Eclipse MicroProfile 4.0の状況と利用方法の展望について / Overview of Eclipse MicroProfile 4.0

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Eclipse MicroProfileの進化状況と利用方法の展望について三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社デジタルプロデュース部髙橋博実 1

髙橋博実たかはしひろみ社内のR&D（先進技術調査・開発）を担当これまでのお仕事市場リスク計算に関するアプリ開発社内アプリケーションフレームワーク開発スマートフォンアプリ開発(Scrum開発) 2 新技術調査、社内推進 Javaカンファレンス参加歴 JavaOne 2010頃から複数回, Oracle Code One 2019 SpringOne 2018 等自己紹介

3 JJUG CCC 2018 Fall Eclipse Cheについて JJUG CCC 2019 Spring Eclipse MicroProfileについて AgileTechExpo Episode0 MUITのアジャイル開発の取り組みについて外部登壇雑誌寄稿日経SYSTEMS 2017年6月号「レガシーJava」をモダナイズしよう自己紹介

会社紹介三菱ＵＦＪ銀行をはじめとしたＭＵＦＧのＩＴ戦略を支える！三菱ＵＦＪニコス三菱ＵＦＪﾓﾙｶﾞﾝ・ｽﾀﾝﾚｰ証券三菱ＵＦＪ信託銀行三菱ＵＦＪ銀行三菱ＵＦＪインフォメーションテクノロジー（ＭＵＩＴ）三菱ＵＦＪフィナンシャル・グループなどグループ会社を多数サポートシステム開発・保守運用を支援 4

会社紹介１８１百万円（三菱ＵＦＪ銀行８５％、三菱ＵＦＪﾌｨﾅﾝｼｬﾙ･ｸﾞﾙｰﾌﾟ１５％）資本金従業員１,９８２名（2020年4月現在）事業内容主として三菱ＵＦＪ銀行、並びに三菱ＵＦＪフィナンシャル・グループ各社の業務等に関する、システムの企画・設計・開発・保守・運用設立１９８８年６月 ※詳しい沿革は、当社ＨＰをご覧ください本社東京都中央区晴海二丁目１－４０採用担当メール： [email protected] 検索ワード： MUIT 5

Eclipse MicroProfileとは ◼ Java EE（今後はJakarta EE )技術をベースし、マイクロサービス構築のためのエンタープライズJavaを最適化するためのコミュニティベースの標準仕様群 ◼ 仕様策定メンバーとしては、アプリケーションサーバーベンダーおよび各地のJavaユーザーグループで構成されている Copyright(C) 2019 Mitsubishi UFJ Information Technology Ltd. All rights reserved. Payara 富士通 Tomitribe IBM Red Hat Microsoft Hazelcast Oracle SouJava KamuluzEE Hammock Lightbend London Java Community 8

Java EE、Jakarta EEとの機能差異 ◼ Eclipse MicroProfileはJava EEのバージョンアップの進化が遅いという課題から誕生した経緯もあり、以下の状況となっている ⚫ Java EE (次バージョンではJakarta EE) の一部機能をサポート - JAX-RS - CDI - JSON-P 等 ⚫ Eclipse MicroProfile独自の機能をスピード感を持って拡充。以下は代表例 - Config - Fault Tolerance - Health Check - Open Tracing Copyright(C) 2019 Mitsubishi UFJ Information Technology Ltd. All rights reserved. ※https://microprofile.io/ より画像引用 9

スタンドアロン仕様先ほどの図に記載があったもの以外にスタンドアロン仕様として以下も存在する ◼ Reactive Streams Operators ⚫ 非同期ストリーミングを提供する2つの異なるライブラリが、相互にデータをストリーミングできるようにする Reactive Streamsを3rd Party製ライブラリ依存とならないように標準仕様化したもの ◼ Reactive Messaging ⚫ Reactive Streamsに基づく非同期メッセージングに関する標準仕様 ◼ GraphQL ⚫ JavaでのGraphQLの開発において3rd Party製ライブラリ依存とならないように標準仕様化したもの ◼ Context Propagation ⚫ マネージスレッド（コンテナによって管理されるスレッド）によってサポートされるCompletableFutureを取得、管理管理を容易化する標準仕様 ◼ Long Running Action ⇨ 詳細後述 10

これまでのリリース推移 2017 2018 2019 2020 MircoProfile 1.0(Fall 2016) JAX-RS2.0 CDI 1.0 JSON-P 1.0 MircoProfile 1.1 (Aug 2017) Config 1.0 MircoProfile 1.2 (Sep 2017) Config 1.1 Fault Tolerance1.0 Health1.0 Metrics1.0 JWT1.0 MircoProfile 1.3 (Dec 2017) Config 1.2 Metrics1.1 OpenApi1.0 Open Tracing1.0 Rest Client1.0 MircoProfile 1.4 (June 2018) Config 1.3 Fault Tolerance1.1 JWT1.1 Open Tracing1.1 Rest Client1.1 MircoProfile 2.0 (July 2018) JAX-RS2.1 (Java EE8) CDI2.0(Java EE8) JSON-P1.1(Java EE8) JSON-B1.0(Java EE8) MircoProfile 2.1 (Oct 2018) Open Tracing1.2 MircoProfile 2.2 (Feb 2019) Fault Toleraance2.0 OpenAPI1.1 Open Tracing1.3 Rest Client1.2 MircoProfile 3.0 (June 2019) Metrics2.0 Health Check2.0 Rest Client1.3 MircoProfile 3.2 (Nov 2019) Metrics2.2 Health Check2.1 MircoProfile 3.1 (Oct 2019) Metrics2.1 Health Check2.1 MircoProfile 3.3 (Feb 2020) Config1.4 Metrics2.3 Fault Tolerance2.1 Rest Client1.4 Health Check 2.2 MircoProfile 4.0 (Nov 2020予定) Config2.0 Metrics3.0 Fault Tolerance3.0 Rest Client2.0 Health Check 3.0 JWT RBAC1.2 OpenAPI2.0 Open Tracing2.0 高頻度のリリースが継続されている Java EEのバージョンアップ追随などもされている 11

Eclipse MicroProfileの実装製品 12

標準仕様を採用するということについて ◼ Eclipse MicroProfileは仕様群であり、実装は持たない（独自進化のSpringBootとは対極） ◼ 仕様に則ってライブラリを実装する製品提供者と、仕様に則ってライブラリを実装するアプリ開発者双方にとってメリットのあるかたちとなっている Eclipse MicroProfileなどの標準仕様 Eclipse MicroProfileの仕様に則った製品アプリケーション実装部分アプリ開発者実装する仕様を理解する製品、ライブラリを用意する標準仕様を使うことのメリットアプリ開発者は標準仕様を理解することで、どの製品であってもスキルやソースの流用が可能例１：AプロジェクトではPayaraを使っているがBではLibertyを使う開発者のキャッチアップがしやすい例２：Aプロジェクトは製品EOLのタイミングでLibertyに乗り換えるその際の影響が限定的になる 13

UberJar ◼ MicroProfile自体の仕様に入っているわけではないが、 MicroProfile実装はUberJar機能を保有していることが多い ◼ UberJarとは、一つのJarファイルの中に依存ライブラリを含む全てのライブラリを含んでアーカイブする形式を示す ◼ Java EEでのアプリケーションの場合、①アプリケーションサーバの起動、②業務アプリケーションのデプロイという２段階であったが、UberJar形式の場合はアプリケーションサーバ関連ライブラリも含めて一つのJarファイルとなるため取り扱いが楽になるアプリケーションWar or Ear Java EEアプリケーションサーバ Java EE サーバのアプリ実行 ②アプリのデプロイ ①アプリケーションサーバの起動 UberJar アプリケーション実装部分アプリケーションサーバ関連も含む依存ライブラリ UberJar形式でのアプリ実行 ①アプリの実行のみ 14

簡単に試すには ◼ MicroProfile Starterが便利（MicroProfile 3.3リリース時にGA) ⚫ 見た目どおり、Spring Initializrに提供機能も似ている ⚫ テンプレートソースプロジェクトのダウンロードが可能 MicroProfile のバージョンを選定実装サーバーを選定（TomEE、Payara Micro、Open Liberty など） MicroProfile 各機能の利用有無を選定 Java SEのバージョンを選定現状は 8 or 11 Copyright(C) 2019 Mitsubishi UFJ Information Technology Ltd. All rights reserved. プロジェクトのソース一式のダウンロード 15

JAX-RS(Java EE) ◼ REST形式のサービスを作成する仕様 ◼ 次期Jakarta EEのバージョンでは Jakarta RESTful Web Services に名称変更サービスA or 各種クライアントサービスB ここ 17

CDI(Java EE) ◼ Dependency Injectionに関する仕様 ◼ 次期Jakarta EEのバージョンでは Jakarta Contexts and Dependency Injection に名称変更サービスここ 18

JSON-B,JSON-P(Java EE) ◼ JSONを扱う仕様 ◼ 次期Jakarta EEのバージョンでは Jakarta JSON Binding Jakarta JSON Processing に名称変更サービスA or 各種クライアントサービスB ここ 19

Rest Client ◼ RESTクライアントに関する仕様 ◼ TypeSafeであるサービスB ここサービスA 20

Fault Tolerance ◼ マイクロサービスとしてアプリケーションを作る際に別のサービスとの関連と、自サービス内のビジネスロジックを分離することを目的とした機能サービスB ここサービスA 21

Config ◼ 各種環境毎の設定の切り替えを容易にする機能サービスここソースコード内のデフォルト値設定が有効となる優先度設定ファイルで指定した値環境変数実行時引数などのシステム変数 22

Health ◼ サービスのヘルスチェック（生死監視）応答に関する機能 ◼ Kubernatesで使われる、LivenessチェックとReadinessチェックの仕様を保持サービスここ生死確認通信 23

JWT ◼ OpenID Connect (OIDC) と JSON Web Tokens (JWT）を使って認証機能 ◼ role based access control (RBAC)で作られるマイクロサービスとして提供されることを前提としているサービスここ 24

Open Tracing ◼ マイクロサービスでは、どのサービスが遅延しているか、どのサービスがどんな頻度でエラーとなっているかを可視化しておくことが重要 ◼ 本機能にて容易にトレース結果を出力することが可能サービスここ 25

Metrics ◼ 運用時に必要なメトリクスを提供する機能を示した仕様 ◼ 設定なしに以下出力可能サービスここ 26

OpenAPI ◼ OpenAPI v3 specificationに沿ったAPI仕様を提供する機能 ◼ 設定なしで出力可能サービスここ 27

Long Running Action ◼ データをロックすること無く、グローバルに一貫した結果を保証する方法で長期実行アクティビティを調整するための疎結合サービス用のAPI ◼ OASIS のWeb Services Composite Application Framework Technical CommitteeによってLong Running Action transaction modelと2006年に発表された仕様に基づいてマイクロサービスアーキテクチャベースに見直し定義 ◼ Microservices Patterns With examples in Javaという書籍でも紹介されている Sagaパターンについても、仕様の中では考慮されている ◼ 同書籍の概要については、以下サイトにまとまっている ⚫ https://microservices.io/patterns/index.html サービスA サービスB サービスC Sagaパターンでサービス毎に戻す例 29

LRAのシーケンス ◼ LRAのステータスを管理するLRAコーディネータを中心として、各サービスが参加者 (Participants)となり、LRAのステータスを管理する ◼ HelidonはLRAを実現するためにNarayana実装を利用している ◼ 各サービスのローカルトランザクション機構のみを利用 https://github.com/eclipse/microprofile-lra/blob/master/spec/src/main/asciidoc/microprofile-lra-spec.adoc 30

LRAの各種アノテーションアノテーション名仕様 @LRA LRAのライフサイクル管理対象であることを示す REQUIRED(LRA対象から呼ばれた際は合流、そうでなければ新規LRAスコープであることを示す), REQUIRES_NEW(常に新規LRAスコープ)などを属性に指定 @Compensate LRAをキャンセルした場合に呼び出されるメソッドを示す @Complete LRAをクローズした場合に呼び出されるメソッドを示す @Forget このLRAに割り当てられた任意のリソースを解放できるメソッドを示す @Leave このクラスがこのLRAに関心がないことを示す @Status この注釈が付いたメソッドを呼び出す場合、ステータスを報告する必要があることを示す 31

LRA実装イメージ LRAの開始別サービス呼び出し LRAの開始されていたら加入キャンセルの場合はコーディネーターから呼ばれるキャンセルの場合はコーディネーターから呼ばれる正常終了した際にコーディネータから呼ばれる https://github.com/paulparkinson/helidon-examples-lra 32

今後の展望について ◼ WildFly、JBoss EAPなど、Java EE（JakartaEE)のアプリケーションサーバであっても MircroProfileの仕様をサポートする製品が出てきている ⚫ 例：JBoss EAP XP (Eclipse MicroProfile Expansion Pack) ◼ 既存システムのレベルアップ時には、こういったアプリケーションサーバを利用しつつ MicroProfileの豊富な機能利用をしていきたい ◼ SpringBootを中心とした、最近のライブラリのEOL期間が短期間であることは、多くのシステムを持つ企業にとっては厳しいものがある状況 ◼ マイクロサービス化して一つ一つが小さくなっても数が多ければバージョンアップは順次やっていかざるを得なく、EOL期間内に間に合わないので検討が必要 34

まとめ ◼ Eclipse MicroProfileは2016年の登場以降、急激な勢いで進化を遂げている ◼ Java EE関連でこれまで機能具備が追いついていなかったCloud Nativeなアプリケーションで必要な機能が中心 ◼ 手軽に楽に開発できるSpringBootも良いが、これまでのJava EE関連の資産、スキル流用という観点では、MicroProfile関連も利用の視野に入れてみてはどうか？ ◼ MicroProfile Starterもあり、手軽に使いやすい状況になっているので皆さんも是非触ってみて、要望の意見出しなどコントリビュート活動を一緒にしていきましょう 35

共に変えていく仲間を募集します変革の時期に共に進めていく、Java Developer、DevOpsエンジニア、アーキテクトなど、新しい仲間を迎え、進めていきたく宜しくお願いします。気軽にお声かけ、メールください。採用担当メール： [email protected] 検索ワード： MUIT 36

◼ 本プレゼンテーションにより、貴社と三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社の間には何ら委任その他の契約関係が発生するものではなく、当社が一切法的な義務・責任を負うものではありません。 ◼ 本資料は信頼できると考えられる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。 ◼ ここに示したすべての内容は、当社の現時点での判断を示しているに過ぎません。 ◼ また、本資料に関連して生じた一切の損害については、当社は責任を負いません。 ◼ その他専門的知識に係る問題については、必ず貴社の弁護士、税理士、公認会計士等の専門家にご相談の上ご確認下さい。 37

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