Microsoft PowerPoint (以下 PowerPoint) はナレーションを含めた スライドショーを動画として書き出しが可能です。このセッションでは、PowerPoint を用いて YouTube 等で放送可能な動画ファイルの作成方法と注意点を解説します。前半は制作において知っておきたい事、後半はテクニック集です。
対象 - PowerPointでスライドを作成し、登壇の経験がある方
オンライン動画コンテンツ作成術― PowerPoint でここまでできる! ―Ver. June 2020 +株式会社ソラコムテクノロジー・エバンジェリスト松下 享平 “Max” / [email protected]
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自己紹介株式会社ソラコム / テクノロジー・エバンジェリスト松下 享平 (まつした こうへい) “Max”静岡県民 新幹線通勤族 経歴: 東証二部ハードウェア・メーカーで情シス部門、EC事業責任者、IoT事業開発を経て現職講演や執筆を中心に活動、登壇回数は140+回 (2018年実績)好きな SORACOM サービス• SORACOM Funnel• SORACOM Air メタデータサービス• soracom-cliTwitter: @ma2shitaフォローはお気軽に!オンラインで活動オンラインで活動今、話しているコト: 自己紹介と今日話す事
はじめにMicrosoft PowerPoint (以下 PowerPoint) はナレーションを含めたスライドショーを動画として書き出しが可能です。このセッションでは、PowerPoint を用いて YouTube 等で放送可能な動画ファイルの作成方法と注意点を解説します。前半は制作において知っておきたい事、後半はテクニック集です。対象➢ PowerPointでスライドを作成し、登壇の経験がある方➢ バージョン: PowerPoint 2005➢ [ファイル] > [アカウント] で確認可能➢ OS 毎の違いが生じる場合は個別に記載今、話しているコト: 自己紹介と今日話す事
PowerPoint の動画作成機能ナレーション(音声)とタイミング(アニメーションやページ切り替え)が記録動画ファイル※ 具体的な操作方法は巻末をご覧ください今、話しているコト: 制作の流れとチェックポイントの全体像
制作の流れとチェックポイントスライドの作成収録と編集ビデオの作成✓ アニメーション、画面切り替え✓ フォントサイズ✓ アジェンダ分割✓ 「今話している事」共有✓ 収録準備✓ 音量✓ 速度✓ フォーマット✓ 書き出し時間今、話しているコト: 制作の流れとチェックポイントの全体像
制作の流れとチェックポイントスライドの作成収録と編集ビデオの作成✓ アニメーション、画面切り替え✓ フォントサイズ✓ アジェンダ分割✓ 「今話している事」共有✓ 収録準備✓ 音量✓ 速度✓ フォーマット✓ 書き出し時間今、話しているコト: スライド作成のポイント
登壇と異なる点とスライド制作技視聴環境に影響されやすい(画面サイズ、画質、配信プラットフォーム)➢ 後日公開無しのライブなら 144p を、オンデマンドなら 720p を想定して制作※ 144p=256x144, 720p=1280x720(= HD)カジュアル入退出、ながら視聴➢ アジェンダ分割 (別名: 連続ライトニングトーク)➢ 「今話している事」共有今、話しているコト: スライド作成のポイント
視聴環境に向けた制作ポイントアニメーション、画面切り替え➢ 144p ならば無し、720p ならば入れても良し。動画差し込みも同様。➢ 注意: FPS(フレームレート) 不足でアニメーションが台無しになるケースがあり、また、帯域を消費するため音声に影響が出る可能性があるため、極力入れない事を推奨。➢ 配信プラットフォームによってや得意な画質(FPS 含む)や音質レンジが異なるのでテストは必須。 YouTube は優秀です。フォントサイズの最小値➢ 144p ならば 24pt 、720p ならば 12pt。今、話しているコト: スライド作成のポイント
720p144p20ポイント32ポイントフォントサイズの例今、話しているコト: スライド作成のポイント
アジェンダ分割5分ネタ5分ネタ5分ネタ・・・すべてがプレゼンメッセージへつながる= 行動してもらいたい事どこから入っても役に立つオンデマンドでも便利今、話しているコト: スライド作成のポイント
「今話している事」共有話(スライド)への集中できる塾の送り迎えにおける困りごと話の目的を探る負担を無くす※ 手前なので余裕があれば的 TIPS今、話しているコト: スライド作成のポイント
制作の流れとチェックポイントスライドの作成収録と編集ビデオの作成✓ アニメーション、画面切り替え✓ フォントサイズ✓ アジェンダ分割✓ 「今話している事」共有✓ 収録準備✓ 音量✓ 速度✓ フォーマット✓ 書き出し時間今、話しているコト: 収録と編集のポイント
収録準備必要な機材➢ ノート PC➢ イヤホンあったらいいもの➢ 外部マイクイヤホンは「視聴者と同じ目線(耳だけど)」で聞いた場合のチェックに使うためなるべく用意しましょう。マイクは内蔵マイクで試してみてからでも遅くはありません。Macbook は特に内蔵マイクが優秀です。テレカン用マイク内蔵ヘッドセットならイヤホン・マイク両方が同時にそろうので便利です。今、話しているコト: 収録と編集のポイント
参考: 感情の伝達は音圧(≒音量)で決まる驚き喜び感情強度音圧伊東(水木) 久美子, 感情を含む音声に関する基礎研究 (II), 人間工学, 1985, 21 巻, 2 号, p. 81-87, 公開日 2010/03/11,Online ISSN 1884-2844, Print ISSN 0549-4974 より引用https://japanlinkcenter.org/openurl?rft.issn=1884-2844&rft.volume=21&rft.spage=81&res_id=soracom.jp今、話しているコト: 収録と編集のポイント
収録のポイント 1/2音量チェックやテストは必須➢ 本番ファイルの中にテスト用ページを準備して、収録の操作とデバイス、音量チェックを必ず行います。マイクとの距離は近く&一定を保つ➢ 音質や音量の変化を小さくすることが重要です。収録は登壇時と同様のスタイルで行う➢ 音量が上がり自然な抑揚がつきます。マイクとの距離やケーブルの長さは収録前にチェックしましょう。➢ 夜間の収録は音量が下がり抑揚も一定になりがちなので、お薦めしません。今、話しているコト: 収録と編集のポイント
収録のポイント 2/2最初の2~3枚を普段よりも遅めに話す➢ タイトルコール、自己紹介、今日話すことくらいを「聞かせるつもり」の速度で、その後は早くなっても視聴側が慣れてくれます。ページを送りながら話すのは控えるべし➢ 「この正体は…」とひきつけながら「これです」と、次のスライドに移る技法がありますが、ページの切り替えの際に音声がブツ切れます。この技法は控えた方が無難です。収録は原則走りきり、収録し直しはアジェンダ毎に➢ 少々のミスは気にせず完走することを強くお薦めします。ページ毎の収録し直しは音質や音量だけでなくテンションも異なりやすく、視聴側の集中力が低下します。今、話しているコト: 収録と編集のポイント
雑音対策雑音周辺環境要因ホワイトノイズ生活音話者要因ブレス音• 入力音量を下げ + 大きな声• 風防スポンジ• 静かな場所風防スポンジソフトウェアで解決したい場合は Krisp の利用もありノイズキャンセルソフトウェア「Krisp」の使用方法と効果https://qiita.com/ma2shita/items/84a1c80a07310c2b3d0d今、話しているコト: 収録と編集のポイント
音量チェックやテスト方法1. YouTube 等を流して PC のスピーカー音量を合わせる• ニュースを流してみるのがお薦めです。2. 収録してみる• Windows: 収録画面の [設定] でマイクが適切か確認• macOS: [システム環境設定] > [サウンド] > [入力] でマイクが適切か確認• マイクからの音量は “入力音量” で調整• 実際の収録と同様に行います。3. 再生してみる• 音量をチェックします。今、話しているコト: 収録と編集のポイント
制作の流れとチェックポイントスライドの作成収録と編集ビデオの作成✓ アニメーション、画面切り替え✓ フォントサイズ✓ アジェンダ分割✓ 「今話している事」共有✓ 収録準備✓ 音量✓ 速度✓ フォーマット✓ 書き出し時間今、話しているコト: ビデオの作成のポイント
書き出しフォーマットWindows• HD(720p)• 記録されたタイミングとナレーションを使用する• [ビデオの作成] のダイアログで “MP4” を指定macOS• ファイル形式: MP4• 品質: インターネット品質• 記録されたタイミングとナレーションを使用する今、話しているコト: ビデオの作成のポイント
書き出し時間書き出し時間は、最短でも再生時間と同じだけかかります。macOS での書き出しが不安定な場合があります。macOS で収録した pptx ファイルは Windows で書き出せます。早めに書き出しリソース確保しましょう。AmazonWorkspaces という技もあります。今、話しているコト: ビデオの作成のポイント
私たちはアナウンサーではない。プレゼンターである。プレゼンの極意は「行動を促す」こと。恐れるべきは「言い間違えより “勉強になりました”」ミスは気にせず、情熱を!
テクニック集• 収録からビデオ書き出しまでの操作• スクリーンキャスト(画面録画)• テロップ(動画への重ね合わせ)• 複数の動画をつなげる• ffmpeg の活用
テクニック:収録からビデオの書き出しまでの操作
収録の開始収録をしたいスライドを選択して >[スライドショー] > [スライドショーの記録]• Windows: 左上の [記録] をクリックして3秒カウントダウンの後に収録が始まります。• macOS: この瞬間から収録が始まります。注意点: 常に上書き収録となります(macOS は特に注意)。収録済みか否かは、スライド右下のスピーカーアイコンの有無で判別可能です。
収録画面 (Windows)3カウントダウン後に表示ページから収録開始(止めるまで続きます)表示ページから再生開始 (止めるまで続きます)マイクデバイスの設定表示ページの収録済み時間全ページの収録済み時間この画面になり次第収録開始。操作はスライドショーと同じ。(スペースや矢印キーで次のアクションや次のページへ、ESCで終了)※ アクションやページ切り替えのタイミングも記録されます。注意点: 「次のスライド」を見ることができない
Windows の注意点収録中は “次のスライド” を見ることができません。(マルチモニターでも表示できません)タブレットやスマホ、もしくは別モニターにスライド全体を表示しておく等が考えられます。PowerPoint は同じファイルを複数ウィンドウで表示することができないので、同一 PC 別モニターの場合は PDF 化するなどの工夫が必要です
収録画面 (macOS)この画面になり次第収録開始。操作はスライドショーと同じ。(スペースや矢印キーで次のアクションや次のページへ、ESCで終了)※ アクションやページ切り替えのタイミングも記録されます。表示ページの収録済み時間全ページの収録済み時間
収録内容のチェック音声のみスライド右下のスピーカーアイコンの音声コントロールパネルで再生音声+タイミング[スライドショー] >[現在のスライドから]
収録時間の確認スライド毎の収録済時間は [スライド一覧] で確認可能。この時間の総和が動画時間となります。※ 収録画面には総時間が表示されますが、上書き収録の危険性があるためお薦めしません。
収録のし直し収録をし直したいスライドを選択し、収録の操作を行えば「上書き」で収録できます。(確認ダイアログが出ません)• 収録はページ単位となりますが、収録開始を行ったページから収録終了まで続きます。• 当該ページだけ収録し直したい場合はバックアップファイルを作った上で操作する事をお薦めします。(当該ページを終わらせたつもりで次のページに移動すると、次のページも「収録」されてしまいます)
PowerPoint の「ビデオの作成」[ファイル] > [エクスポート] > [ビデオの作成]Windows(mp4, wmv)macOS(mp4, mov)
テクニック: スクリーンキャスト(画面録画)WindowsPowerPoint で[挿入] > [画面録画]あとは録画範囲を指定していして録画を開始します。macOSQuickTime Player で [ファイル]> [新規画面収録]出来上がったファイルをPowerPoint に貼り付けます。https://support.apple.com/ja-jp/guide/quicktime-player/qtp97b08e666/mac
テクニック: テロップ(動画への重ね合わせ)動画をスマホ等で撮影した後PowerPoint 上で合成できます。利用例としてはネームテロップなどが考えられます。再生時間に合わせてアニメーションを重ねることもできます。※クロマキー合成機能はありません。 動画PowerPoint 上で作ったオブジェクト動画
テクニック: 複数の動画をつなげる動画をそれぞれページに貼り付けることで書き出し時に1つの動画にすることができます。その際ページ間に「画面切り替え」によるエフェクトも有効になります。(いわゆるトランジション機能)ページ間の切り替え時間は動画の再生時間分待ってくれるため、タイミングの設定も不要です。応用として、一つの動画の中で中間部分を切り取りたい場合にも利用できるテクニックです。動画1動画2画面切り替え [フェード]
テクニック: ffmpeg の活用再エンコーディングで 1/5 程度に圧縮できます。ffmpeg -i orig.mp4 out.mp4再生時間を数%圧縮できます(その分、早口になります)。# 再生時間を5%短縮ffmpeg -i orig.mp4 -filter:v:0 "setpts=PTS/1.05" -filter:a:0 "atempo=1.05" out.mp4音量を調整します。# 現状の音量を調査する (max_volume を調べる)ffmpeg -i orig.mp4 -vn -af volumedetect -f null -# max_volume が 0 になるようにゲインを調整する (max_volume の結果が -12.5 dB だった場合)ffmpeg -i orig.mp4 -af volume=12.5dB out.mp4
世界中のヒトとモノをつなげ共鳴する社会へ