2021/6/25-26に開催された「Scrum Fest [email protected]」で発表する資料です。
ニガテ意識を塗り替える~いかに組織を変えていくか~株式会社ナビタイムジャパン VP of Engineering小田中 育生
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小田中 育生(おだなか いくお)(株)ナビタイムジャパンVP of EngineeringACTS(研究開発) ルートグループ責任者経路探索の研究開発部門責任者としてMaaS時代にフィットしたマルチモーダル経路探索の開発を推進。また、VPoEとしてアジャイル開発の導入推進、支援を行いいきいきとした組織作りを目指している。著書「いちばんやさしいアジャイル開発の教本」インプレス
Learning Outcome⚫ 組織全体のマインドを変化させていくために必要な心構え⚫ 変化に消極的な人たちへのアプローチ方法Target Audience⚫ アジャイル/スクラムを組織に導入したい、組織を変革したいと考えている人たち
今日のお話の流れ⚫私のアジャイルジャーニー⚫変わりたい人たち⚫アジャイルな組織になったのか?⚫「無関心」と「失敗の記憶」⚫ニガテ意識を塗り替える
私のアジャイルジャーニー
学習期
出会い(2011年頃)チームの先輩に「新しい開発のスタイルがあるから勉強してみよう」と、「アジャイルサムライ」を勧められる。スクラムを学ぶ (2015年頃)チームで「スクラム実践入門」を読み、朝会やふりかえりなど少しづつ取り組み始めた。マネジメントに四苦八苦(2013年頃)初めて「マネジメント」を行うようになった。デマルコ本であるべき姿を思い描きながら現実とのギャップに四苦八苦していた頃。
学習+実践期
「小さくつくる」ことへの手ごたえ(2017年頃)顧客と共同でのプロトタイピング時にユーザーストーリーマッピングの作成、カンバンによる日々の開発の見える化を実施。顧客からも好評だった。スクラムの採用#1(2018年頃)「なんちゃって」ではない、スクラムガイド準拠のスクラムに初挑戦スクラムの採用#2(2019年頃)異動先でもスクラムを採用。チームが違えばやり方も違う。
学習+実践+発信期
「小さくつくる」ことへの手ごたえ(2017年頃)顧客と共同でのプロトタイピング時にユーザーストーリーマッピングの作成、カンバンによる日々の開発の見える化を実施。顧客からも好評だった。スクラムの採用#1(2018年頃)「なんちゃって」ではない、スクラムガイド準拠のスクラムに初挑戦スクラムの採用#2(2019年頃)異動先でもスクラムを採用。チームが違えばやり方も違う。実践知の発信(2020年頃)社内外で実践知を発信する機会が増えた。社内ではアジャイル導入の支援、推進も実施。「いちばんやさしいアジャイル開発の教本」を出版。
客観的な成果とメンバーの実感からうまくいっているという手ごたえを感じたRSGT2021「R&Dチームが歩むスクラム守破離ジャーニー」より引用
実践知を発信し、組織をよくしたい
自分たち以外にも実践者たちがいる
変わりたい人たちがいる
アジャイルの導入を支援・推進するワークグループが誕生
変わりたい人たち
ワークグループには様々な相談が寄せられたふりかえりをやってみたいチームの方向性をそろえたいプロセスのボトルネックを明らかにしたい
少しづつ変化の輪が広がっていく
アジャイルな組織になったのか?
社内でのアジャイル/スクラム導入状況その他
キャズムイノベーターアーリーアダプターアーリーマジョリティレイトマジョリティラガード2.5% 13.5% 34% 34% 16%社内キャズムは越えている
過半数は実施していないその他
やめた人たちもいるその他
この現状を、どう見るか
個々の意思は尊重しつつ変わるべきものの変化は後押ししたい
トップダウンで強制的に進めると、納得感が生まれづらい今日からアジャイルでやるからよろしく!なんで?…命令なら、そうする。
ボトムアップで相談ベースに広めると、届くべきところに届かないことがある届かない届かない
アジャイルに対するスタンスやってみたいやりたくない知っている知らないワークグループに相談にくる人たち特に関心がない人たち失敗の記憶がある人たち
「無関心」と「失敗の記憶」
「無関心」 と「失敗の記憶」• あるものごとに対して関心がなければ、そもそも行動しようとしない• あるものごとに対してうまくいかなかった記憶が残っていると、初めて挑戦する場合よりも挑戦へのハードルが高く感じる主体的に変化を起こしづらい層
「無関心」が発生する3つの理由• 他の方法で満足している• 現状を改善できることに気づいていない• 現状を改善することの重要性に気づいていない※PSS(Professional Selling Skills)より
挑戦は「失敗の記憶」になりやすい• 学習には5段階のレベルがある• 初めて挑戦するときは意識的無能• うまくいかなくて当たり前※NLP(神経言語プログラミング)より 無意識的無能知らないしできない意識的無能知っていてもできない意識的有能考えるとできる無意識的有能考えなくてもできる意識的&無意識的有能教えることができる
「無関心」 「失敗の記憶」にはこちらから働きかけてみる
無関心へのアプローチAAttentionIInterestDDesireMMemoryAAction
アジャイルを知ってもらう•アジャイルとは何か、なぜアジャイルなのかを伝える場をつくる•任意参加ではなく、「知ってもらいたい人」たちに伝わるような場づくり
知った上で、判断してもらえばよいやってみたいやりたくない知っている知らない特に関心がない人たち
失敗の記憶へのアプローチAAttentionIInterestDDesireMMemoryAAction
ニガテ意識を塗り替える•そもそも失敗はあるものだ、と認識する•小さな成功体験を得る•失敗しても大丈夫な場づくり•少しづつ成功できる体験の設定
ニガテ意識を払しょくするやってみたいやりたくない知っている知らない失敗の記憶がある人たち
少しづつ繰り返しながら作るということを体験する、ということは…
あらためて「アジャイルって何?」を知ってもらうのがよさそうAAttentionIInterestDDesireMMemoryAAction
知ってもらい、判断できる材料を増やすやってみたいやりたくない知っている知らない失敗の記憶がある人たち
アジャイルとは何か、なぜアジャイルかを知り実際にどう動くか体験できる研修を作ろうAAttentionIInterestDDesireMMemoryAAction
2日間の座学+演習プログラムを開発
で、どうやって参加してもらおう?
今回は推薦アプローチをとった事業責任者 メンバー
推薦は、組織にも受講者にも納得感が生まれる事業責任者 メンバー身に着けてほしい人に受けてもらえる事業責任者から認められたという自己肯定感
こうして、2日間の研修は始まった。
アジャイルソフトウェア開発宣言に始まり
少しづつ繰り返しながら良くしていく、ということを伝える
「われわれはなぜここにいるのか」を作る
実際にスプリントを回す
タスクをPBI化し、優先度をつけてプロダクトバックログをつくる
ふりかえりをやってみる
座学で知識を得る。実践する。繰り返す。そうすることで知識を定着させると同時に、少しづつ作ることの意義を体感してもらいたかった。
ニガテ意識を塗り替える
実際、研修はどうだった?
座学中に参加者がメモしていたこと
「われわれはなぜここにいるのか」作成時に出た発言メンバーワクワクしてきた!自分のチームでもこういうの必要だなこのチームに入りたくなった
実際に作られた「なぜここにいるのか」
休憩中の雑談では、こんな声も。•「アジャイル開発は自分には関係ないと思っていたけれど、インセプションデッキだったり取り入れたいな、と思うものがいくつもあった」•「(演習で作ったプロダクトバックログに対して)次に何をやるべきか、の見通しがすごく良くなった」
やった!!!!
知ることで、興味をもってもらえたやってみたいやりたくない知っている知らない特に関心がない人たち
受講者からのフィードバック
それな!!!!
ニガテ意識が払拭されたやってみたいやりたくない知っている知らない失敗の記憶がある人たち
ボトムアップとトップダウンを組み合わせ納得してもらいながら広めることができた
自分や組織が得意とするアプローチがある。それと違うやり方にもチャレンジすることが変革につながってゆく
私が次に目指すところ
そもそも、なぜ私は「自分たちから動かない」ところにまで届けたいのだろうか
私は、いきいきした現場をつくりたいAgile Tech Expo Episode 1 OKR-based Scrum Teamより
自分で手綱を握るチームはいきいきしている。チームがアジャイルになると、いきいきするはず。
研修対象を広げる。受講者をフォローアップする。受講者を次の講師として育てる。いろいろ、やりたい。そうすることで、組織を変化させる力は大きくなる。
けれども、あくまで最終的には自分で選び取ってほしい
自分たちで選びとるために必要な情報を、手助けをする。それこそが変革を後押しする。
いきいきしてるか?ご清聴ありがとうございました