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week13@tcue2024

MF
July 02, 2024

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July 02, 2024
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  1. ケア論のポイントとは? 他者に対する配慮と支援を指し、具体的には、日常生活の支援や感情的なサポート。教育や 医療、社会福祉、介護、障碍など多様な分野で使用される。 e.g. 出発点としての発達心理学 C.ギリガン『もう一つの声で』 依存 /脆弱性の不可避さ どんなひとでも他者に依存して生きている。ケア関係の射程は、子供や高齢者、障害者 に限定されない。

    cf. 標準的な社会科学が前提とする近代人モデルとは異なる ケア関係に公的支援を 時間と労働力を割いてケア責任を果たすなかで二次的な依存に陥る( E.キテイ) 。 e.g. 家庭内のヤングケアラー、低賃金の介護職 →誰かが過度な負担をしない形でケア責任を果たせる社会を目指すべき。 ST13: 前回の復習 福原正人 : [email protected]
  2. SOGI (Sexual Orientation and Gender Identity) 性的指向(相手の性的対象)と性自認(自分の心の性別)を指す 性的マイノリティの名称 cf. 人口の

    3%~10% L: レズビアン(女性の同性愛者) G: ゲイ(男性の同性愛者) B: バイセクシュアル(男性も女性も性的対象とするひと) T: トランスジェンダー (出生時の性別と性自認が一致しないひと) Q: クィア/クエスチョンニング (性的マイノリティを総称する言葉など) この他にも、ノンバイナリー(性的志向や性自認を男女という枠組みで取らないひと) やアセクシャル(恋愛感情を問わず性的欲求を持たない)などがある。 ST13: 前提知識: LGBTQ+の定義 福原正人 : [email protected]
  3. 法律婚とは何であるのか? 価値 / 制度 法律婚 代替案 事実婚 公的承認 ◦ △

    × 公的支援 ◦ △ × cf.日本の代替案として市町村による「パートナーシップ制度」を想定する 1. 公的承認:社会として特定の関係を承認する象徴的利益 2. 公的支援:社会として特定の関係を支援する物質的利益 e.g. 税金の控除、在留資格、相続や面会の権利、給付金など →伝統的な結婚は、国家が異性愛者同士のパートナー関係のみを承認して支援する。 =異性婚のみを認める ST13: 結婚の価値と伝統的な結婚 福原正人 : [email protected]
  4. 伝統的な結婚と性愛規範? フェミニズム第三波は、 (第二派とは違って)性愛規範を固定化するものとして法律婚を捉え た。ここで性愛規範とは、 「恋愛や結婚のような深いパートナー関係を(生殖に関連する)性 愛関係に結びつける規範」のことを指す。 e.g. 真っ当なパートナー関係は肉体関係やロマンティックな関係なけれならない e.g. 真っ当なパートナー関係は異性愛による排他的な関係でなければならない

    同性婚慎重論 -同性婚を認めることは、部分的に性愛規範を揺るがすものの、モノガミー(一夫一婦に よる排他的な関係)を模したレズビアンとゲイを支援して、部分的に性愛規範を強化す ることで、他の性的マイノリティをより周縁化させる -インターセクショナリティの視点 ST13: 第三派と性愛規範 福原正人 : [email protected]
  5. 法律婚はなぜ廃止するべきではないのか? エリザベス・ブレイク (Elizabeth Brake):アメリカの政治哲学者 Brake, Elizabeth (2012). Minimizing Marriage: Marriage,

    Morality, and the Law(翻訳あり) 価値 / 制度 法律婚 代替案 事実婚 公的承認 ◦ △ × 公的支援 ◦ △ × 1. 国家による公的承認はその社会のなかで対等な市民であることを確認している。よって 市町村による代替案や事実婚では不十分である。 2. 特定のパートナー関係に公的な支援を行うこと自体が問題なのではなく、結婚を生殖と 結びつける性愛規範に基づく公的な支援が問題である。 3. 法律婚を廃止するのではなくその制度を改革するべきである。 ST13: ブレイクの最小の結婚 (1) 福原正人 : [email protected]
  6. 現行の法律婚はなぜ正当化できないのか? 価値 / 制度 現行の法律婚 ブレイクの案 公的承認 ◦ ◦ 公的支援

    full pkg minimal pkg 誰かと人生の一部を共有してパートナー関係を結ぶ理由は多様である。異性愛カップル が子供を作って生涯を添い遂げるというのは生き方の一つにすぎない。 国家の政治的権力は、どんな生き方のひとでも納得できる理由で正当化されなけれなら ない(理論的な主張/ここでは問題にしない) 。 よって、正しい結婚とは、特定の生き方にとっての手厚い公的支援ではなく、あらゆる 生き方をカバーするような最小限の公的支援でしかありえない。 ST13: ブレイクの最小の結婚 (2) 福原正人 : [email protected]
  7. 誰でも納得できるパートナー関係を結ぶ理由は何か? 価値 / 制度 現行の法律婚 ブレイクの案 公的承認 ◦ ◦ 公的支援

    性愛関係 ケア関係 誰でも納得できるパートナー関係を結ぶ理由は、人間は不可避な依然性ゆえに他者との ケア関係を必要とするから。 国家が、生殖や性愛関係ではなく、多様なパートナー関係に共通するケア関係に対し て、 (1) 公的承認、 (2) 最小限の公的支援を行うべきである。 e.g. 在留資格、面会と相続の権利 cf. 出産や育児などは結婚や家族とは関係なく個人として支援すればよい つまり、ブレイクの提案は、 Minimizing Marriageせよということ。 ST13: ブレイクの最小の結婚 (3) 福原正人 : [email protected]