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経営に活用!SDGsを成長戦略に!

KI Strategy
October 18, 2018

 経営に活用!SDGsを成長戦略に!

経営戦略にいかにSDGsを統合し、成長戦略を描くかを紹介します。

KI Strategy

October 18, 2018
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  1. 2 0.自己紹介 株式会社KI Strategyは、サステナビリティーとイノベーションを専門としたコンサル ファームとなります 今井健太郎(いまいけんたろう) 埼玉県深谷市生まれ。 早稲田大学 政治経済学部 国際政治経済学科卒

    ・専門は国際金融と開発経済 ・第54回全日本大学囲碁選手権で全国制覇 野村総合研究所 ・フィンテック領域を中心とした調査・研究 ・内部統制やリスクマネジメントに関わるコンサルティング ・ファンドラップ販売に関わるフロントシステム企画、営業 等 株式会社KI Strategy、代表取締役 ・事業会社の経営戦略、中期経営計画策定支援、新規事業開 発支援 ・外資戦略系コンサルファームのPJ支援 等 代表取締役社長プロフィール 項目 内容 会社名 株式会社KI Strategy (旧株式会社KI Strategy) 所在地 〒108‐0014 東京都港区芝5丁目27番3号B-102号室 ホーム ページ https://www.kistrategy.co.jp/ 設立 2016年6月 アドレス [email protected] 事業内容 企業の社会的インパクトを含む、企業価値の 最大化を専門としたコンサルファーム ・経営戦略策定支援、CSV経営支援 ・途上国BOP、SDGsビジネス企画・支援 ・企業文化、リスクマネジメント支援 ・IR、CSR(統合報告書)策定支援 等
  2. 5 1.SDGsとは? SDGsは、企業・団体の、規模の大小に関わらず、企業経営においても活用できる特 徴を内包している ルールや規制、認証ではな い 世界が目指すべき「目標」で あり、追加のコストが発生す るルールや規制ではない 世界共通の言語・旗印

    世界共通言語であるため、同 じ目標を目指す企業・団体の オープンイノベーションの促 進などにも寄与 途上国だけでなく先進国の 課題もスコープ SDGsの前身のミレニアム開発 目標のように途上国だけでな く、先進国の課題にもフォー カス 世界の課題であると同時に ニーズの宝庫 困り事はビジネスの種であり、 SDGsは次世代ビジネス創発の ブレストツールの役割も 目標とターゲット、指標か ら構成 17の目標と、169のターゲット、 232の指標から構成される SDGsの目標は相互に関連 しあっている 例えば、教育レベルの向上は、 貧困対策や、経済成長にも寄 与すると考えられる
  3. 8 1.SDGsとは? 偉大なプロジェクト・事業は、現在の延長線上ではなく、偉大な目標があった “If I had asked people what they

    wanted, they would have said faster horses.” -Henry Ford もしも彼らに何が欲しいかと尋ねれ ば、早い馬が欲しいと答えただろう
  4. 9 1.SDGsとは? 偉大な目標は強い力を持つ ~ケネディー元大統領がNASAを訪れた際~ “Mr. President, I’m helping put a

    man on the moon.” -The Janitor of NASA 大統領、私は人類を月に到達させる 手伝いをしているのですよ -マーク・ザッカーバーグ氏 ハーバード大学卒業式スピーチより~
  5. 11 2.2030年の世界観 2030年、国民の人口の3人に1人は65歳以上の超高齢化社会、一方でテクノロジー は指数関数的な成長をとげ、インドやアフリカが台頭する世界観 2018 2030 2006 GDP ランキング 2050

    • 世界第2位 • 世界第3位 • 世界第4位 ➢ インドの台頭 • 世界第8位 ➢ インドネシアに抜かれ 、ナイジェリアと近似 国家間競争という枠 組みでは競争力が低 下してくる 超高齢化 • 約20% • 約27.3% • 約33% ➢ 3人に1人は高齢者 ➢ 全高齢者世帯の7割 が「高齢者のみ」 • 約37.8% 企業経営の観点から は、労働力人口や代 替手段の確保が急務 世界人口 • 約65億人 • 約76億人 • 約85億人 ➢ アフリカの台頭 • 約97億人 グローバル人口は成 長の一途を辿る 持続可能性が主要 テーマに テクノロジー • iPhoneはまだ登場 していない • Big Data • IoT • Deep Learning • Block Chain • ???? • ???? 指数関数的な成長 テクノロジーの進化 のスピードが課題解 決のカギとなる 変数 変化 時系列 ※出所:各種二次情報を基にLifeDrumLabが作成
  6. 15 2.2030年の世界観 企業が展開するサービスや製品も、「アナログかデジタル」や「リアルかバーチャル」と いう2項対立から成長戦略として重層的に領域を拡大~「OR」から「AND」の時代へ~ アナログ デジタル リアル バーチャル ハードウェア ソフトウェア

    オープン クローズド 無料 有料 & & & & & • 貴社におきかえて考えてみましょう • 既に、融合がはじまっているはず、されていない領域があ ればイノベーションの種になる可能性も ・ ・ ・
  7. 17 3.成長戦略の見直し 近代コンサルの父ともいわれる、「フレデリック・テイラー」の知見は、科学的管理法な ど、企業マネジメントの基礎となる手法を編み出した 【フレデリック・テイラー(1856~1915)】 • ハーバード大学法学部入学 ⇒ 目の病気で退学 ⇒ポンプ工場の見習い工

    • 当時の工場現場の賃金体系 – 出来高払い(評価は目分量、しかも給与が増えだすと管理者が賃料を下げる) – 頑張って働く人は「迷惑」 – 不信と恐怖でマネジメントする世界 • 科学的管理法 – ショベル作業の研究(最適重量、最適人員配置、給与インセンティブの分析) • 成果 – 一人当たり作業 16トン⇒59トン(3.7倍) 一人当たり賃金 1.15ドル⇒1.88ドル (+63%) – 生産量あたりコスト 72c ⇒32c(-56%)
  8. 18 3.成長戦略の見直し ただし、現在、企業の抱えている課題の多くは、「フレデリック・テイラー」の知見だけで、 解決できない領域に突入している 【テイラー(科学的管理法)が生み出した主な手法】 • タスク管理 • 作業効率 •

    マニュアル • 段階的賃金制度 • 職能別組織 • テイラーが生み出した科学的管理法は近代コンサルの基礎となったのは史実 – 問題は、現在企業の抱えている課題の多くは「シャベル」の生産性に留まらな い • ⇒「イノベーション」や「継続的な革新」「持続的な成長」をいかに生み出 し続けるか? テイラー1856~1915
  9. 21 3.成長戦略の見直し 企業の経営戦略にSDGsやサステナビリティが、注目される背景として、消費者の購 買行動の変化も影響している 販売購入者のポイント ✓ 値段、リアルな商品情報(触感や雰囲気 等) ✓ 店舗の近さ、店舗の雰囲気、店員との相性

    店頭購入 ネット購入 or ネット事前リサーチ シェアリング等 (モノを買わない?) ✓ 値段、デザイン ✓ 他商品との比較検討 ✓ 独自性・共感 ✓ 商品ではなく体験? 販売行動の変化 キーワード ✓ 商圏分析、需要予測、在庫管 理 ✓ サプライチェーンマネジメント 等 ✓ SNS、口コミ、評判 ✓ 商品の物語 等 ✓ 共感、体験 ✓ 細分化される「価値」 商品購入の意思決定に、単に値段やデザインだけでなく、商品の物語や評判・共 感、他商品との違いが重要な競争優位性を規程する要素に!
  10. 22 3.成長戦略の見直し 日本においても、近江商人の心得として、古くから「三方良し」こそが、商売繁盛の秘 訣とされてきた 買い手良し 売り手良し 世間良 し 江戸時代、伊勢商人と並んで、日本全国で活躍したのが、近江(おうみ)商人。 彼らの経営哲学として「近江商人の心得」があり、その中核をなすのが、「買い

    手良し」「売り手良し」「世間良し」の「三方良し」という基本理念。 三方良し 世間 地域やステークホルダー、社会環境のことをさす 売り手 従業員や、自社のことをさす 買い手 いわゆる「お客様」であり、最終消費者のことをさす
  11. @2018 LifeDrumLab Co., inc All Rights Reserved 24 3.成長戦略の見直し 日本企業を対象にした、ファクトベースの対象選別と、本業による社会課題の解決力

    を定量・定性的に評価し、銘柄選定を実施 ✓ 企業によるSDGsに対するコミッ トメントや取り組みなどの調査 ✓ ファクトベースで約100企業の特 定 ✓ 投資対効果、企業の基盤・持続 性(企業の社会的課題の解決 力) ✓ 企業によるSDGsの活用度合 (D-CAM等) ✓ 基準に照らした、20銘柄 (伊藤園、住友化学、リコー、 味の素など)の選抜 ✓ インデックスの作成
  12. 25 3.成長戦略の見直し ただし、ビジネスの種となる、社会課題の多くは単純系の問題ではない~SDGsウォッ シュ??~ System Thinking 一つの社会課題は、その他の社会課題と相互に結び付い ている。 複雑に絡まりあう、社会的課題やビジネスチャンスを、 様々な要因の影響関係や構造を明らかにし

    、事象の全 体像を把握する方法論として、「システム思考(システム シンキング)」と呼ばれるものがある。 「本質的な課題」はどこにあるのか?また「ベバリッジ (梃)ポイント」の特定にも有効となる。 一つの課題が、どういったその他の課題や条件によって発 生しているかを考えてみましょう!
  13. 26 3.成長戦略の見直し 非創造的企業・団体特有??の、過去の事例症候群からの脱却が求められる ✓ 因果関係が複雑で、分析は甚 だ困難 ✓ 有効な問題の解き方 ➢ 人工知能や量子コンピュー

    ター ➢ あるべき姿などバックキャス ティングやアート的思考 ✓ 因果関係が複雑だが、解けな い訳ではない ✓ ✓ 有効な問題の解き方 ➢ 専門家による整理・分析・可 視化 ✓ 因果関係がほんとんない ✓ 有効な問題の解き方 ➢ 緊急対応、レッド型組織や強 いリーダーシップ ✓ 因果関係が明確 ✓ 有効な問題の解き方 ➢ ベストプラクティスや事例調 査 カネヴィンフレームワーク カネヴィンフレームワークは、物事を因果関係の明確さに応 じて、分類するフレームワーク。 単純系であれば、事例やベストプラクティスを模倣し解決 する可能性が高い。 ただし、SDGsの目標や社会課題の多くは、「複合系」か 「煩雑系」。 SDGsに挑戦する企業は、事例やベストプラクティスの調 査はあくまでも参考であり、むしろ事例を作る活動を実施 して貰いたい!
  14. 27 3.成長戦略の見直し 「SDGs Insight」において、企業・団体のSDGsの取り組みについて定点観測を実施 していますが、事例を参考にするのではなく、事例を作る取り組みを実践して欲しい • 企業・団体自身の「公開情報」や「具体 的な問い合わせ(一次情報)」などを ベース •

    サンプル(アンケート)調査などの推計 情報や、主観的な類推や個人的な意見な どではなく「ファクトベース」の情報を 整理 • 良くも悪くも公開情報を基にしている為、 掲載企業が先進事例として捉えることを 推奨している訳ではありません • ご不明点などあれば、個別にお問合せく ださい SDGs Insight 運営方針
  15. • 長期的な目標から逆算して現状のア クションを既定する • 中長期の目標を変えるのではなく、 アクションを変える • 繰り返しになるが、現状からの事例 やベストプラクティスの参照ではな く、自社の存在理由や、ありたい姿

    の明確化がカギ ➢ 目標なきところに、戦略なし ➢ 戦略なきところに、成長なし ➢ 成長なきところに、持続可能性なし 28 3.成長戦略の見直し 2030年など、長期的な目標から、逆算していくことで、必要なアクションや、企業の存 在意義やありたい姿がより明確に あああ あああ あああ あああ あああ あああ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 長期的な目標 中期的な目標 中期的な目標 短期的な目標 短期的な目標 短期的な目標 あああ アクション セオリーオブチェンジ
  16. 30 3.成長戦略の見直し 企業の成長を支えるのは、内的要因・外的要因どちらが大きいか?勝負する領域と、 勝負する企業どちらが重要か?割と長らく研究されてきてた領域 15 % 45 % 19 %

    32 % 外部環境 内部環境 外部環境 内部環境 企業の利益分配を説明する相関係数 どこでどういった商売するかよりも、誰がやるかの方が重要、た だし、約15%は外部要因で決まってしまう Rumelt(1991) “How Much Dose Industry Matter?” McGahan and Porter(1999) “The Performance of US Corporaions 1981-1994” 企業の利益分配を説明する相関係数 業界構造の重要性を説くポーター学派による再検討でも、割合は 変わったが、大小関係(内部環境>外部環境)は変わらず ✓ 経営者の最大の悩みは結局「ヒト」と呼ばれるように、経営において「ヒト」を中心とした 内部環境の構築は競争戦略の中核
  17. 32 3.成長戦略の見直し ダン・アリエリーは、行動経済学の知見を基に、「働きがい」や「やりがい」の研究を実 施 ダンアリエリー 1967~ 【ダン・アリエリー(1967~)】 • デューク大学教授:心理学・行動経済学が専門 •

    ハーバード大学生を対象とした「働きがい」「やりがい」の研究 – 実験的にレゴピースを組み立て – 1体目完成で2ドル、2体目は1ドル89セント、3体目は1ドル78セント・・・と11セント ずつ減額させて、対象者が終了を申し出たらそこで終了、時間制限は無し • 二つのグループ分け – 【A】実験終了後に、次の実験者の為に完成したレゴピースを壊すように予め、伝えられ ている – 【B】一つ完成後に、すぐにレゴピースを壊され、また次のレゴピースに取り掛かるよう に伝えられる • Aグループの平均は10.6体、14ドル40セント • Bグループの平均は7.2体、11ドル52セント
  18. 33 3.成長戦略の見直し ささやかな意味でさえ、仕事意欲に影響を及ぼすことが分かっていても、その影響力を かなり過小評価してことが多い • この実験では同時に、レゴの愛好度が、粘り強さにどう影響するかも実験し た • Aグループにおいては、「レゴの愛好度」と「粘り強さ」には強い相関が あったが、Bグループでは無相関に

    【アリエリーの結論と示唆】 • 仕事に対して、同じ情熱や意欲を持っていても、“意味のない”仕事条件に置 かれることで、仕事から得られるはずの本源的な喜びが、いとも簡単に失わ れることがある • ささやかな意味でさえ、仕事意欲に影響を及ぼすことが分かっていても、そ の影響力をかなり過小評価してことが多い • まさに、人手不足や生産性を考える際に、何のために仕事を実施しているか は、非常に重要な問いとなる
  19. 39 x.参考資料 ただし、社会目的やサステナブルとブランドを無理に結びつけて、予期せぬ反感や反 発を招く例も ✓ 人権・人種問題が広くアメリカ国 内で議論されるべき CEOの思い スターバックスで実施 顧客からネガティブな

    反応続出 ✓ バリスタが顧客に飲み物を手渡す 際、人種問題を語り合うよう推奨 ✓ スターバックスで人種問題を語りた くはない ✓ ゆったりとコーヒーが飲みたい 取り組みは即刻中止へ 米スターバックスの事例 リスクマネジメントの観点 • ブランドが社会的メリットを主張した場 合に、消費者が抱くイメージを、ポジ ティブなものと、ネガティブなもの両方 について慎重に評価することが重要 • ネガティブな反応が誘引されるケース ➢ ブランドの主張とアクションンの不一致 ➢ 主張の政治化 ➢ スターバックスの事例 ➢ 企業の動機に対する不信感 ➢ グリーン・SDGsウォッシュ ➢ 環境等に配慮していると上辺だけ取 り繕う
  20. 40 x.参考資料 エルトン・メイヨーによると、「労働意欲」は「労働条件」より「人間関係」が決めるとして いる 【エルトン・メイヨー(1880~1949)】 • 「作業環境改革による離職率の改善」の研究 – 紡績企業→高離職率→なぜか?→「単純さ」「孤独さ」? –

    1日4回10分の休憩で離職率と生産性が劇的に改善!したが。。なぜ? – 労働環境の改善が離職率を改善させたのか? • ハーバードビジネススクールでのホーソン工場での研究 – 実験的に職場の照明を段階的に暗くしていった→しかし生産効率は向上 – そこの会社では照明を変えていない工場でも生産性は向上していった • なぜか?ヒアリングの為の面接を実施 – 面接しただけで、生産性が向上した • メイヨーの研究成果は「労働意欲」は「労働条件」より「人間関係」が決め る
  21. 41 x.参考資料 社内の内部環境の整備においても、単に制度やハード的な職場環境だけではなく、社 会的存在として、いかに適切な施策を講じるべきかを検討する必要がある 【エルトン・メイヨーの結論】 • 人は経済的対価より、社会的欲求の充足を重視 • 人の行動は合理的ではなく、感情に大きく左右される •

    人は公式な組織より、非公式な組織に影響されやすい • 労働意欲は客観的な職場環境より、職場でも人間環境に左右される – モチベーション、リーダーシップ、人間関係論などはメイヨーがそのはしり • 社内の内部環境の整備においても、単に制度やハード的な職場環境だけでは なく、社会的存在としていかに、適切な施策を講じるべきかを検討する必要 がある