を行うことでプロ ジェクトがどうゆう風に進行するのかを模擬的に体験すること ができた。
  22. Copyright levii Inc. All rights reserved. まとめ • 製品やサービスの開発における複雑性や不確実性に対処する 方法の探求・普及に取り組んでいる(レヴィ)。

    • システム思考、ビューやモデルによる共有、システムモデリ ングなどのアプローチで方法論を整理し、トレーニングなど を提供している(レヴィ)。 • 言葉を合わせる、抽象的な概念に具体例を与える、全体像を 理解する、実務経験の不足を補うなどを目的とした導入教材 としてゲームを開発した。 • いくつかのフィールドで試行実践を行ったという段階であ り、結果の分析や評価などにはまだ取り組めていない。
  23. Copyright levii Inc. All rights reserved. これから • 教育効果の評価 ◦

    ゲーム教材の効果 ◦ 教育プログラム全体の評価 • テーマごとの導入教材 ◦ ワークプロセス ◦ ビュー、モデル、システムモデル ◦ プロジェクトマネジメント 宇宙開発体験ゲームPERITUS(鳥取大学)