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BtoB SaaSにおける新規事業開発プロセス(ミライ塾ヒトコマ講座)

BtoB SaaSにおける新規事業開発プロセス(ミライ塾ヒトコマ講座)

2025年12月15日(月)に開催された、2025年度「田町会ミライ塾」でのヒトコマ講座での発表資料です。

田町会ミライ塾は、東京圏の大学生以上を対象としたアントレプレナーシップ教育プログラムです。
大企業との共創を通じて、将来的に事業開発や起業など、価値創出を担う人材となるためのスキルやネットワークの獲得を目的としています。

● 主催
東京科学大学田町キャンパス土地活用事業 産学官連携コンソーシアム準備会
(代表:NTT都市開発株式会社)

● 協力
Beyond Next Ventures株式会社
東京科学大学イノベーションデザイン機構

● 後援
GTIE

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Shinobu Miyahara

December 15, 2025
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Transcript

  1. Self-Introduction 2 宮原 忍 MIYAHARA Shinobu 専⾨領域 BizDev / Product

    Management 2006年、⽇揮株式会社に新卒⼊社。エンジニア職として情報システムの企画‧開発‧プロ ジェクトマネジメントからグローバルIT戦略の策定と実⾏を担当。 2011年、株式会社リクルートに⼊社。不動産‧住宅領域サービスの企画‧開発‧運⽤部⾨ の戦略⽴案から実⾏マネジメントならびに周辺領域における新規事業の⽴ち上げ‧グロー ス、中⻑期経営計画に基づくR&D戦略の策定と実⾏を担当。 2017年、株式会社プレイドに⼊社。執⾏役員として、SaaS領域において事業開発からプ ロダクトマネジメント、アライアンス全般をリードし、東証グロース市場上場に貢献。 2023年、株式会社IVRyに事業開発統括責任者(VP of BizDev)として⼊社。 2024年6⽉、株式会社プレイドの完全⼦会社である株式会社CODATUMの社外アドバイ ザーに就任。⽇本事業の⽴ち上げおよびグロースを⽀援。 2025年8⽉、インシデントマネジメントに特化した技術⽀援を開発する株式会社SIGQの社 外アドバイザーに就任。
  2. 4 @IVRy Inc. All rights reserved. 4 株式会社IVRy(アイブリー) 〒108-0073東京都港区三⽥三丁⽬5-19 住友不動産東京三⽥ガーデンタワー10F

    設⽴ 代表取締役 事業内容 従業員数 2019年3⽉ 奥⻄ 亮賀 (Ryoga Okunishi) 対話型⾳声AI SaaS「アイブリー」の運営 240名以上 (2025年10⽉末時点)
  3. 5 @IVRy Inc. All rights reserved. 対話型⾳声 AI SaaS「アイブリー」とは 会社概要‧事業紹介

    AI対話による電話⾃動応答を起点に、通話データの分析からSFA‧CRM‧DWHとの連携まで⼀貫して提供すること で、電話対応にかかる時間‧⼯数‧ストレスを削減。 ⼈が “本来の仕事に集中できる時間” を最⼤化。 優れたデータ∕システム連携 AI⾳声回答 AI受付 / Q&A SMS 録⾳ 電話転送 情報資産 データウェアハウス ユーザーの 発話を認識し 適切に振り分け 発話認識 AI通話分析 SFA‧CRM システム連携 優れた対話精度、柔軟性 ⽂字起こし コンタクトセンター ご利⽤中のPBX‧CTI / IVRy独⾃のCTI 連携可能 ハルシネーション ゼロのAI対話
  4. 6 @IVRy Inc. All rights reserved. プロダクトデモ動画 [1/2] 会社概要‧事業紹介 聞き返しによる意図特定

    • 曖昧な発話があった場合にも、AIが内容を確認 する聞き返しを⾏うことで、正しい意図を特定 することが可能 お客様からの電話予約をAIが対応する機能 • リクルート社のレストランボードと連携し、電 話による飲⾷店予約の受付をAIが⾃動で対応す ることが可能
  5. 7 @IVRy Inc. All rights reserved. プロダクトデモ動画 [2/2] 会社概要‧事業紹介 AIによる⾃動ヒアリングとシステム連携

    • ⽤件に応じてヒアリング項⽬を切り替えて情報 を取得し、その内容をSFA / CRMに⾃動連携する ことが可能 在庫連携などのシステム連携 • 在庫管理システムと連携し、対話を切らずにリ アルタイムに在庫情報を⾃動確認することが可 能
  6. 8 @IVRy Inc. All rights reserved. 2021 2022 2023 2024

    2025/9 アイブリーの導⼊実績に関する情報 会社概要‧事業紹介 ※1:⾃動対話システム市場の現状と展望2025年版 / デロイト トーマツ ミック経済研究所 ※2:2024年2⽉期_クラウド型IVRシステムにおける市場調査 調査機関:⽇本マーケティングリサーチ機構 / 調査期間:2024年1⽉16⽇~2024年2⽉2⽇ ※2022年1⽉(⾃社調査)時点 97/99 導⼊ 業界数 5:5 導⼊企業 規模割合 4.9/5.0 顧客 満⾜度 *⽇本標準産業分類(令和5年)の中分類 99業界 ※2025年8月末時点 40,000 件 EP/MID SMB
  7. 10 ©Shinobu Miyahara. All rights reserved. 新規事業開発を成功に導く6つのステップ 01 02 03

    04 05 06 ターゲットセグメントの定義 MVPコンセプト資料の作成 センターピン顧客の選定 顧客ヒアリングの実施 有償PoCの提案‧獲得 事業開発計画の策定
  8. 11 ©Shinobu Miyahara. All rights reserved. 01:ターゲットセグメントの定義 CORE PRINCIPLE 事業の成否を分ける最初のステップ。⾃社が「どの市場」で「誰の、どんな課題」を解決するのか、

    データに基づき具体的に絞り込む。 KEY ACTIONS • 市場の特定 市場規模、成⻑性、競合動向などのデータを収集し、参⼊すべき市場を明確化する • 提供価値の定義 プロダクトが提供する独⾃の価値を⾔語化し、顧客にとってのメリットを定義する • 共通認識の醸成 収集したエビデンスを元にチームで議論し、全員が⽬的と意義を深く理解した「ワンチーム感」 を育む 宮原流ワンポイント • ターゲットあえて「狭く」設定する⽅が、初期の仮説検証がしやすい • マクロ(市場データ)とミクロ(顧客の声)の両⾯から根拠を⽰すと、社内外の共感を得やすくなる
  9. 12 ©Shinobu Miyahara. All rights reserved. 02:MVPコンセプト資料の作成 CORE PRINCIPLE プロダクト構想を「実現したい世界」として可視化し、顧客との対話のきっかけを作るためのMVP(Minimum

    Viable Product:顧客に価値を提供できる最⼩限のプロダクト)としてのコンセプチュアルな資料を作成する。 KEY ACTIONS • AsIs/ToBeの対⽐ 顧客の現状(AsIs)と、プロダクトが実現する理想 像(ToBe)のギャップを視覚的に⽰し、価値を明 確にする • ⾃由な発想 現時点の機能に縛られず、しかし⾮現実的になりす ぎないバランスで、理想のソリューションを描く • 反復的な進化 資料は⼀度作って終わりではない。願客からの フィードバックを元に、常にアップデートを続ける GAP AsIs 現状 ToBe 理想像 宮原流ワンポイント • 現時点では「絵に描いた餅」でも構わない。まずは願客との会話を⽣み出すことが最優先 • この段階でフィードパックを得ることで、価値を⽣まないプロダクト開発のムダを未然に防ぐ
  10. 13 ©Shinobu Miyahara. All rights reserved. 03:センターピン顧客の選定 CORE PRINCIPLE 市場全体に影響を与える「センターピン」を最初に倒すことで、波及効果を最⼤化する。

    KEY ACTIONS • キーパーソンの特定 意思決定に影響を与える役職者や担当者を特定する • アプローチの最適化 願客ごとに提供価値をカスタマイズし、最適なコンタクトチャネルを組み合わせる Who are "Center Pin" Customers? • 業界のリーダー ⾼い市場シェアやブランドカを持ち、導⼊実績が他社への強い説得材料となる企業 • 価値を最⼤化できるパートナー ⾃社プロダクトとの親和性が⾼く、成功事例として横展開しやすい企業 宮原流ワンポイント • 「あの企業が導⼊しているなら安⼼だ」という信頼感を醸成できる実績を最優先する • リストアップ時には、業界内での影響⼒や謡題の穎似性で優先順位を付ける
  11. 14 ©Shinobu Miyahara. All rights reserved. 04:顧客ヒアリングの実施 CORE PRINCIPLE 作成したコンセプト資料を元にセンターピン顧客の⽣の声を間き、彼ら⾃⾝も気づいていない

    「潜在課題」まで深く掘り下げる。 KEY ACTIONS • 課題の整理 顧客が⾃覚している「顕在課題」と、⾃覚していない「潜在課題」の両⽅を整理し、 真のニーズを発⾒する • 価値の検証 課題解決によって提供できる価値の⼤きさ、重要性、優先順位を顧客視点で確認する • プロダクト輪郭の明確化 ヒアリングで得たインサイトを元に、プロダクトが⽬指すべき⽅向性を具体化する 顕在課題 潜在課題 宮原流ワンポイント • 可能であれば対⾯で実施する。表情や声のトーンから得られる情報は多く、信頼関係の構築にも 繋がる • 事前に資料を共有しておくと、顧客が考えを整理しやすくなり、より質の⾼い対話が期待できる
  12. 15 ©Shinobu Miyahara. All rights reserved. 05:有償PoCの提案‧獲得 CORE PRINCIPLE アイデアの価値を「有償契約」という形で証明する。PoC(Proof

    of Concept:概念実証)は、 課題‧ソリューション‧収益モデルの3つを同時に実証する場である。 PoCの⽬的 • 課題の実証 顧客が本当にその課題を抱えているか • ソリューションの実証 我々の解決策で課題を解決できるか • 収益モデルの実証 顧客はその解決策に対価を⽀払う KEY ACTIONS • ⽬標設定 最低でも3社以上の有償契約を⽬標とし、 顧客のコミットメントを引き出す • 布⽯を打つ PoC成功後のプレスリリースや導⼊事例記事の 公開について、事前に確約を得ておく 宮原流ワンポイント • PoCの⽬的とゴールを具体的な成果指標として顧客と事前にすり合わせることが、成功の鍵 • 検証内容と観察ポイントを整理し、顧客の声を丁寧に拾うことで、フィードバックの質を⾼める
  13. 16 ©Shinobu Miyahara. All rights reserved. 06:事業開発計画の策定 CORE PRINCIPLE PoCで得られた定量的‧定性的なデータを元に、事業とプロダクトのロードマップを策定し、

    次のアクションを具体化する。 KEY ACTIONS • 多⾓的なフィードバック収集 顧客だけでなく、関わった社内のセールス、CS(カス タマーサクセス)、エンジニアからもフィードバック を集める • ロードマップの作成 データと知⾒を元に、事業の⽅向性を再検討し、 「事業ロードマップ」と「プロダクトロードマップ」 を作成する • リソース配分の最適化 課題の優先順位を明確にし、リソース配分やスケ ジュールを最適化。次フェーズの⽬標を具体的に設定 する
  14. 17 ©Shinobu Miyahara. All rights reserved. プロセスがもたらすもの:単発の成功から「仕組み」へ この6つのステップを繰り返すことは、単に⼀つの新規事業を成功させるだけではあり ません。それは、組織全体に新たな能⼒(ケイパビリティ)を構築するプロセスです。 探索

    (Exploration) 市場に適した提供価値を継続 的に探し続ける⼒ 進化 (Evolution) 顧客からのフィードバックを元に プロダクトを進化させ続ける⼒ コンパウンド戦略 (Compound Strategy) 複数のプロダクトを掛け合わせ 相乗効果で成⻑を加速させる⼒