なぜ、種苗法改定案で海外流出は防げないのかUPOVを含め解説
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2なぜ、種苗法改定案で海外流出は防げないのかなるべくシンプル・簡潔に解説しますこのスライドで解説すること
3農水省は「海外流出防止」を主目的として種苗法改定(自家採種の一律禁止※)を主張しているがその改定による効果が少ないことを解説します農水省:種苗法の一部を改正する法律案の概要※自家採種一律禁止の表現について正確には「登録品種の一律許諾性」ですが、はじめての方にもわかりやすいよう自家採種一律禁止として以下を進めます種苗法改定案の大目的
4種苗の海外流出をねらう者が以下のどちらかUPOV加盟国であるUPOV加盟国ではないor問題の中国・韓国はこちら大前提でおさえる必要があること※厳密には中国は78年条約加盟(UPOV条約には78年条約と91年条約があり、78年条約は育成者権の保護対象植物が少ない)なので、非加盟国としても良いが、わかりやすくここは加盟国としています。このスライドの論点には大きく影響しません。
5大雑把に言うと、種苗の開発者(育成者)の知的財産権を強める国際条約。知的財産権の強化を促進する国際条約であるため、今回の種苗法改定案の根拠にもなっていると言われるUPOV条約とは
6締結国間であれば種苗の持ち出しが許容されていることがUPOV条約の抜け道試験目的や他品種を育成する目的等での条約締結国間の持ち出しが許容されている。つまり、上記の目的で持ち出しを主張されたら、国内法で対処することができないUPOV条約の盲点・抜け道
7国際条約(UPOV条約)上位にくる下位にくる 国内法(種苗法・改定案含む)改定案の自家採種一律禁止+国内利用限定や国内栽培地域を限定しようとも、国際法を根拠に持ち出せば、それが国内法より上位なのだから流出は止められないなぜUPOV条約の抜け道が強力なのか
8つまり、最も問題視されるUPOV加盟国である中国・韓国への流出は国内法強化では無意味悪意を持って持ち出そうとする者はこのような法解釈の抜け道を使い、持ち出すことは容易に想像できます問題視される中国・韓国への流出に無力
9農水省も抜け道を知っていた(1)農水省:種苗をめぐる最近の情勢と課題について
10この事態への対策としては、種苗などの国外への持ち出しを物理的に防止することが困難である以上、海外において品種登録(育成者権の取得)を行うことが唯一の対策となっています。農水省も抜け道を知っていた(2)農水省:海外における品種登録の推進について
11UPOV加盟国以外にはどう対処するのか種苗法第21条4項にて開発者の権利を保障当該登録品種等の種苗を生産する行為、当該登録品種につき品種の育成に関する保護を認めていない国に対し種苗を輸出する行為及び当該国に対し最終消費以外の目的を持って収穫物を輸出する行為上記の条文通り、UPOV加盟国ではない国に対しては、種苗の生産や販売を目的とした輸出において、開発者の権利を主張することができる
12UPOV加盟国であるUPOV加盟国ではない問題の中国・韓国はこちらまとめ丨海外流出に対しては以下で対応可海外の品種登録 現行の種苗法(21条4項)
ここまで見ていくと、海外流出防止という目的で「種苗法改定=自家採種一律禁止」とする根拠がいかに脆いものかがわかります
14自家採種一律禁止によりリスクだけ残る農家の方のコスト負担が増加グローバル種子企業の参入と訴訟リスク詳しくは以下の記事をご参考ください【改訂版】食材の高騰、安全な食材の不足が加速 – 種苗法改定について –
15改定反対は効果が少なくリスクが高いから自家採種する農家の方の負担増グローバル種子企業参入と訴訟リスク自家採種一律禁止による効果海外流出への効果が少なく、リスクが残るため反対反対賛成海外流出への効果が少ない