YouTubeで公開した動画に使用した投影資料の共有です(2026/7/23公開)。
■動画の内容
日本経済新聞が「『のれん』償却維持で決着」と報じ、日本基準は非償却の国際会計基準や米国基準とは一線を画すことになりました。
この決定に対し、中小企業M&A専門の公認会計士が「なぜ償却を続けるべきなのか」を、反対派の言い分も正面から認めたうえでわかりやすく解説します。
■動画URL
「のれん償却」が維持される理由をM&Aの公認会計士がわかりやすく解説!(17分49秒)
https://youtu.be/O98suDS6LIw
■出演者
古旗淳一(公認会計士・税理士)
株式会社STRコンサルティング代表取締役
買い手企業担当者としてのバックグラウンドを生かし、独立後は数多くのM&Aの相談に対応。
専門家としての知識と現実的な実務経験、最新の現場情報を踏まえてわかりやすく解説します。
【動画内容の要約】
M&Aで会社を買収すると、買収額と純資産の差額が「のれん」として資産に計上されます。この「のれん」を毎年費用にする「償却」を続けるか・やめるか――何十年も続いてきた世界的な論争に、2026年7月、日本は「償却維持」で決着しました。この決定に賛成する理由を、反対派の言い分も正面から認めたうえで解説します。
▼ のれんとは何か──なぜ理論上は償却すべきなのか
・のれんとは、買収額が資産・負債の価値の合計を上回る差額(=事業の稼ぐ力)のこと
・買った時点の「稼ぐ力」は時間とともに失われるため、規則的に費用化(償却)するのが理論的に一貫している
・買収後に維持・強化した価値は「自分で作り出した価値」であり、会計上は資産計上できない
▼ 「のれん負け」──償却がM&Aの足かせになっている現実
・買収先が黒字でも、のれん償却費が重く連結決算では減益に見える現象
・上場企業は目先の利益を削られるため高値を出しづらく、償却費ゼロを前提に価格提示できる海外企業に争奪戦で競り負けやすい
・シナジーは数年かけて出るのに償却費は初年度から満額発生し、買収直後ほど負けやすい
▼ 償却費は「投資回収のノルマ」──暴走を止める歯止め
・償却費は「投資額のうち今年回収すべき額」を突きつけ、回収が達成できているかを検証する役割を持つ
・実例:連結決算義務のない非上場の調剤薬局会社が、償却費が出ないまま高額買収を繰り返し、投資を回収できず経営破綻
・飛行機の計器と同じで、見たくない数字を消せば異常に気づけないまま墜落する――償却はその歯止めになる