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20260205_福岡SDGs推進フォーラム_リビングラボ

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Kimura Atsunobu

January 31, 2026
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  1. 1 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 木村 篤信

    日本リビングラボネットワーク 代表理事 地域創生Coデザイン研究所 ポリフォニックパートナー 東京理科大学 客員准教授 多様なステークホルダーと実践する リビングラボ 2026/2/5 福岡SDGs推進フォーラム
  2. 2 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 木村 篤信

    (Kimura Atsunobu) Profile 地域創生Coデザイン研究所(NTTグループ) ポリフォニックパートナー 日本リビングラボネットワーク 代表理事 東京理科大学 客員准教授 東京電機大学/東京都市大学/大阪樟蔭女子大学 非常勤講師 生駒市「緑の基本計画改定懇話会」 有識者(リビングラボ) デジタル庁 認定Well-beingファシリテーター 総務省 経営・財務マネジメント強化事業 アドバイザー JST RISTEX「ケアが根づく社会システム」 領域アドバイザー 日本デザイン学会 情報デザイン研究部会 幹事 大牟田未来共創センター パーソンセンタードリサーチャー 京都大学デザインイノベーションコンソーシアム/ソーシャルビジネスネットワーク フェロー 横浜市PTA連絡協議会 理事 実践:社会課題解決/ソーシャルビジネス開発 研究:共創/リビングラボ/社会システムデザイン 教育:サービスデザイン/ソーシャルデザイン ⑧ ⑨ ⑩ 地域経営主体(中間支援団体)運営/伴走 地域共創拠点構築・運営 事業開発,政策立案,コミュニティ開発 学術論文・書籍 メディア・書籍取材 (人手不足、ウェルビーイング、民主主義、自律共生等) 大牟田市、奈良市, 岡崎市,生駒市, 八丈町,神山町, 天川村,佐渡市, 小松市、尼崎市 浦添市など 教育機関 非営利活動
  3. 4 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボとは Carayannis,

    E.G., Campbell, D.F.J., 2009. “Mode 3″ and “Quadruple Helix”: toward a 21st century fractal innovation ecosystem. Int. J. Technol. Manag 46, 201. 4重螺旋モデル:Quadruple Helix Model モノ・コトをつくるときに 生活者と行政・企業・大学が共に 暮らしの場(リビング)において 試行錯誤(ラボ)をする活動・場 (人口減少時代の社会課題解決に必要な方法論 ≒コレクティブ・インパクト) デンマークのスマートシティ研 究者とともに、日本初のリビン グラボ書籍(教科書)を刊 行。北海道から沖縄まで全 国30カ所で対話イベント実 施中。 千葉工業大学(情報学部・デザイン学部) 関西学院大学(イノベーション研究会) 官民共創HUB×東京大学(産官学民関係者) 徳島県神山町(地域創生関係者)
  4. 5 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 世界のリビングラボの分布(ENoLL過去登録済みリビングラボ 500+@40か国,ENoLL,

    2024) ※ENoLLとは 欧州で2006年に立ち上がったリビングラボの 国際的ネットワーク。欧州委員会の資金提 供プロジェクトを活用しながら、EUの政策提 言や、リビングラボの推進に取り組んでいる。 出典:https://enoll.org/
  5. 6 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 日本のリビングラボの年表と分布 2005.03

    仙台フィンランド健康福祉センター 2006.09 Lions Living Labo 2010.01-2014.03 湘南リビングラボ 2010.11 経産省 情報政策課 リビングラボ紹介 「情報政策の要諦ー新成長戦略におけるIT・エレクトロニクス政策の方向性」 2011.10 みんなの使いやすさラボ(みんラボ) 2011.12 BABAラボ 2012.08 富士通総研 リビングラボ研究レポート 2012.10 おたがいさまコミュニティ 2013.02 Living Lab Tokyo 2013.07 Virtual Living Lab 2014.12 松本ヘルスラボ 2015.01 三浦リビングラボラトリー 2015.04 子育てママリビングラボ 2015.09 Cyber Living Lab 2016.01 第5期科学技術基本計画(Society5.0) 2016.01 八千代リビングラボ 2016.06 みなまきラボ 2016.07 産総研スマートリビングラボ 2016.07 東急WISE Living Lab 2016.11 鎌倉リビング・ラボ ほか5件 2017.01 井土ヶ谷アーバンデザインセンター(井土ヶ谷リビングラボ) 2017.05 ともに育むサービスラボ(はぐラボ) 2017.06 福岡ヘルス・ラボ 2017.09 経産省 ヴィンテージ・ソサエティ構築実証事業(リビングラボ4 件) 2017.09 神奈川ME-BYOリビングラボ 2017.10 高石・僥倖リビング・ラボ 2017.12 ドリームハイツ ヘルスケア リビングラボ(とつかリビングラボ) ほか9件 2018.02 大牟田リビングラボ 2018.03 横浜リビングラボ創生会議 2018.04 第一回リビングラボネットワーク会議 2018.04 こまつしまリビングラボ 2018.07 経産省 「未来の教室」実証事業(大牟田リビングラボ含む4件) 2018.10 サイクル・リビングラボ 2018.11 地域共創リビングラボ ほか10件 2019.02 Well Being リビングラボ 2019.03 第二回リビングラボネットワーク会議 2019.10 岡山リビングラボ ほか3件 2020.07 関内リビングラボ 2020.08 厚労省 「介護ロボットの開発実証普及のプラットフォーム事業」 (リビングラボ6件) 2020.03 経産省 リビングラボにおける革新的な社会課題解決サービスの 創出に係る調査「リビングラボ導入ガイドブック」 2020.10 おやまちリビングラボ 2020.11 奈良リビングラボ ほか8件 凡例) オレンジ色:日本全体の動き 黒色:他の日本での取り組み ※木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課題、 (調査資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局を元に作成 日本のリビングラボデータベース (100件以上のリビングラボが存在) ※日本リビングラボネットワーク 実践事例部会調べ ( 2023/04 時点 ) 佐渡自然共生ラボ 大牟田LL おやまちLL 丹後LL 鎌倉LL 未来LL 磯子杉田LL みんなのまちづくり スタジオ ふじみ野LL はぐラボ むlabo TEN no KUNI Folke LLs Academy
  6. 7 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 日本リビングラボネットワーク(JNoLL)の活動概要 日本において共創やリビングラボの実践がさらに活性化し、普及することを目指して、設立。多様なステークホルダーが立場

    を超えてフラットにつながり、実践知や課題を共有し合うことで、さらなる実践や成果をもたらす場や機会をつくり出している。 また、リビングラボのポータルサイトでの情報発信や、支援サービスの提供も行っている。 ❸リビングラボ運営者支援サービス ❶リビングラボ実践者/ 研究者ネットワーク ❷実践を支えるフレームワークの 研究開発 チーム組成& ビジョン形成 計画立案・共有 予算・ 契約 具体的な 共創 価値の振返 り・発信 国内実践者・研究者と共に、事例対話の分析を通じて 実践支援の核となるフレームワーク等を研究開発 25地域を超える実践者が集い、コアチームを組成し、 実践者による実践者のためのコミュニティを運営。 1000名を超えるリビングラボ関心層に発信可能なネットワーク (企業7割,自治体2割,研究者1割) 研究開発の知見を核に、体系化されたリビ ングラボ運営者支援メニューを開発・提供 リビングラボML
  7. 9 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボのアプローチが有効な事業領域 企業がサービスを一方的に提供するだけでなく、それを利用・運用する人・団体が一体的

    に変容する必要がある領域において、Coデザイン/リビングラボのアプローチが有効 地域銀行・インフラ会社・自治体等 地域事業者と一緒に 地域経営を考える 中央官庁・自治体・デベロッパー等 生活者・当事者と一緒に 政策や官民協働プロジェクトを考える (プロセスエコノミー等) サービス・プラットフォーム提供者等 (CtoCマーケットプレイス、製薬会社) 利用者と一緒に プラットフォーム利用体験を考える 社会的インパクトを志向する事業・社会実装 生活者・自治体・企業と一緒に 研究の社会実装を考える (現場の統合的な課題把握)
  8. 10 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボが活用される場面 欧州をはじめとしてさまざまなプロジェクトが取り組まれており(440+)※1日本では経産省・厚労省が活用し

    始めている(100+)※2また、大きくは以下の4種の場面で活用されている※3 ②行政サービス改善 (enabler-driven) -住民・NPOと自治体の関係性構築 -陳情や自治体の政策エビデンス獲得 -地域としての政策イノベーション by自治体・住民/NPO etc. ①ビジネス・技術開発 (utilizer-driven) -サービス検証 -事業開発・イノベーション創出 by民間企業・大学etc. ③地域活性化 (user-driven) -地域関係者のつながり形成 -地域のにぎわいづくり(イベント) -持続的な住民生活の問題解決・価値向上 by住民/NPO・デベロッパー・ 自治体 etc. ※1:European Network of Living Labs (ENoLL) 5大陸35カ国から151組織のアクティブメンバー(過去の登録メンバーは全 世界で500組織以上)(2023.04) ※2:木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課題、(調査資料 2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局 ※3:Leminen, S., Westerlund, M., & Nystrom, A. G.(2012).Living Labs as open open-innovation networks, Technology Innovation Management Review Review. ④方法論研究 (provider-driven) -方法論の実践 -方法論の体系化と展開 By大学・研究機関 etc. 松本ヘルスラボ ME-BYOリビングラボ 丹後リビングラボ 佐渡島自然共生ラボ イノベーション神戸 Turinリビングラボ ・・・ 鎌倉リビングラボ みんラボ フューチャー・リビ ング・ラボ(日立) ノボ ノルディスク エーザイ韓国 ・・・ おやまちリビングラボ 寿リビングラボ WISEリビングラボ デルフト工科大 ・・・ 東大 KDDI研 NTT研 i-mec Public- intelligence ・・・
  9. 12 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボの3つの系譜 系譜1:シチズンサイエンス

    (現場で学びを得る科学へ) 系譜2:オープンイノベーション (みんなに開いてつくる文化へ) 系譜3:参加型デザイン (使うものを自らつくる権利へ)
  10. 13 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 系譜1:シチズンサイエンス(現場で学びを得る科学へ) ※川喜田(1967)発想法―創造性開発のために,

    中央公論社. 1990年代から実験科学・市民科学の分野でLiving Labと名前の付い た活動が行われている • “The Living Lab is a pilot program teaching estuarine issues to junior and senior high school students.” (Short, 1992) • “The program has a room in the residence quarters of the YMCA called the ‘’Living Lab.” This laboratory is an opportunity for a youth to gain practical experience living on his or her own while receiving support from staff, DYFS and other agencies.” (State of New Jersey, 1993) • “From using the environment as a living lab to enhance your science and math studies to using it to help inspire your students to create poetry, there are many innovative ways to promote outdoor experiences with your students.” (Wood et. al., 1993) 実験科学[Lewin,1946;Kawakita,1967;Neisser,1978]や市民 科学[Short,1992;Wood,1993]の分野では、限定的な環境での試 行実験の限界に対して、アクションリサーチ、野外科学、PBLなどの実環 境での実践や検証が重要視された。リビングラボの概念の提唱者として 知られるWilliam J. Mitchellは建築分野でこの取り組みを行った人物 である[Mulvenna;2011]。 特徴 • 実環境下(real-life setting) • 生徒の巻き込み(student involvement) • エンパワーメント(empowerment)
  11. 14 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 系譜2:オープンイノベーション(みんなに開いてつくる文化へ) ※D.A.

    Norman, (1990)誰のためのデザイン?,新曜社. Human Computer Intaraciton(HCI)の分野では、ジョージア工科大学の Aware Home Projectが1999年にLiving Laboratoryという概念を取り上げ て研究を行った(Cory et al.1999) 欧州委員会は2013年のダブリン宣言で、オープンイノベーション2.0をオープンイノ ベーションの新たなパラダイムとして考え、欧州全体で推進していくこと ・ 世界に発信し ていくことが決議され、「Open Innovation 2.0 Yearbook」では、Living Lab が多く取り上げられている 1980年代にパーソナルコンピューターが普及したとき、人としての使いやすさに焦点を当てた ユーザ中心設計Norman(1986)が提唱された。これは限定的な関係者による設計の 限界に対して、実際のユーザの巻き込むアプローチであり、その後サービスデザイン [Stickdorn;2012]などに拡張されていった。また、企業イノベーションにおけるオープンイノ ベーション[Chesbrough;2003]や行政運営における市民参加の梯子 [Arnstein;1969]など、さまざまなセクターのモノづくり(コトづくり)においても、関係者に 開いてつくる文化(デザインの民主化)へのシフトが志向されている。 特徴 • ユーザの巻き込み(user involvement) • 共創(co-creation) • 価値協創(joint-value) • ガバナンス(governance)
  12. 15 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 系譜3:参加型デザイン(使うものを自らつくる権利へ) ※S.

    Bodker et al. (2021) Participatory Design, Springer. 職場の生産性を高めるために技術システムを導入したい経営者と、自分たちの 労働の現場に技術システムを入れることに不満を持つ労働者との対立に対して、 第3の道として、民主主義的な方法で問題解決を図ったのが参加型デザイン ノルウェー鉄・金属労組の技術プロジェクト(1970年~) スウェーデンのDEMOSプロジェクト(1975~1979年) デンマークのプロジェクトDUE(1977~1980年)など 北欧リビングラボの源流と言われる参加型デザイン[Nygaard,1975]は、社会民 主主義的な理念を持ち、生活者やユーザの権利として、自らが身の回りにある組 織構造やプロセス(社会技術システム:Socio-technical system[Trist,1951])に対して主体的に関わっていくことが基本的な考え方と なっている。形を持つ製品から、形を持たないサービス、さらには組織や社会につい てまで、それを設計・運用することに主体的に関わる活動が展開されてきた。 特徴 • エンパワーメント(empowerment) • 自発性(Spontaneity) • ガバナンス(governance) • ラピッドプロトタイピングと評価(rapid prototyping & testing )
  13. 16 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 系譜3:参加型デザイン(使うものを自らつくる権利へ) 経営者

    テクノロジーの 活用 労働者 現場にいる アクター リビングラボ 実生活環境に おける実験 意思決定に関わる権利や働き甲斐 労働運動の標語 ”8時間の労働・8時間の自由・8時間の休息” 経営者は職場の生産性を向上 オートメーション化する 電子機器の発展と導入
  14. 17 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボの方法論的特徴 みんなと

    現場で 自らつくる 系譜1:現場で学びを得る 系譜2:みんなと開いてつくる 系譜3:使うものを自らつくる権利
  15. 18 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 共創における「問いと土壌の循環モデル」 共創活動

    総体的・連続的 に深める問い 主体的に 動き出せる土壌 やってみる どうあるべきか のんびりする やってみる ※木村ら(2021)持続的な活動/持続的な変化に向けたリビングラボ概念の拡張, 第68回 日本デザイン学会 春季研究発表大会 成果・報告・形式知の領域 欧州のリビングラボ・プラットフォームを分析すると、連続的に共創活動(プロジェクト)が 生まれてくる背景には、社会として「主体的に動き出せる土壌」や「総体的・連続的に深め る問い」が重視されている状況がある。 プロジェクト (市民・企業・行政・ 大学による活動) プラットフォーム (個々の活動を応援 する取り組み)
  16. 20 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 地域で課題解決に取り組む2つの視点 市町村の

    社会システム 相似形 地域の現実 (大牟田) 地域の現実 (奈良) 地域の現実 (神山) ・・・ 視点① 地域ごとに問題の違いがある システムエラー ②社会システム転換 (痛みを生み出す 構造的を転換) ①地域課題解決 (地域の目の前の 痛みに対処) 視点② 日本(ときに世界)全体で共通性がある (地域ごとに状況(地域資源・環境等)に違いはあるが) 個別性が高く 課題解決が スケールしない 地域課題 地域課題 地域課題 普遍性が高く 課題解決が スケールしうる 市町村の 社会システム 市町村の 社会システム ※現実と社会システムの ズレが地域課題を生んでいる (システムエラー) システムエラー システムエラー 国の社会システム
  17. 21 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 個別の地域活動や企業サービス、 領域ごとの政策による対応で

    バケツの穴(問題)を事後的に塞ぐ 新しい社会構造(システム)への 転換を志向することで 穴(問題)が生まれづらい状態をつくる + 個別の穴(問題) を防ぐ 構造(システム)の転換※を志向 社会システム転換(トランジション)のアプローチ 目の前の痛みに対処する (問題再生産の構造延命)だけではなく、社会システムの原理を転換するため の実践(新たな社会/ビジネスモデル)が志向され、システム・トランジション、コレクティブインパクト、トラン ジション・デザイン、システミック・デザインなどの方法論が提唱されている。 e.g.本籍校に復帰できることを目標にする適応指導教室 e.g.人手が足りないので好待遇で採用活動 e.g.クマが出てきたので駆除活動 e.g.学習計画を子どもたち自身が作るイエナプラン教育 e.g.働く人が働きたい地域・力を発揮しやすい職場づくり e.g.クマと人が共生できる自然環境回復に向けた取り組み
  18. 23 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs システム転換のローカルアジェンダ:労働供給制約社会 構造的な人手不足により働き手を補えない「労働供給制約」状況となり、物流、建設・土木、介護、交通、小売、飲食

    などの生活維持サービスが維持できない状況が迫っている。 未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる(2023),リクルートワークス研究所. 「働き手不足1100万人」の衝撃(2024)古屋星斗、リクルートワークス研究所 日本での社会構造転換のメインアジェンダは“構造的な人手不足” (地域では喫緊の課題であり、2024年には国やメディアの共通言語化している) 「単なる人手不足論ではない。後継者不足や技能承継難、デジタル人材の不 足などといった産業・ 企業視点からの問題ではなく、「生活を維持するために必 要な労働力を日本社会は供給できなくなるのではないか」という問題意識であ る。」 「労働供給制約社会において最も懸念されるのは、「生活維持サービス」である。 物流や建設・土木、介護・福祉、接客などの職種は既に需給ギャップが 顕在 化しており、著しい人手不足に陥っている。これは「大変だなあ」ではすまない問 題でもある。こうした職種の供給不足を放置すると、私たちの生活に大きなダ メージを与える可能性が高い」 参議院自民党・政策審議会 ホワイトカラー消 滅: 私たちは働き 方をどう変えるべき か (NHK出版、 2024) 冨山和彦氏 IGPIグループ会長 朝日新聞特集「8がけ社会」 永田町、霞ヶ関、主要な経済団 体の政策・戦略検討において前 提としての位置づけを得るとともに、 産業界等のオピニオンリーダーが 公式の場で使い、メディアも特集 を組んで報道すること、それを共 通言語に議論を深めることが起き 始めている。
  19. 24 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 社会システム(政策・ビジネス)だけをデザインする活動の限界 暮らしでの問題解決が効率的に発展し過ぎると、システムが自己目的化し、結果として、

    暮らしにおける問題が発生する(第二の分水嶺) 暮らしの時間 ・主観的、生成的、多様 ・歴史的な絆、人間、世間 e.g. 自立共生的、生活世界 両方の構造に対して デザイン実践をする立ち位置 システムの時間 ・客観的、計画的、均質 ・政策的経緯、公論 e.g.操作的、システム イヴァン イリイチ(2015)コンヴィヴィアリ ティのための道具,筑摩書房. 病や老い、死と共に 生きる力を支える医 療 健康が管理対象になり 患者が欠陥と見なされ る医療(老い/認知症の受 容が困難に) 学びを通じて主体 的な自己形成を支 える学校 教えられないと学べない という学習不能感が蔓 延する学校(学びの意欲 の減退) 関係性の中での支 え合いから生まれる ケア 制度化され、関係とし てのケアの消失し、仕 事としてのケアになる (関係性の希薄化)
  20. 25 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 暮らしの時間 ・主体的、生成的、多様

    ・歴史的な絆、人間、世間 e.g. 自立共生的、生活世界 暮らしの質感・自然との共生をとりこぼさない社会システムデザイン システムの時間 ・客体的、計画的、均質 ・政策的経緯、公論 e.g.操作的、システム 市民活動 行政 中小企業 スタートアップ 企業 暮らしの質感に根差した 実践 質的な実践の原理を捉えた 上での社会システムデザイン
  21. 28 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 共創における「問いと土壌の循環モデル」 共創活動

    総体的・連続的に 深める問い 主体的に 動き出せる土壌 やってみる どうあるべきか のんびりする やってみる 何もないよう に見える状態 関わりの中でも やもや/うずう ずし始める状態 ムーブメント (活動)が生ま れる状態 どんな人も存在を大切にされ,主体的に動き出すま での過程を待つ仕組み 個人の ムーブメント 社会的 ムーブメント 互いに問い・示唆・ ファクトを深めて,社 会をより良くする変化 を生む活動ができる仕 組み ※木村ら(2021)持続的な活動/持続的な変化に向けたリビングラボ概念の拡張,第68回 日本デザイン学会 春季研究発表大会.
  22. 29 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 「主体的に動き出せる土壌」のメカニズム 実践における体験価値とソーシャルワークにおける「エンパワーメント」理論※

    を踏まえた 「存在肯定」「意欲醸成」「伴走支援」という段階的な機能要件を特定 ただし、日本の社会システムはこの段階を阻害しやすい構造となっている。 関わりを生みづらい社会システム 主体的な関わりを生む社会システム みんなの活動 (閉じられている・委ねてしまう) ・ ・ ・ ・ ・ ・ わたしの活動 (自己の発露しづらさ・私的幸福追求と公共の福祉の乖離) みんなの活動 (開かれている・自分も関わりうる) ・ ・ わたしの活動 (個人の尊重、表現の自由) ・活動に寄り添って伴走される(伴走支援) ・うずうずが引き出される(意欲醸成) ・個性が尊重され、安心・自由を感じていられる(存在肯定) あいだがつながらない (空気社会・お上意識) ※植戸貴子(2003)「エンパワメントの概念整理とエンパワメント実践のための具体的 指針に関する一考察」『社会福祉士』第10号、社団法人日本社会福祉士会
  23. 30 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs フェアな価値創出を促すCoデザイン/リビングラボのパラダイム 提供者

    (企業/行政) 客体的な関係性 (サービス提供/利用) フェアなパートナー関係 共に主体的な関係性 (学び合い相互に変容) 利用者 (市民) C o デ ザ イ ン リ ビ ン グ ラ ボ 一 般 的 な サ ー ビ ス デ ザ イ ン 価値創出のパラダイムシフト 一方的な提供者-利用者関係 提供者 (企業/行政) 利用者 (市民) 協働をしても、セクターの枠組みに縛られ 部分的な問題解決になりやすい セクターを超えて本質的な 価値を探索できる枠組み 答えがみえた時代 ・人口ボーナス期 = 拡大・成長期 ・潤沢な供給リソース と需要 ・官僚組織による計画 的マネジメント ※広井(2019)人口減少社会の デザイン, 東洋経済新報社. 答えのみえない時代 ・人口オーナス = 定常期※ ・ひっ迫した供給リソー スと減らない需要 ・共創によるアジャイ ル・ガバナンス (デジタル活用、プラットフォー ムビルダー化) 社会構造の変化 市民のアップデート 政策のアップデート Techのアップデート
  24. 31 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボプロジェクトのプロセス Planner

    / Operator (Company) User (Citizen) Facilitator (Univ. / Designer) ①相互理解・対話 ②課題設定 ③アイデア創出 ④プロトタイピング ⑤テスト ⑥社会実装 Planner / Operator (Local admin.) 相互理解 (チームビルド) 暮らしの課題設定 Coデザイン 社会実装 共感・理解 (一方的なユーザ理解) (PJの)課題設定 デザイン 一般 リビングラボ 木村, 赤坂(2018)「社会課題解決に向けたリビングラボの効果と課題」『サービソロジー』5 巻, 3 号, p.4-11.
  25. 32 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボプロジェクトの事例 生活者・自治体・企業が地域/現場で課題探索や社会実装の試行錯誤を重ねることで,

    社会課題解決をするサービスを開発し,展開する事例が増えている 子 ど も の 成 長 ( 妊 娠 週 数 や 生 ま れ て か ら の 月 日 ) が 一 目 で わ か り 、 予防接種スケジューリング機能がキラーコンテンツとなった【母子モ】 B t o G t o C な の で 、 ユ ー ザ と 自 治 体 の 、 双 方 が よ り 便 利 で 使 い や す い サ ー ビ ス に し て い く 必 要 が あ っ た . た と え ば 、 紙 の 母 子 健 康 手 帳 の 内 容 の 中 か ら 、 電 子 化 す る べ き 項 目 を 取 捨 選 択 す る こ と に も 悩 ん だ が , 実 際 に 子 育 て し て い る 人 へ の ヒ ア リ ン グ や 、 母 子 健 康 手 帳 を 何 度 も 読 み 込 み な が ら 開 発 を 行 っ た . 2025 年 6 月 現 在 、 全 国 730 以 上 の 自治体で 導 入されて い る. 高 齢 者 サ ー ビ ス に 民 間 の 力 を 使 う こ と で 、 介 護 保 険 給 付 や 税 金 の 支出を減らせる乗り合い送迎サービス【チョイソコ】 未要 介護認定高齢者への調査で 「徒歩移動がつ ら い ・きつ い 」 「 バスの本数が少な い 、時 間 が 合 わ な い 」 な ど 不安 や 不 便 を 感 じ る 声 を 掴 ん だ 自 治 体 の 福 祉 担 当 ・ 公 共 交 通 担 当, ア イ シ ン は , 大 量 輸 送 で は な い 「 少 数 輸 送 」 の サ ー ビ ス が 地 域 に 必 要 と い う 目 的 意 識 を 共 有 し 、 バ ス と タ ク シ ー の 特 徴 を い い と こ 取 り し た サ ー ビ ス を 開 発 し た. 現 在 , 全 国 30 地域に展開さ れている .
  26. 33 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 事例:循環型都市の実験室 De

    Ceuvel 概要: 1世紀にわたる造船業によって荒廃し土壌汚染していた造船所跡地を改 善するため、アムステルダム市が民間公募して生まれた循環型都市開発 のためのリビングラボ。アムステルダム北部に位置する敷地面積1250m² の小さなエリアで、地域のエネルギー、栄養素、廃棄物サイクルの「ループを 閉じる」完全なリサイクルを実現する再生技術の開発や実証に、建築家、 芸術家、起業家、研究者、ボランティアなど多様な組織が協力して取り組 んでいる。アムステルダム市からの補助金(€250,000)と市の保証によ る銀行融資(€200,000)を受けて資金を調達している。14隻の貸し 出しハウスボード、ラボ&コミュニティ施設、レセプションスペース、カフェ・レス トランから構成され、文化的およびコミュニティのハブとなっている。 主体:Metabolic社 (2014~2024) 活動: ハウスボートは廃船をアップサイクル利用し、根を通して汚染物質を吸収し て分解する特殊な植物で覆う「分散型葉緑素ろ過のシステム」を開発 再生可能エネルギーの地域生産と交換を促進するため、ブロックチェーン 技術を用いた仮想通貨のJouliette(ジュリエット)を導入 温室で育てた植物、海藻バーガー、キノコで作ったミートボールなどを敷地 内レストランで提供 地域との関わり方: 毎年35,000人を超える訪問者(Covid-19前)。 作り手として関わるイベント(土壌を回復させる植物を植える、カフェやハウ スボートオフィスなどのテーブルなどに釘を打つ、オフィスのデザイン等) ②行政サービス改善 ①サービス・技術開発 ③地域活性化
  27. 34 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 事例:小千谷リビングラボ「at!おぢや」 概要:

    旧小千谷総合病院の統合移転に伴う跡地整備の計画として、図書館を 核とした複合施設を整備し、中心市街地の活性化を図る事業が起点に なったプロジェクト。その根幹には、リビングラボの思想と重なり、新しい公共、 新しい公共空間をみんなで創っていくプロセスが大事にされた。そして、「つく る」「つかう・参加する」「見つけ・動かす」などにフェーズを区切りながら、まち や公共施設における市民の関わり代を生み出していった。2020年12月の プレイベントより始まったこのプロジェクトを経て、2024年9月に施設「ひと・ま ち・文化共創拠点 ホントカ。」がオープンし、市民が関わる多数の活動が 行われている。 主体:小千谷市役所 (2020~) 活動: 市民参加プラットフォームを育てるためのシンポジウム 第1~16回小千谷リビングラボ「まちと公共施設の未来をともに創造する」 小千谷リビングラボ(仮称)愛称市民投票 出張at!おぢや(ふるさと夢づくり教育) 新潟工科大学連携プログラム 共にある 共に創る暮らし「鰯新聞」(いわしんぶん) 地域との関わり方: 従来は行政と委託事業者だけで進めていたプロセスを、市民に開き、市民 がみんなで創っていくプロセスとなるように事業が設計された。また、施設の 設計においてもハード中心ではなく、その後の活動が中心となるように、地 域の若者、子育て世帯、高齢者など多様な人が活動しやすくする仕掛け を埋め込んでいる。 ②行政サービス改善 ③地域活性化
  28. 35 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 社会システムの性質 【例】

    ▼交通システム ・社会に信号機が置いてあるだけはシステムは機能しない ・個人が「赤信号では止まる」という交通ルールを守ることで機能する(内面化) 図:交通システムにおける相互関係の例 社会システム(サービス・制度・組 織等)は、個人の外側にある社 会システム単独では成り立たず、 個人が社会システムのルールを内 面化することではじめて成り立つ (相互関係の構造)。 そのため、外形的にサービス・制 度・組織等を変えるだけでなく、そ れに関わる個人の内面も同時に 変容していく必要がある。
  29. 36 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs システム転換のアプローチ1: 個人の支配的な価値観から新たな価値観への変容

    個人・コミュニティの価値観が変容していくメカニズムの分析モデル:Two Loop Model Wheatley, Margaret and Frieze, D. (2011). Walk Out Walk On: A Learning Journey into Communities Daring to Live the Future. Berrett-Koehler Publishers.
  30. 37 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 事例:トランジションタウン活動(2005~) 概要:

    2005年、化石燃料・気候変動・経済ショックへの対応として、地域の「レジリエンス」「リローカリ ゼーション」を掲げ、Rob Hopkinsら主導して住民主体で行われた変革運動。 自治体は、資金・場所・制度の支援という形で 外部環境を整備する役割を担っていた。 6-8 世帯ごとに各家庭に集まり、個人レベルまたはコミュニティ レベルで実行できる実践的な行動を 検討し、コミュニティ果樹園、コミュニティシネマ、子どもたちが家の外で安全に遊べるプレイスト リートセッション、交通渋滞のない路上であらゆる年齢の人が交流したりパーティーをしたりできる セッションなどを実施している(Transition Street)。また、住民主体の社会的起業も生まれて いる。特徴としては、団体や組織をつくることが目的ではなく、それぞれの人が自発的に取り組ん でいくムーブメントとして展開された点である。 主体:Transition Town Totnes (2009~)など 活動: ・エネルギー削減行動計画(Energy Descent Action Plan)を地域で作成・実行 ・市民主導で、食/エネルギー/交通施策などの地元消費プロジェクトを展開し、地域通貨、 スキル共有などを実施。 Transition Streetのほかにも以下がある。 ・Incredible Edible:コミュニティによる食料栽培の取り組み。 ・REconomy Centre:人々が繋がり、スキルや知識を共有できるコワーキングスペース。 ・Inner Transition:気候変動による不安や燃え尽き症候群を軽減するために、ボランティ アに精神的かつ包括的なサポートを提供するグループ。 その後の展開: 2011年には気候変動対策に貢献する取り組みを表彰する世界有数の賞の一つであるアシュ デン賞を受賞。また、トランジションタウンの取り組みは世界43か国に広がり、1000以上のイニ シアティブがあると言われている。(日本では、2008年以降、旧藤野町、葉山町、東京都小 金井市など)
  31. 38 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs システム転換のアプローチ2: 現行の社会システムから新たな社会システムへの組み替え

    社会システムが変容していくメカニズムの分析モデル:Multi-level Perspective ①ニッチがボトムアップ から複数立ち上がる ②一部が社会技術 レジームに組み込まれる Geels, F. and Schot, J.(2007)Typology of Sociotechnical Transition Pathways, Research Policy,36(3),pp.399-417. 人々はしばしば、システム内のプ レイヤーを変えることが変化をも たらす方法だと考えがちだが、真 の梃子(レバレッジポイント) はプレイヤーを変えることでは ない。それはルール、情報の流 れ、目標、そして特にシステムを 生み出す思考様式にある。 Donella H. Meadows(2008), Thinking in Systems: A Primer, Chelsea Green Publishing.(邦題:世 界はシステムで動く)
  32. 39 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs アプローチ2: 現行の社会システムから新たな社会システムへの組み替え

    社会システムが変容していくメカニズムの分析モデル:Multi-level Perspective Geels, F. and Schot, J.(2007)Typology of Sociotechnical Transition Pathways, Research Policy,36(3),pp.399-417. MLPモデルの要諦は、 直接変えづらいマクロ (Landscape)と、 一見変えられないと思われて いるが直接変えうるメゾ (Socio-technical regime)を 分けて理解する視座 直接変えづらい対象 •長期人口動態 •気候変動・自然災害 •国際地政学 •グローバル経済トレンド •社会の価値観の変化 •・・・ 直接変えうる対象 •電力市場制度・規制 •サプライチェーン •企業間の業界標準・ルール •大規模発電・電力網インフラ •消費者の使い方 •・・・
  33. 40 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 事例:ドイツの電力転換(1986-2022) Geels,

    F. and Schot, J.(2007)Typology of Sociotechnical Transition Pathways, Research Policy,36(3),pp.399-417. 1986:チェルノブイリ → 原発撤 廃機運→市民、農家、反核活動家 (ランドスケープ圧力の一部) 1991–2000:ドイツ再統 一の混乱の中、再エネ政策整備 (小売価格90%での買取義務 化)と初期ニッチの育成、導入促進 2000:再エネ法(固定価格20 年間買取)導入 → 急速な太陽光 /風力発電導入 2011:福島を受けて原発フェー ズアウト決定(2022終了目標) 2010–2022:再エネ比率 急増、4大電力企業の純利益減少 1980:石油危機後の研究開発 (風力タービン/太陽光発電)→低性 能・高コストで限定的 1997:既存電力会社によるロ ビー活動・政府がFIT引下げ提案→ 再エネ推進派の抗議活動の結果、ド イツ議会否決 促 進 促 進 https://www.irena.org/Data/View-data-by- topic/Capacity-and-Generation/Country-Rankings 2020:太陽光発電、陸上・洋 上風力発電にかかるコストが、化石 燃料とほぼ同等程度に低下 再エネ法EEGをトリガーとした国内普 及・市場形成は成功 中国大規模生産・価格支配によりモ ジュール製造の展開は失敗
  34. 42 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 日本のリビングラボに関連する国内政策 第6期科学技術・イノベーション基本計画

    内閣府 COI-NEXT、地域大学振興 文部科学省 産業開発・イノベーション政策 経済産業省 介護ロボット開発・実証 厚生労働省