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DX・全社変革のドライバーとなる「OKR」

 DX・全社変革のドライバーとなる「OKR」

DXが全社変革であることの説明と、Aspirational な目標達成管理フレームワークである OKR(Objectives & Key Results) の基本的な解説を通しながら、OKRがDXのような企業の大きな目標を達成するドライバーになることを述べたスライド資料。

OKRのような枠組みを用い、組織の階層間で、または部署間で、それぞれの目標設定と達成管理が有機的に連携できるようにマネジメントしておくことは、全社的な取り組みにおいて有効です。OKRを使いこなし、大きな成果を達成できる組織へと脱皮していくことは、今日の多くの企業の喫緊課題でありながら長い旅にもなる DX のような全社変革においてはとても重要になるでしょう。

関連記事)創造的な組織の実現にも全社的取り組みにも有効な OKR を数分で概観
https://note.com/masayamori/n/n16deb4b9d8ac

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Transcript

  1. 2 • 日本ディープラーニング協会 顧問 • 東北大学 特任教授 • デロイト トーマツ

    コンサルティング 執行役員 • メルカリ R4D 顧問 • APEC(アジア太平洋経済協力) Project DARE アドバイザー • 元 楽天 執行役員 / 楽天技術研究所 所長 森 正弥 https://note.mu/masayamori • 先端技術の動向の情報発信を行い、産業横断的な公職にも携わる • インターネット企業では、開発組織のグローバル化・研究開発の統括に従事、新サービスも創出
  2. 3 「 (人間体験)に基づく 」 https://note.com/masayamori/n/n4353e43c019d • 禍により、世界各国で外出禁止、自 粛の要請、都市封鎖(ロックダウン)が行われ た。 •

    様々な仕事がオンラインへの移行を試みつつも、 エッセンシャルワーカーは社会インフラと人々 の生活を支え続け、人々の社会観・仕事観・人 生観は大きく揺さぶられるとともに、人間とし ての体験の大切さに目覚めた。 • デジタルシフト、 が叫ばれているが、この 禍によって自覚された人間体験の大 切さに基づいて、 やロボティクスに代表され る技術も適用されなければいけない。
  3. 5 「生存と繁栄の鍵を握る (デジタルトランスフォーメーション)」 https://note.com/masayamori/n/n78570b50003a • とは、変わりゆく顧客やマーケットからの要 請に答えるために、デジタル時代の技術や価値 観、そしてステークホルダーとの新しい関係の 在り方をビジネスのあらゆる側面に統合してい く全社改革といえる。

    • ターゲットとしては主に、顧客とのリレーショ ンの効果とビジネスオペレーションの効率性を 高めることを狙うことになるが、そのためにも、 システム、プロセス、組織と文化をアップデー トし、新しい世代や変化を取り込んでいくこと が肝となる。
  4. 6 は全社変革である 更 に そ の 先 DXとは? • デジタル時代の技術や価値観、そしてステークホルダーとの新しい関係の在り方を

    ビジネスのあらゆる側面に統合していく全社改革 背景・環境 単なる最新のIT環境を 整えることではない ジェネレーション の価値観 組織文化・業務理解 が必須 リスキルが大事 全社変革 消費者の 「個」客化 顧客接点のオム ニチャネル化 生み出される 新マーケット 企業システムの クラウド化 製造・販売の 統合 ライブコマース 等の新潮流 COVID-19の 不可逆的変化 変わりゆく顧客とマーケット、そしてシステムの要請
  5. 7 は全社変革であり、様々なプロジェクトによって構成される。その実現には、プロジェ クトを統括する「プログラムマネジメント」が欠かせない 全体としての マネジメント • 個々のプロジェクトでなく、全体の「プログラム」を監督する • 個々のタスクや成果にフォーカスしすぎると、そもそものゴールに 貢献しないプロジェクトを容認してしまうこともある

    • 全社としてやるべきこと、解決すべき課題、チャレンジしたい目標 に、プログラムの全体像がずれていないか管理する 全体を進める ための アクション • プロジェクトの優先順位と配置を、プログラムを進めるために行う • ボトルネックとなるプロジェクトには入り込み、問題を除去する 全体の コミュニケー ション • 経営と事業、各プロジェクト間の橋渡し マネジメント手法 そのものより、 全社目標に対する 情熱とそれを解決 する胆力 DX(全社変革)をなすためのプログラムマネジメント プログラム マネジメント
  6. 9 インターネット企業での 組織構築・マネジメント導入の事例を通し、 が において有 効であることを紹介します 背景・問題意識  経営レベルからも見通しのよい「新しい事業管理の指標・マネジメント」の模索 

    どこで何が行われ、どれぐらいの成果が出ているか不明という状況の解消  現場力はあるが不透明なボトムアップカルチャーからの脱却  様々な事業の成長、新規事業参入に対応したガバナンスへの変更 DX戦略・組織 ・マネジメント の構築  マネジメントフレームワーク導入とプロジェクトの整理  KGI とそれに紐づくKPIツリーへの統合とOKR導入  透明性を確保したガバナンス体系への移行  成果およびコストが見える化  熱意ある成長とダイナミックなオペレーションを実現 現在のデータ・AI・デジタルに関するケイパビリティを維持した上 で、透明性を確保し、ダイナミックな組織を実現する インターネット企業でのDX事例
  7. 10 今後の事業展開を踏まえた際、現状の組織のあり方では限界を感じ、 インターネット企業にて実装した 推進組織 (データ& 組織) Data Lake Platform &

    Product Consultant & Analyst R&D (Core Science) • 部門がデータを集め、 部門が 等でソリューションを提供、 部門が、ビジネスと共に新領域への挑戦を行う。研究所は各部署に支援 • 各クライアント企業における 推進組織や 直轄組織へのリファレンスになりうる • というコンセプトで、いわゆる と をつないだ取組みとしてみることも可能 Data Business
  8. 11 各プロジェクトの指示系統を整理、役員でのレビューでコントロールを実施。リスキルで 人員を育成することで の完成度を高める アプローチ  全社横断的にデータ&AI にまつわるProjectをマッピング  プロジェクトの指示系統を整理・統合。プロジェクト責任者を明確化

     上位のレイヤーマネージャーと、全体のPMOを設置  データ&AI の開発は中央へ寄せ、データ活用は現場へ開放  各マネージャー、PMO による毎月の推進会議  推進にあたっての課題を識別し、議論し、取り除く  三か月に一回 グローバル全役員でレビュー  主要なプログラムは、主要な役員でのレビューを実施  DXの中でリスキルを遂行  他職種からPM・PMO。コンサルタントからデータサイエンティストへ  AI人材育成プログラムを構築。AIエンジニアを育成  熱意ある目標設定と管理  全体のKPI/KGI系統が整理されたことにより、各部門・部署・個人の OKR導入が容易に。リスキル・人材育成にもつながる 整理 選択と集中 推進 レビュー リスキル 育成 体制 オペレーション 人材
  9. 13 目標設定と管理のマネジメント 広く世の中に普及 古くからの例 KPI MBO SMART BSC Peter Drucker

    が提唱 George Doran が提唱 バランススコアカード KaplanとNorton が提唱 OKR • 社の社長 によって実装されたのを起源 とし、比較的新しいマネジメントフレームワークとされて います。(初出は 年) • の他には、 、 、 、 、 等のグローバルリーディングカンパニーで活用され ていることで有名です。 • 従前のトップダウンのマネジメントシステムを覆したもの として評価されています。 Andy Grove
  10. 14 は何が違うのか? KPI MBO OKR レビュー頻度 適宜 1年毎 四半期ごと もしくは毎月

    目標達成度合いの位 置づけ ステータス計測 報酬の決定要素 熱意ある数値目標 目標の共有思想 (組織による) 管理単位 オープン 期待される 達成水準 100% 100% 60~70%
  11. 15 企業は、 、 を通し、実現すべき究極のゴールを持つ。 は、組織と個々の メンバーがその企業全体のゴールに自律的・自主的に進ませることを可能にする X 企業 究極の 価値観

    • : 何を目指すか • : 何をすべきか 究極の ゴール OKR Objectives (目標) Key Results (主たる結果) • 企業やチーム、個人の進捗をモニタリング • 組織とそのメンバーを皆同じ企業全体のゴールに向けて進ませる • 個々の自律性・自主性を尊重、後押ししていく 企業の究極のゴールとOKR
  12. 16 の留意点 戦略的かつ野心的なゴール 会社の究極的目標へ進むための戦略的方向性を体現 そして、週次の計画で日々のタスクやゴール達成のためにすべき週の取り組 みを定めるオペレーションを行う を書く前に、まず、何を達成したいのか、ゴールについて、十分に考えをめぐらし、理解を深める Objectives (目標)とは 

    年次や四半期等のサイクルで達成される目標   現実的なゴール NG 活動やプロジェクトを行うことではない NG Key Results (主たる結果)とは 会社を改善する、会社を変える、そんな情熱を掻き立てるようなゴール  Objective の達成の度合い、進捗を測る指標  タスクの言い換え NG
  13. 17 を考えるにあたって  今期(四半期)、達成したいと思っている Objective  例えば、売上、マーケットシェア、顧客満足、新規事業創出等の内容で考えてみる ※ 何が Objective

    にはならないか、という逆のことも検討しておく  このObjectiveは会社のゴールを達成するのに役立つか?  このObjectiveはインスピレーションをもたらしてくれるか?  このObjectiveは会社を前に進めるか?  このObjectiveは期限が切られているか?  このObjectiveは年間の目標なのか、四半期の目標なのか? Objectives (目標)候補を考えてみる 考えるにあたってのチェックリスト
  14. 19 のいい例・悪い例 • Q3の売上は会社の過去の売上記録を更新する • 今年USマーケットの首位を獲得する • 年内に第4の収益源となる事業を確立 • 売上を上げ続ける

    • 今年も業界の四半期顧客満足度ランキングで 1位に輝く いい例 悪い例 会社の売上を上げる Objective を考えてみる  ある種の熱意を掻き立てる  会社を前に進める目標  期限が切られている  熱意あるゴールではない  過去にも達成している  継続的活動とみなせる これらを踏まえ、最終的に、3~5つの を定めていく
  15. 20 の留意点 5000のフォロワーを獲得した時点で50%の達成度合いであることがわかる Objective 1つにつき、3~5つのKey Results を設定 (1億円の新規売上を達成する) • 具体的、定量的、数値でアップデートされるもの

    • 進捗が割合などで観測可能 • 困難であるが達成可能 (もっとフォロワーを獲得する) • 到達したか・到達してないかのような二分法 • タスクや計画の言い換え(トートロジー) • 「もっと」「さらに」等の上乗せしていくような表現 Good Bad 「もっとフォロワーを獲得する」は、「新規1万のフォロワーを獲得する」等の方がよい Q3の売上で売上記 録を更新する 四半期の顧客満足 度で1位に Objectives (目標) Key Results (主たる結果)
  16. 21 の例 ※違うObjective でも同じKey Results が当てはまることもあります ※これらは具体的であり、定量的であり、チャレンジング Objectives (目標) Key

    Results (主たる結果) 顧客満足度ランキングで 1位に輝く • 1億円の新規売上を生み出す • 顧客の離脱率(Churn Rate)を10%から7%に減らす • 新規顧客を400名獲得する Q3の売上で売上記録を更 新する • 顧客からのフィードバック回収率を80%に高める • 顧客問い合わせの平均レスポンスタイムを1時間以内にする • 顧客の離脱率(Churn Rate)を10%から7%に減らす
  17. 22 数値的な達成と創造性の誘発を同時に狙っていくことが の精神  これら総体としてもインスピレーションをもたらすかを問う  日々の創造的なチャレンジ、努力を自然に醸成していくものが望ましい Objectives (目標) Key

    Results (主たる結果) 取り組みの計画を設定していく スケジューリングされたタスクとして整理し、実行する ※単なる数字管理に堕してしまわないように気をつける スケジューリング、実行、そして管理
  18. 23 の運用において、イテイティブな管理とオープンさがポイント  基本は公開して共有し、透明性を確保する  他メンバー・他組織にも参照できるようにする  全社のOKRと自分個人のOKRがつながっていることを 意識することで自分自身の目標の意義を理解する 

    他部署のOKRを見て、役割分担を理解する  また別部署の野心的なOKRで刺激を受け、高め合う  定期的にモニタリングし、レビューする  例えば、週次・月次でモニタリングされつつ、四半 期等で定期的にレビューし、活動を常に軌道修正し ながらまた問題点を改善しながら前に進んでいく OKR レビュー頻度 四半期ごと もしくは毎月 目標達成度合いの位 置づけ 熱意ある数値目標 目標の共有思想 オープン 期待される 達成水準 60~70% OKRの運用 イテレイティブな管理 オープンさ
  19. 24 を多すぎないようにすること  あらゆるレベルでOKRを設定し、全てモニタリングし参照し合うと、その量に圧倒され てしまい、フォーカスがぼやけてしまう  OKRのモニタリングに時間を要してしまうのであれば、OKRのモニタリング自体が達成 目標になるような本末転倒な状況を招く フォーカスが大事 を多すぎないようにする

    (個人でも組織全体でも) モニタリングや管理には時間がかかりすぎないように(大切なのは全社の変革) 戦略的かつ野心的なゴール 会社の究極的目標へ進むための戦略的方向性を体現 Objectives (目標)とは  年次や四半期等のサイクルで達成される目標   会社を改善する、会社を変える、そんな情熱を掻き立てるようなゴール  と関係ない活動に注がれて いる時間・リソースを見直し、 の達成に向けて集中 できるように調整していく
  20. 25 アンバサダーを各部署でアサイン OKR PIC / アンバサダー • 各部署で、 のコンセプトの啓発、 フレー

    ムワークの組織への導入、モニタリング・レビュー とその活用の支援を行う  プログラム・マネージャーのような役割を担ってもらう場合も  彼らの支援を経て、組織にOKRの文化とマネジメントが根付いたら、 あとは日常的に活用し、波状的に成果を創出していく • OKRは、ボトムアップ的で、熱意重視であるため、今までの管理フレームワークと異 なる。OKRアンバサダーを各部署でアサインし、コンセプトの普及・定着が必要
  21. 26 の目標は、全社の究極的な目標の達成。 その実現には、プロジェクトを統括する「プログラムマネジメント」が参考になる 全体としての マネジメント • 個々のプロジェクトでなく、全体の「プログラム」を監督する • 個々のタスクや成果にフォーカスしすぎると、そもそものゴールに 貢献しないプロジェクトを容認してしまうこともある

    • 全社としてやるべきこと、解決すべき課題、チャレンジしたい目標 に、プログラムの全体像がずれていないか管理する 全体を進める ための アクション • プロジェクトの優先順位と配置を、プログラムを進めるために行う • ボトルネックとなるプロジェクトには入り込み、問題を除去する 全体の コミュニケー ション • 経営と事業、各プロジェクト間の橋渡し マネジメント手法 そのものより、 全社目標に対する 情熱とそれを解決 する胆力 全社変革をなすためのプログラムマネジメント プログラム マネジメント
  22. 27 を使いこなし、大きな成果を達成できる組織へと脱皮していくことは、今日の多くの企 業の喫緊課題でありながら長い旅にもなる のような全社変革においてはとても重要 X 企業 究極の 価値観 • :

    何を目指すか • : 何をすべきか 究極の ゴール 企業の究極のゴール、DXとOKR 更 に そ の 先 単なる最新のIT環境を 整えることではない ジェネレーション の価値観 組織文化・業務理解 が必須 リスキルが大事 全社変革 DXとは  そうすることで企業だけでなく、個人も熱意をもって働き、また成長することができる