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GISA2016_熊本地震

 GISA2016_熊本地震

* GIS学会第25回学術研究発表会
* 平成28年4月熊本地震における携帯電話位置情報を用いた避難所の混雑度推計

Toshikazu SETO

October 15, 2016
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  1. 2016/10/15 GIS学会第25回学術研究発表会@立正大学大崎キャンパス 2 0 6 1 0 2 5 2

    5 0 ro S yE t E dv S W y E RRR t ogv ro o y y­− E y o E ydd ro o ro S SRRR oS y E y rt o t o ovg E S W t o l y rt v ro E y vE dv RRR t ov S TWRR S TTWR S RR WW RR WWR S TS R W R CC y o y ovg EM oNM dt e roNM roNM t t e v roN o M N y ET o S y Iv ETRRR o T d pro t d rt E ۽ຊ஍਒ɿࢦఆ֎ආ೉ॴʹ̏ສ̒̌̌̌ਓɹຊ਒ཌ೔ IUUQNBJOJDIJKQBSUJDMFTLF Sources:  毎日新聞および熊本日日新聞より
  2. 2016/10/15 GIS学会第25回学術研究発表会@立正大学大崎キャンパス 4 本研究の背景・目的 Ø 都市における人々の避難状況をマルチ{スケール/タイム}に迅速に推定すること Ø 熊本地震:政令指定都市でありながら,指定避難所が震災後しばらくの間,公 的なWebマップ(データ)として取得できない状況(国土数値情報はH22整備) Ø

    「指定」避難所・場所にのみ避難しているとは限らないのでは? Ø 深夜の滞在場所にも特徴が?前震: 4/14  21:26  PM/本震: 4/16  01:25  AM 「位置情報のヒ◌ ゙ シ◌ ゙ ネス利用の検討(緊急時等における位置情報の取扱いに関する検討 会)」(2014) (2)  公的分野て◌ ゙ の利活用の実証 • 位置情報の公的分野て◌ ゙ の利活用においては、利用目的・主体・取扱い方法(保存期間、 加工の方法、管理運用体制等)に応し◌ ゙ たフ◌ ゚ ライハ◌ ゙ シー上のリ  スクや利用者の受容度 等を勘案して、その取扱いの在り方か◌ ゙ 検討されうる。 • まずは、利用者からの理解か◌ ゙ 得られやすい、災害救助や防災分野といった公共性の高 い分野における、国、地方公共団体といった公的主体への第三者提供について、実証を 進めていくへ◌ ゙ きて◌ ゙ ある。 • 防災分野への人流データの活用可能性についての検討(足立,2015) • 3.11時における人流の広域的な把握(Hayano and  Adachi,  2013) • 3.11を基礎にした人流シミュレーション(矢部ほか,  2014,  中曽根ほか,2014)
  3. 2016/10/15 GIS学会第25回学術研究発表会@立正大学大崎キャンパス 5 分析概要・方法 • 2016年4月7日〜4月17日の期間中、最短5分毎に測位されたGPSデータのう ち、九州地方で取得された緯度経度情報を250mメッシュ単位で集計されたも のを基本データとして、熊本県内について{日・1時間}毎の推移を分析した。 • 4月7日〜13日を平常時と定義し、4月15、16、17日の日平均滞在者数との差

    異を示す。平常時一定以上の人口が滞在するメッシュ数は7160であった。 • 避難所データは,Youth Action  for  Kumamotoの整備データ(4月末日時点ま での分)903件(うち,国土数値情報H22に合致するものは644件)を用いた. • 本推計にあたっては、ゼンリンデータコム株式会社より「混雑統計®」 *の提供を受け、そ のデータを利用した。 *「混雑統計®」データは、NTTドコモが提供する「ドコモ地図ナビ」サービスのオートGPS機能利用 者より、許諾を得た上で送信される携帯電話の位置情報を、NTTドコモが総体的かつ統計的に加 工を行ったものである。位置情報は最短5分毎に測位されるGPSデータ(緯度経度情報)であり、 性別・年齢等の個人を特定する情報は含まれない。
  4. 2016/10/15 GIS学会第25回学術研究発表会@立正大学大崎キャンパス 6 携帯電話位置情報を用いた データサービス比較 キャリア NTTドコモ NTTドコモ au Agoop

    運営 ゼンリンデータコム NTTドコモ コロプラと共同 Agoop サービス名 混雑統計® モバイル空間統計 Location  Trends メッシュ型流動人口 データ ユーザー数 約70万〜100万 約6000万 ー (2-­‐300万?) 約100万 位置情報の種類 (同意あり) GPS 基地局データ 基地局データ GPS データソース ドコモ地図ナビアプリ のオートGPS 基地局への通信による 位置登録 基地局への通信によ る位置登録 あぐらいふほか13ア プリケーションのGPS 集計メッシュサイズ 250m 250m(都心)〜500m 1km 100m(政令指定都 市)〜1km 主なデータ内容 時刻・人数 時刻・人口構成 (人数、性別、年齢層別、 居住エリア別) 時間帯、性 別、年齢層 時刻・人数 データ取得期間 2010年〜 2013年10月〜(商用化) 2013年4月〜 2014年〜 備考 ※一部RESASへ提供 ※一部RESASへ提供 ※国土交通省(2013)「携帯電話による位置情報等を活用した調査サーヒ◌ ゙ ス概要」を基に作成
  5. 2016/10/15 GIS学会第25回学術研究発表会@立正大学大崎キャンパス 9 4月15日の日平均滞在者/平常時・日平均滞在者の 割合分布【橙〜赤(1.00以上):通常より多いメッシュを示す】 mesh数 5046 2104 8 2

    0 変化あり 7160mesh 平時からの差 は一部の避難 所等で限定的 4/15 メッシュ図: 「混雑統計®」©ZENRIN  DataCom CO.,  LTD. 背景図:  ©OpenStreetMap contributors 単位 (倍)
  6. 2016/10/15 GIS学会第25回学術研究発表会@立正大学大崎キャンパス 11 4月17日の平均滞在者/平常時・日平均滞在者 割合分布【橙〜赤(1.00以上):通常より多いメッシュを示す】 mesh数 2559 4522 15 3

    4 変化あり 7103mesh さらに滞在者 が集中するメッ シュが顕著に 4/17 メッシュ図: 「混雑統計®」©ZENRIN  DataCom CO.,  LTD. 背景図:  ©OpenStreetMap contributors 単位 (倍)
  7. 2016/10/15 GIS学会第25回学術研究発表会@立正大学大崎キャンパス 12 避難所とメッシュ別滞在者数(日平均)との関係性 避難所区分 国土数値情報(H22) 合計 なし あり 指定緊急避難場所

    430 430 指定避難所 120 120 福祉避難所 6 6 自主避難所 88 88 その他 259 259 合 計 259 644 903 YA4Kの避難所データの内訳 較差 15日平均 16日平均 17日平均 -­‐1.0倍 5,046 3,936 2,559 1.1-­‐2.0倍 2,104 3,083 4,522 2.1-­‐3.0倍 8 28 15 3.1-­‐4.0倍 2 7 3 4.1-­‐倍 0 3 4 メッシュ合計 7,160 7,057 7,103 4/15〜17と平時の日平均(メッシュ) 4月15日の較差 -­‐1.0倍 1.1-­‐1.9倍 2.0-­‐2.9倍 3.1-­‐4.0倍 4.1-­‐倍 総計 指定緊急避難場所 425 2 3 430 指定避難所 120 120 福祉避難所 6 6 自主避難所 88 88 その他 247 7 3 1 1 259 総計 886 9 6 1 1 903 4月16日の較差 -­‐1.0倍 1.1-­‐1.9倍 2.0-­‐2.9倍 3.1-­‐4.0倍 4.1-­‐倍 総計 指定緊急避難場所 413 2 6 5 4 430 指定避難所 120 120 福祉避難所 6 6 自主避難所 88 88 その他 245 3 9 2 259 総計 872 5 15 7 4 903 4月17日の較差 -­‐1.0倍 1.1-­‐1.9倍 2.0-­‐2.9倍 3.1-­‐4.0倍 4.1-­‐倍 総計 指定緊急避難場所 420 1 3 6 430 指定避難所 120 120 福祉避難所 6 6 自主避難所 88 88 その他 257 1 1 259 総計 891 1 4 7 903 平時より増加した避難所を含むメッシュは最大30程度? ➔点データのため敷地等による観測の違いもありうる
  8. 2016/10/15 GIS学会第25回学術研究発表会@立正大学大崎キャンパス 13 4月15〜17日平均滞在者が、平常時の割合を 特に上回ったエリア(熊本市中央区) ←平時:約400人 4/15:約310人 4/16:約1840人 4/17:約1780人 中央区で平常時より多く滞在者を観

    測したメッシュの一つ。4/17日平均は 平時の4倍以上に達した。 •:ZDC社提供「全国避難所データベース」(2015年3月) ★:Youth  Action  for  Kumamoto避難所データ(2016年4月28日版) 背景写真:国土地理院・平成28年熊本地震・熊本地区 正射画像(2016年4月16日撮影) メッシュ図:「混雑統計®」©ZENRIN  DataCom CO.,  LTD.
  9. 2016/10/15 GIS学会第25回学術研究発表会@立正大学大崎キャンパス 14 0 500 1000 1500 2000 2500 3000

    3500 13_00 13_02 13_04 13_06 13_08 13_10 13_12 13_14 13_16 13_18 13_20 13_22 14_00 14_02 14_04 14_06 14_08 14_10 14_12 14_14 14_16 14_18 14_20 14_22 15_00 15_02 15_04 15_06 15_08 15_10 15_12 15_14 15_16 15_18 15_20 15_22 16_00 16_02 16_04 16_06 16_08 16_10 16_12 16_14 16_16 16_18 16_20 16_22 17_00 17_02 17_04 17_06 17_08 17_10 17_12 17_14 17_16 17_18 17_20 17_22 熊本市立砂取小学校周辺 4月13日〜17日における滞在者数推移(1時間毎) • 中央区の避難施設では16日未明以降滞在者 数が平常時の4倍以上であった。 • ピークは17日未明で、約3200人の滞在者が観 測された。 16日未明の本震後 急増し、滞在者が約 2000人を超えた 16日夜間はピークの 約3200人に 4/14  21:26 M6.5 4/16  01:25 M7.3 グラフ:「混雑統計®」©ZENRIN  DataCom CO.,  LTD.
  10. 2016/10/15 GIS学会第25回学術研究発表会@立正大学大崎キャンパス 15 4月15〜17日平均滞在者が、平常時の割合を 特に上回ったエリア(上益城郡益城町) ←平時:約380人 4/15:約350人 4/16:約2360人 4/17:約1420人 ←平時:約310人

    4/15:約600人 4/16:約820人 4/17:約1420人 益城町の主要な避難所として 多くの滞在者が集中したと考えられる。 4/16日平均は平時の6倍以上 グランメッセと同様に避難者 が多い施設で4/17日平均は 平時の4倍以上。 •:ZDC社提供「全国避難所データベース」(2015年3月) ★:Youth  Action  for  Kumamoto避難所データ(2016年4月28日版) 背景写真:国土地理院・平成28年熊本地震・熊本地区 正射画像(2016年4月16日撮影) メッシュ図:「混雑統計®」©ZENRIN  DataCom CO.,  LTD.
  11. 2016/10/15 GIS学会第25回学術研究発表会@立正大学大崎キャンパス 16 0 500 1000 1500 2000 2500 3000

    3500 13_00 13_02 13_04 13_06 13_08 13_10 13_12 13_14 13_16 13_18 13_20 13_22 14_00 14_02 14_04 14_06 14_08 14_10 14_12 14_14 14_16 14_18 14_20 14_22 15_00 15_02 15_04 15_06 15_08 15_10 15_12 15_14 15_16 15_18 15_20 15_22 16_00 16_02 16_04 16_06 16_08 16_10 16_12 16_14 16_16 16_18 16_20 16_22 17_00 17_02 17_04 17_06 17_08 17_10 17_12 17_14 17_16 17_18 17_20 17_22 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 13_00 13_02 13_04 13_06 13_08 13_10 13_12 13_14 13_16 13_18 13_20 13_22 14_00 14_02 14_04 14_06 14_08 14_10 14_12 14_14 14_16 14_18 14_20 14_22 15_00 15_02 15_04 15_06 15_08 15_10 15_12 15_14 15_16 15_18 15_20 15_22 16_00 16_02 16_04 16_06 16_08 16_10 16_12 16_14 16_16 16_18 16_20 16_22 17_00 17_02 17_04 17_06 17_08 17_10 17_12 17_14 17_16 17_18 17_20 17_22 4月13日〜17日における滞在者数推移(1時間毎) 最大約3200人の滞在者 16日の夕方以降、特に滞在者が 1000人を超える時間帯が多い 4/14  21:26 M6.5 4/16  01:25 M7.3 熊本産業展示場(グランメッセ)周辺 4/14  21:26 M6.5 4/16  01:25 M7.3 広安小学校&益城町保健福祉センター周辺 グラフ:「混雑統計®」©ZENRIN  DataCom CO.,  LTD.
  12. 2016/10/15 GIS学会第25回学術研究発表会@立正大学大崎キャンパス 17 4月15〜17日平均滞在者が、平常時の割合を 特に上回ったエリア(熊本市中央区) ←平時:約390人 4/15:約570人 4/16:約1250人 4/17:約1510人 ↑平時:約2900人

    4/15:約2880人 4/16:約790人 4/17:約1350人 •辛島公園 4/17日平均は平時の3倍以上に達した。ま た、隣接の西山中学校は4/16日平均が平 時の3倍近くに達し約1,000人が滞在した。 平時も滞在者数が多いため、 平均と差異があまりない結果 だが、時間帯別に見ると夜間 の滞在者が平時より多い。 •:ZDC社提供「全国避難所データベース」(2015年3月) ★:Youth  Action  for  Kumamoto避難所データ(2016年4月28日版) 背景写真:国土地理院・平成28年熊本地震・熊本地区 正射画像(2016年4月16日撮影) メッシュ図:「混雑統計®」©ZENRIN  DataCom CO.,  LTD.
  13. 2016/10/15 GIS学会第25回学術研究発表会@立正大学大崎キャンパス 18 0 500 1000 1500 2000 2500 3000

    3500 13_0 13_2 13_4 13_6 13_8 13_10 13_12 13_14 13_16 13_18 13_20 13_22 14_0 14_2 14_4 14_6 14_8 14_10 14_12 14_14 14_16 14_18 14_20 14_22 15_0 15_2 15_4 15_6 15_8 15_10 15_12 15_14 15_16 15_18 15_20 15_22 16_0 16_2 16_4 16_6 16_8 16_10 16_12 16_14 16_16 16_18 16_20 16_22 17_0 17_2 17_4 17_6 17_8 17_10 17_12 17_14 17_16 17_18 17_20 17_22 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 13_0 13_2 13_4 13_6 13_8 13_10 13_12 13_14 13_16 13_18 13_20 13_22 14_0 14_2 14_4 14_6 14_8 14_10 14_12 14_14 14_16 14_18 14_20 14_22 15_0 15_2 15_4 15_6 15_8 15_10 15_12 15_14 15_16 15_18 15_20 15_22 16_0 16_2 16_4 16_6 16_8 16_10 16_12 16_14 16_16 16_18 16_20 16_22 17_0 17_2 17_4 17_6 17_8 17_10 17_12 17_14 17_16 17_18 17_20 17_22 熊本市立一新小学校周辺 辛島公園周辺 4月13日〜17日における滞在者数推移(1時間毎) 14日前震直後に 約1500人に 16日本震直後〜 17日の夜間に約 2000人以上に 14日前震後、野外に 2000人以上が滞在 16日未明本震後、夜間に 再び2000人以上が滞在 4/14  21:26 M6.5 4/16  01:25 M7.3 4/14  21:26 M6.5 4/16  01:25 M7.3 グラフ:「混雑統計®」©ZENRIN  DataCom CO.,  LTD.
  14. 2016/10/15 GIS学会第25回学術研究発表会@立正大学大崎キャンパス 19 熊本地震における深夜の滞在状況 観測した日時 1時間で変化あり (not  NA) 平時との較差が 1.0倍以上

    日平均で変化あり (not NA) 4/15  0:00  AM   108  mesh 86  mesh 7,160  mesh 4/16  2:00  AM   149  mesh 98  mesh 7,057mesh 4/17  0:00  AM 42  mesh 27  mesh 7,103mesh • 深夜の滞在場所にも特徴があるのでは? 前震: 4/14  21:26  PM/本震: 4/16  01:25  AM • 1日単位で平均化➔深夜時間帯の特徴も概 観したい
  15. 2016/10/15 GIS学会第25回学術研究発表会@立正大学大崎キャンパス 23 おわりに • 携帯電話位置情報を用いた250mの集計データと避 難所データを組み合わせることで,避難所への避難 動向だけでなく,屋外や避難所周辺の空間分布の概 観(⇔避難所点データ) を把握できた

    • 日平均に加え,1時間単位による滞在者推移も一定 把握することができた. ü実際の避難状況の把握や対策に使う上での課題 – 建物の中の避難状況が必ずしも観測できない – 避難所の属性・規模等を考慮した推定ではない ➔VGIデータに加えて避難所オープンデータの必要 – 基データの性質や精度から,避難の移動方向や道路への 集中度はわからない ➔データ融合に基づく解析