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「すごくできる人」の講義を聴くだけでは、なぜ「できる人」になれないのか

marimari
February 23, 2019

 「すごくできる人」の講義を聴くだけでは、なぜ「できる人」になれないのか

「すごくできる人」の講義を聴くだけでは、なぜ「できる人」になれないのか…という問いに対して、自分なりの回答をテキストに起こしながら整理してみようと思い、あれやこれや考えていたら、このようなドキュメントができました。
DropboxPaperで共有した内容ですが、こちらにもPDFで掲載しておきます。
編集後記&DropboxPaperへのリンクは、筆者ブログ(心のうち)にて。
http://hysmrk.cocolog-nifty.com/blog/2019/02/post-ca08.html

marimari

February 23, 2019
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Transcript

  1. 「すごくできる人」の講義を聴くだけ では、なぜ「できる人」になれないの か はじめに 話の流れ 「すごくできる人」の講義を聴くのはムダなのか 「すごくできる人」の講義を聴く価値とは 「すごくできる人」は、なぜ”講義”をするのか 講義を聴くだけでは、なぜ「できる人」になれないのか 「できる人」になるためには、どうすればいいのか

    「できる人」を育てるためには、どうすればいいのか 読者想定 セミナーや勉強会、研修で「すごくできる人」の講義をよく聴いている方 周囲から「すごくできる人」と思われていて、講義をよく引き受けている方 「すごくできる人」を講師に招き、セミナーや勉強会、研修を企画している方 「すごくできる人」の講義を聴くのはムダな のか 全然ムダじゃない 別に「すごくできる人」の講義を聴く価値がないという話ではない それどころか、たいへんに有意義な体験だと、心の底から思っている 私自身、学びを得ることも多々あるし、感銘を受けることも多々ある 「すごくできる人」を講師に招聘して、クライアントに研修を提供する立場でもある (「講義」以外と連携させることが多いが) ここで言いたいこと:ケンカ売ってない! 「すごくできる人」の講義を聴く価値とは
  2. 自分の死角・思いこみ・思い上がりを排除できる 「これ、知らなかったなぁ」「これ、思い違いしてた」と素直な発見が得られる 「すごくできる人」の話は説得力があり、信頼できる 信用していない人に言われても「自分のほうが正しい」とスルーしていたことを、い とも簡単に改められたりする 知らなかったことを知れる 自分に足りない知識や視点は、自分で発見することが困難 自分が知らないことは、人の話や本から教わることで能率的にGETできる 「話を聴く」のは、「本を読む」より負荷が軽い たいてい話が体系だっている

    「すごくできる人」の話は、体系的に整理されていることが多い まずは「学習領域に通底する論理」を学び、足場を作ってから積み上げていくと学習 効率が良いため、体系的な知識は学び始めに最適 着実で有用な「今後の学習方法・実践方法」が得られる 現場に即した実践重視&無理なく段階的に取り入れやすい「今後の学習方法・実践方 法」をアドバイスしてくれる人も多い 役立つ推薦図書、トレーニング方法、段階的な仕事への取り入れ方、職場の環境づく りなど 仕事&学習のモチベーションが上がる 「すごくできる人」はロールモデルの役割を果たし、聴き手を鼓舞するパワーをもつ 直接話を聴くことで「こういう仕事がしたい」「これができるようになりたい」と動 機づけられる 「ものにしたい」という意識、「自分にもできるのでは」という自己効力感は、学習 効果を上げる 確認しておきたい大前提:「すごくできる人」の講義を聴くことは大いに価値がある 「すごくできる人」は、なぜ”講義”をするの か 理由1:「自分の知見を惜しみなく伝授する」行動指針をもつ
  3. 「講義設計、スライド作成、講義そのもの、参加者とのコミュニケーション」によっ て自分の知識や仕事のやり方を体系化したり見直す機会がもて、その活動自体に価値 を見出している その分野における自身や自社のブランディング、営業や採用活動に有効に働く 自分の仕事の社会的価値を認識しており、自身の能力レベルも客観的に評価できてい るため、声がかかれば後進育成に役立とうとする 健全で安定した自己肯定感があり、自分のノウハウを開示することに開放的 「講義」によって自分の市場価値が脅かされないことを分かっている 理由2:「教えること」に割ける余力が限られている その存在は希少で、また実務に忙しく、「講義」以上に手の込んだもの(演習、テス

    トなど)の準備には、なかなか時間や労力を割けない ごく身近な職場メンバーなどを除けば、「長い時間、同じ場所を共有」して人に教え ることが困難 理由3:必ずしも「教え上手」「育て上手」ではない 「すごくできる」のは特定分野の仕事であって、必ずしも教える/育てることに長け ていない 「体系だった知識を分かりやすく教える」講義は得意でも、人が知識・スキルを習得 したり、パフォーマンスとして習熟していくのを指導・支援する「育て上手」とは限 らない 「イベント講演」に習熟していくと、”参加者の満足度獲得” や ”反響の大きさ” がKPI になり、 ”参加者の学習効果” は必ずしも重視されない、「話し上手」「演者としての 魅力」を追求する人も 仕事が好きなのであって、それを教えるのが好きなわけではない場合もあり、上手い /下手に関わらず、教える/育てる役割を志向していない人もいる ※補足:「すごくできる人」の中にも、教えたり育てたりするのが上手な人はいるし、 「教えたり育てるのが上手な人」の中に、その仕事自体は「すごくできる」に及ばない人 もいる 結果的に:ごく短時間に“1対多“で大人数に働きかけられる”講義”形式が採用されやす い 講義を聴くだけでは、なぜ「できる人」にな れないのか 理由1:講義で話せる内容は「一部」だから
  4. 状況に応じた調整・変更を加えられない。応用がきかない、ケースバイケースに対応 できない . できる 状況を調査・分析して、やり方を調整したり応 用できる ◦単独で遂行できる . 一応で きる

    言われたタイミングでルールを適用できる △指示にそって作業で きる . わかる 理解している/説明できる ×仕事にならない . 知る 聞いたことがある/意識している ×仕事にならない . 無意識 知らない/意識していない ×仕事にならない 理由4:静的な情報をもっただけでは、なかなか実践活用に至 らないから 「自分の現場で使い出す」初動が、なかなか取れない どんな下準備をして、誰に働きかけ、どのタイミングで、どう取り入れたらいいかわ からない 現場の理解を得るまでの働きかけが重荷で、「職場にそういう環境が整ったら自分も やろう…」に落ち着く 結果として:話は良かったが、翌日からの自分の仕事/業務環境に何の影響も及ぼし ていない 「できる人」になるためには、どうすればい いのか 大人の学習は「セルフマネジメントできるかどうか」が肝 まず「すごくできる人」の話は有意義だが、学習において「万能ではない」ことを心 得る 「講義」の効用と限界を理解して、「講義」を新しい学習の足場づくりに有効活用す る 講義で「知ったこと」を「やってみる」→「使いこなせる」ようになるまでを射程に 入れて学習をセルフマネジメントする
  5. 「できる人」を育てるためには、どうすれば いいのか 講義をする方へ 自分の講義では「誰をメイン対象に」「何にフォーカスし」「何は話さないのか」を 伝える 自分の講義を聴いた後、「どんな学習をしていくとよいか」「どんなふうにすると段 階的に取り入れていきやすいか」など、「この後どうするか」のアドバイスを、締め に用意する 研修を企画する方へ 本人が単独で「経験学習サイクルをまわす」のは難しい。やってみる課題づくりも一

    苦労だし、その機会を学習に活かせるかも本人次第。ひとりでコツコツ練習を重ねれ ば習熟するわけでもない 本人にとってリアリティある、ちょうどいい難易度のチャレンジ課題を用意し、練習 の機会を作って、優秀な実務エキスパートから個別に評価フィードバックを得られる 「講義+演習プログラム」など、組織的な支援があるかないかで学習効果・効率は大 きく変わる