本資料はSatAI.challengeのサーベイメンバーと共に作成したものです。
SatAI.challengeは、リモートセンシング技術にAIを適用した論文の調査や、
より俯瞰した技術トレンドの調査や国際学会のメタサーベイを行う研究グループです。
speakerdeckではSatAI.challenge内での勉強会で使用した資料をWeb上で共有しています。
https://x.com/sataichallenge
紹介する論文は、「Combining Deep Learning and Street View Imagery to Map Smallholder Crop Types」です。
本研究は、Google Street View画像を活用して農地ごとの作付けラベルを低コストで大量に作成し、Sentinel-2衛星データの分類に利用することで、タイ全土の作付けマップを生成する手法を提案しています。
具体的には以下のような流れです:
①Street View画像の活用:OSM道路沿いで収集したGSV画像をResNetモデルにより作物種類に分類し、作付けラベルを作成。Expert labeled、Web公開データセット、GPT-4Vなど複数のラベリング手法を比較。 ②衛星データ解析:Sentinel-2のRed Edge・SWIR・NIRなどのバンドと植生指数の時系列を調和関数で特徴量化。得られた作付けラベル(81,000点超)を用いてRandom Forestを訓練し、国家規模の作付けマップを作成。③成果:GPT-4VによるZero-shot分類が専門家ラベルを超える性能を示した点が特筆される。また、大量の弱ラベルデータが衛星分類の精度向上に大きく寄与し、Expert labeledのみのケースを大幅に上回る精度を達成。結論として、Street View×AI×衛星データを組み合わせることで、小規模農家が多い国でも高コストな現地調査に依存せずに効率的に作付け状況を把握できることを示しました。今後の課題としては、GSVのカバレッジや更新頻度への依存、似た作物の誤分類、他地域・作物への一般化などが挙げられています。