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FFGのアジャイルを支える3つの柱
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matsukurou
November 19, 2025
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FFGのアジャイルを支える3つの柱
キンドリルさんのアジャイル&SREフェスでのキーノート登壇資料です。
matsukurou
November 19, 2025
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Transcript
FFGでのアジャイル実践 変化を⽀える3つの柱 ふくおかフィナンシャルグループ 松﨑⼀孝
? ? "アジャイルやれ"って⾔われて、 現場が困ってませんか? 管理⽂化 × アジャイル、 どう両⽴できる?
第1章:アジャイル導⼊の"前提の誤解" アジャイルは"⼿法"ではなく、"組織の考え⽅"である
❌ 誤解①:アジャイル=スピードを上げるための⼿法 しかし本質は逆で… ✅ 正しくは: アジャイルは「不確実な中でも正しい⽅向に進むための意思決定の仕組み」 プロダクトを速く作るよりも、「⽅向性のズレを早く⾒つける」仕組みが本質。スピードは"結果"。 💬 "アジャイルをやったら早くなるんでしょ?" 💬
"スクラムって⾼速開発の⼿法ですよね?" 表⾯的な理解で語られがち
❌ 誤解②:アジャイル=⾃由でゆるい開発 ウォーターフォール⽂化の反動として捉えられがち しかし現実は真逆。 やることは増えるし、問われることも増える。 → ⾃由ではなく、責任が増す(=オーナーシップ)。相当な⾃律が求められる⽂化。 ✅ 正しくは: アジャイルは、透明性‧⾃⼰管理‧⽬的意識‧コミュニケーションが⿁のように厳しい。
💬 "なんでも好きにやっていいんでしょ?" 💬 "計画いらないんでしょ?" 💬 "管理しない=アジャイル"
✅ 正しくは: アジャイルは"組織全体の意思決定‧価値観‧コミュニケーション"が変わらないと成⽴しない。 ❌ 誤解③:アジャイルは"現場が勝⼿にやるもの" 上からはこう思われがち 💬 "現場がアジャイルでやればいいでしょ" 💬 "うちは⽂化的に難しいから…"
💬 "とりあえずフレームワークを⼊れたらいい" しかし、これもまた逆。 優先順位、リスク許容、顧客への価値定義、現場とマネジメントの対話 これらは全て組織の問題。つまり── アジャイルは"組織の⽂化と構造の話"であり、現場だけの話ではない。
キンドリルとFFGの"共通の出発点" 近しい課題を抱える両社の状況 上意下達の組織⽂化 強い管理⽂化 規模が⼤きく、組織構造が複雑で階層的 計画重視、プロセス規定、リスク回避の企業⽂化 "アジャイル"を求められ試⾏錯誤の現場 準備や理解のないままアジャイル導⼊を迫られる状況
FFGの歩み(2018〜2024) 内製開発チームの成⻑と変化 2018 2022 内製開発組織⽴ち上げ チーム拡⼤ DX推進本部設⽴ デジタル戦略の⼀環として銀 ⾏内にシステム開発チームを 結成
採⽤強化とスキル向上により 開発体制を強化 単なる部署ではなく、組織横 断的に横串をさす部署として 発展 開発だけでなく、全社的に DXの取り組みを拡⼤ DX拡⼤ 3歩進んでは2歩下がる。改善を繰り返しながら成⻑中。 システムソリューション部設⽴ DX推進本部の中の⼀つのグループ から、⼀つの部署として発展 2025
⾃⼰紹介 ゲーム開発 銀⾏へ転⾝ スクラムマスター∕コミュニティ活動 「スクラムフェス福岡」「ふくおかスクラム」主催 銀⾏でアジャイルを実践中 松﨑 ⼀孝
第2章:アジャイルは“⼿法”ではなく、組織の3つの性質 劇的な転換ではなく、⼩さな積み上げが組織を変えた Value 共通の価値観と判断基準 Collaboration 部⾨‧役割を越えた協働 Leadership ⾃律とオーナーシップの発揮 FFGの進化 FFGの変化は"3つの柱の積み重ね"だった
柱①:価値観 判断の⼀貫性 "なぜやるのか"が揃うと、⽇々の判断が 速くなり、⼀貫性が⽣まれる 建設的な対話 判断の前提 価値観が揃うと、 意⾒の相違が建設的な議論へと変わる 形式的なプロセスよりも、価値観の⼀致 こそが組織の速度と品質を⾼める
価値観が揃うと個々の判断が素早く⼀貫性を持ち、組織全体が効率的に動き出す
柱②:関係性 "役割の壁"ではなく "問題を⾒る"関係へ ズレが早く⾒つかる 役割を越えて⼀緒に課題に向き合うこと で、真の協働が⽣まれる 情報が途切れず流れると コミュニケーション "密度"が⼤事 継続的な情報共有が、問題の早期発⾒と
迅速な解決を可能にする 頻度‧価値ある対話‧情報の質が チームの⼒を⾼める 関係性の質が変わると、⾃然にスピードと学習が⽣まれる
柱③:リーダーシップ 役割の転換 "決める⼈"から "決められる状態を整える⼈"へ 構造と⾃律 問いかけの⽂化 決定権構造はそのままでも、⾃律は育つ ⽀援型リーダーシップが オーナーシップを引き出す 決める⼈がいる構造でも、⽀援型のふるまいがあると⾃律が育つ
3つの柱が"積み重なって"⽂化に変わっていった 価値観 × 関係性 × リーダーシップ──この3つが少しずつ積み重なり、⽂化の基準が変わっていった アジャイルな⽂化 ③ ⽀援型リーダーシップが加わる チームが⾃律して動ける(Can
が増える) ② 関係性が変わる "問題を⼀緒に⾒る"ようになる(How が協働に) ① 価値観‧⽅向性が整う 判断基準が揃う(Why が⼀致) 価値観 × 関係性 × リーダーシップ──この3つが少しずつ積み重なり、⽂化の基準が変わっていった
第3章:価値観‧関係性‧リーダーシップ 劇的な転換ではなく、⼩さな積み上げが組織を変えた Value 共通の価値観と判断基準 Collaboration 部⾨‧役割を越えた協働 Leadership ⾃律とオーナーシップの発揮 FFGの進化 FFGが実際にどう育てていったか
価値観づくりのプロセスにアジャイルの考え⽅を持ち込む インセプション デッキ ⽴ち上げの"前提"を揃える 期待値ヒアリング 部⻑陣の 本⾳の期待を引き出す 対話スプリント 10回の対話 反復で価値観を醸成
Will/Can/Must やりたいこと‧できるこ と‧求められることの 整理 実例①:価値観を揃える(MVV共創) 浸透TF 価値観を実⾏できる形 で落とし込み MVVを作ったから成功したのではなく、価値観を揃える"プロセス"をデザインしたから成功した
インセプションデッキで"前提"を揃える 部⻑陣への「期待値ヒアリング」 なぜこのチームをやるのか? 誰に価値を届けるのか? やらないことは何か? チーム全員で⽴ち上げ時の前提を揃えるプロセス スピード∕品質∕⾃律性∕コスト∕⽂化づくり ⾔語化されていない期待を可視化 現場の認識と突き合わせ ステークホルダーとのギャップを埋める
実例①:インセプションデッキ+期待値ヒアリング 部⻑陣への「期待値ヒアリング」
実例①:Will / Can / Must で認識を可視化 Will やりたいこと チームとして描く未来 ⽬指したい価値
理想のあり⽅ 取り組みたいチャレンジ Can できること 現在のスキルセット 既存の体制‧リソース 現実的に実現できること 短期的に取り組めること Must 求められること 部⻑陣‧組織からの期待 外せない要件‧制約 ステークホルダーの要求 業務上の必須事項 3つの視点を並べて議論することで価値観ギャップを発⾒ → 合意形成へ 3つの視点を並べて議論し、⾃分たちの中⼼にある価値観を認識
① 2ヶ⽉で完成させるための⼯夫 宿題 持ち寄り 対話 ふりかえり 改善 次の計画 対話スプリント ⾼速スプリント
毎週⽕、⾦の2回(1時間)ディスカッション 明確なスプリントゴール ゴール達成に向けて、各⾃が能動的に準備 毎回のふりかえり 進め⽅を都度改善 実例①:対話スプリント
MVVの浸透 ⽇常会話への導⼊、意思決定の軸として活⽤ 組織横断の改善議論 部⾨を越えた対話と協働の場づくり 業務プロセスへの落とし込み 実践を通じた価値観の具体化と定着 ビジョンの実現 3つのビジョン実現に向けた活動を実施 実例①:TF活動で⾏動へ落とし込み 価値観は"決めた瞬間"ではなく、⽇々のTF活動の積み重ねによって⽂化になる
実例②:関係性を変える(POとの協働) ふりかえりで変わることの実感 短いサイクルで変わっていくことを経験 モチベーションの向上 毎⽇15分の確認で接触を加速 POとの短い⽇次確認で、⼩さなズレをその場で修正 継続的に会話し、相互の相談を創出 深い⾃⼰紹介で関係性の構築 誰がどんなことをしているのか、どういう背景を持っているのか 個⼈の理解や価値観を知る
"役割"ではなく"問題を⾒る"関係に 肩書や職責の壁を越えて、同じ課題に向き合う協働関係が⽣まれました 「重要なのは⼿法ではなく、問題を⼀緒に⾒る関係性に変わったこと」
実例③:リーダーシップを加える(⽀援型) "チームリーダー"を⽀援する "組織"を⽀援する リーダーがストレスを抱えないように、継続的な対話の実施 チームの⽬標を決める どんなチームになっていきたいか、そのためのアクションは何か。 四半期、毎⽉ふりかえり、アクションの実⾏ TFの活動や、プロダクト外の活動を通して、 いろいろなことに挑戦できる環境の整備 "チーム"を⽀援する
ファシリテーションにより、多様な意⾒を引き出す。 安全性の⾼い場の創出 重要なのは"決め⽅"の変化。多様な価値観や場に出会い、リーダーシップは育つ
実例まとめ:⼩さな⼀歩が⽂化をつくる MVVの⼀⾔を使った会話 「これって私たちのミッションに沿ってる?」 という会話が⾃然に⽣まれるように。 POと⼩さな対話 毎⽇の⼩さな⾏動が⽂化に変わる 「毎⽇5分だけ」の確認を積み重ね。徐々に信頼関係を構築。 役割の壁を越えた協働へ。 リーダーのちょっとした⽀援 「これ、どう判断したらいい?」と問いかけるスタンス。
それが、チームの⾃律性と当事者意識を育む。 ⽂化は「宣⾔」ではなく、⽇々の⼩さな⾏動の積み重ね。 気づけば「アジャイルな組織」に変化。
まとめ:誰でもできる、⼩さなアクションから始まる ⼤きな改⾰でなくても良い 既存の組織構造や決定権を変えずに、 ⼩さな変化の積み重ねで⼤きな成果を⽣み 出すことはできる ⼩さな対話‧⼩さな協働‧⼩さな⽀援 ⽇々の⼩さなアクションが、 徐々に組織の⽂化を形作っていく どの組織でも始められる FFGが特別だったわけではない。
どんな組織でも今⽇から始めることが可能
第4章:キンドリルの“⼀歩”をつくる 劇的な転換ではなく、⼩さな積み上げが組織を変えた Value 共通の価値観と判断基準 Collaboration 部⾨‧役割を越えた協働 Leadership ⾃律とオーナーシップの発揮 キンドリルの進化 キンドリルをどう育てていくか
FFGの"今":完成ではなく、進化の途中 FFGもまだ完全ではない ⼩さな積み重ねが、⼤きな改⾰に繋がる 「進む⽅向」を話しながら変化し続ける 外から⾒るとうまくいっているように⾒えても、実際には課題だらけ。完璧からはほど遠い。 毎⽇の⼩さな改善の連続。組織全体が⼀気に変わったわけではなく、少しずつ変化してきた。 ⽬的が揃い、関係性が強くなり、ふるまいが変わることで"進む⽅向"が定まった FFGも今、まさに"道半ば"
キンドリルへの問い:あなたの⼀歩はどこから? あなたの組織で「今いちばん不⾜しているのはどれ?」 価値観(Value Alignment) 関係性(Collaboration) 判断の前提、⽬的の共有、建設的な対話 価値観のズレが気になるなら ➡ ⼩さな対話から始める リーダーシップ(Support)
役割の壁を超える、透明性、信頼と協働 役割の転換、構造と⾃律、問いかけの⽂化 関係性が分断されているなら ➡ POとの⼩さな協働から メンバーが動けていないなら ➡ リーダーの⽀援⾏動から アジャイルは"やり⽅"ではなく、 "どういう関係性と価値観で仕事するか"という選択 変化は"1つの対話"から始まる
明⽇からできる⼩さな"⼀歩"の提案 明⽇からできる具体的なアクション いつも要件を渡すだけだった相⼿に、5分の雑談‧確認を加えてみる メンバーでチームの⽅向性を1枚にまとめてみる 「どうしたい?」と問いを変えてみる TFや⼩さなコミュニティに参加してみる 今⽇のこの話を、誰か⼀⼈に雑談してみる ⼩さな⾏動の積み重ねがFFGでは⽂化の⼟台になりました キンドリルでも必ず⼀歩から⽂化は動き出せると信じています
おまけ:FFGの"内製開発の実情" https://www.fukuoka-fg.com/recruit_career/digital/entrancebook/
第5章:コミュニティのすすめ 劇的な転換ではなく、⼩さな積み上げが組織を変えた アジャイル⽂化を育てるための「⼟壌づくり」 ワークショップの開催やLT⼤会での登壇などの活 動で、知⾒を共有し、仲間を⾒つける。 特定の課題解決に向けた⼩規模チーム活動。実践 を通じた学びと達成感が⼈を育てる。 外の世界を知り、井の中の蛙からの脱却。広い視 野と新鮮な刺激を持ち帰る。 ⾔語化することで学びが最も深まる。社外からの
フィードバックが⾃⼰効⼒感を⾼める。 社内勉強会 TF(タスクフォース) 社外イベント参加 登壇‧発信 コミュニティの効果 主体的な学びの場 ⾃⼰効⼒感の向上 ⽂化の組織内伝播 企業を越えた横の繋がり FFGでの実践 社内:「アジャイルWS」「LT⼤会」 社外:「「スクラムフェス福岡」「FFGのMaNaBi-Ba」の 運営や参加を通じて、開発者だけでなくビジネス側も巻 き込んだ⽂化づくりを推進中。