ICH M10 生物学的分析法バリデーション 2

ICH M10は生物学的な分析方法に対するバリデーションについてのガイドラインです。バリデーションの種類や方法、報告について述べられています。2では、クロマトグラフィーのバリデーションについてまとめています。

Transcript

1. ICH M10 生物学的分析法バリデーション 2 2021/2/13 Ver. 1.0
2. クロマトグラフィー: 対照 検量線、QC＊のために利用する • 検量線用、QC用のサンプルは別のストックから準備する • 内部標準を追加して検量線作成、QCを行う • 標準物質はトレーサブルなものとし、品質確認を行う • 局方・社内標準のいずれにおいてもCoA＊が必要となる ＊QC: Quality control、CoA: Certificate of Analysis 試験成績書
3. クロマトグラフィー: 対照 検量線、QCのために利用する • MS使用時には安定同位体ラベルの内部標準を用いる • CoA記載の安定性維持期間のみ標準を使用可能 ＊MS: Mass Spectrometry、質量分析器
4. クロマトグラフィー: バリデーション Selectivity（選択性） • 測定に干渉する物質の存在下で、分析対象を特定できる能力 • 分離度に近いことを指していると思われる • 6個以上のブランクサンプルを用いて検証する • 内部標準、被験物質と同じ場所にピークを認めない
5. クロマトグラフィー: バリデーション Selectivity（選択性） • 分析対象の下限20%、ISの下限5%に干渉がないことを確認 • 血漿中のトリグリセリドの影響を調べておく • 溶血の影響を最低でも1サンプルで調べておく
6. クロマトグラフィー: バリデーション Specificity（特異性） • 分離度に近いが、構造的に類似したものとの差を指すようだ • クロマトグラフィーでの分離と分子量について検証する • 分析対象の下限20%、ISの下限5%に干渉がないことを確認 • 物質が構造変化後に元に戻るような現象も検証する
7. クロマトグラフィー: バリデーション Matrix effects（対象サンプルの影響） • 低/高QCでそれぞれ最低3回、6ロットで検証する • 平均精度が±15%、個々のサンプルで15%以上とならない • 特殊集団（腎機能障害など）のMatrixでも可能なら検証する
8. クロマトグラフィー: バリデーション Calibration curve and Range（検量線と範囲） • 既知濃度の分析対象を用いて検量線と範囲を決定する • 検量線から下限・上限の検出限界を決定する • 濃度は0を含め、その他6点を取る • 基本的な回帰計算方法を用いて検量線を引く
9. クロマトグラフィー: バリデーション Calibration curve and Range（検量線と範囲） • 数日にわたる最低3度の測定結果でバリデートする • 下限は±15%、その他は±20%以内になることを確認 • 6点以上のうち、75%が規格内となることを確認する • 最低でも1度は新規調整した標準で測定する
10. クロマトグラフィー: バリデーション QC用サンプルの調製 • 既知濃度の分析対象を含む、研究サンプルを模したもの • 分析精度を保つため、通常標準とは独立に調製する • 検量線範囲内で4濃度として調製する • 下限の3倍、上限の75％以下で30-50％の濃度を準備する
11. クロマトグラフィー: バリデーション 正確性と精度 • QC測定において、各測定、測定間比較により求める • 各濃度のQCに対して最低5回繰り返して検証する • 2日間にわたる3回以上の測定での検証も行う • 分析サンプルと同等濃度での検証を最低1回行う • 共に±15%（下限は20%）以下となるようにする ＊正確性（Accuracy）と精度（Precision）だが、何を指しているのかいまいち不明
12. クロマトグラフィー: バリデーション キャリーオーバー • 事前に測定したサンプルの残留量を指す • 上限濃度サンプル後にブランクを測定して評価する • 下限の20％以下、ISの5％以下となることを確認する • 避けられない場合はサンプルをランダム化できなくなる ＊IS: Internal standard、ブランクをサンプル間に挟んだりして減らすことはできる
13. クロマトグラフィー: バリデーション 希釈に対するインテグリティ • 希釈が測定に影響を与えないことを検証する • 希釈濃度ごとに5回以上繰り返して検証する • 正確性・精度が±15％以内となることを確認する