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「Founder Mode(創業者モード)」と 「Founder's Mentality(創業...

「Founder Mode(創業者モード)」と 「Founder's Mentality(創業者メンタリティ)」

ポール・グレアム氏は、精神面においても、また Y Combinator という具体的な組織によっても、スタートアップ文化の構築とエコシステムの発展を支え、その歴史において大きな役割を果たしている。そんな彼が2024年9月1日に書いたエッセイは、シリコンバレーの経営リーダーたちの間で、様々な議論を巻き起こした。

どのような経営こそが継続的な成長と規模の拡大を目指す企業にとって望ましいのか。少数精鋭のスタートアップが、まるで都市のような大企業にまでレベルアップし続けるには、何が必要なのか。

本資料では、ポール・グレアム氏が投げかけたこのテーマについて少し深堀りをしていきたい。キーワードは、マネジメントスタイルとしての「Founder Mode(創業者モード)」への回帰と、フレームワーク「Founder's Mentality (創業者メンタリティ)」で見出されたプラクティスの復権である。

■参考:スタートアップが失速することなく大企業へと成長するためのマネジメントスタイル「Founder Mode(創業者モード)」とフレームワーク「Founder’s Mentality(創業者メンタリティ)」
https://note.com/masayamori/n/n74083d073903

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  2. Founder Mode(創業者モード) とは このエッセイ「Founder Mode(ファウンダーモード = 創業者モード)」は、Airbnb の ブライアン・チェスキーCEOが8月に行った講演に触発されて書かれたものであり、 スタートアップから成長した組織において、いわゆる「デリゲーション(委任)中心

    のマネジメントスタイル」を採用すると、なぜうまくいかなくなるのかについて述べ ている。 リーダーへの教えとしてデリゲーションの大切さはよく言及される。組織が大きくな ったら、リーダーは部下にデリゲーションをすべきだ、そうすることで、組織は次な る段階への成長が見込める。MBAでも企業における社員研修でも等しくそのように教 わる。これは今やコモディティ化されている常識でもあるといえる。ゆえに、そのよ うに教わってきた人からすると、この話は直観に反する。成長する組織でデリゲーシ ョンを行うと組織はうまくいかなくなる? それはどういうことなのか。
  3. Founder Modeの特徴 グレアム氏は、チェスキー氏のように、デリゲーション中心のマネジメントスタイル を試みた創業者たちの落胆や、あるいは、そのようなマネジメントスタイルから脱却 しようという試みや実際に脱却できた事例から、別のマネジメントスタイルの存在を 推測している。それがエッセイのタイトルでもある、「Founder Mode (創業者モード )」である。これはスティーブ・ジョブズがかつてAppleを指揮していた方法を想起さ せると彼は述べている。

    「Founder Mode」は、デリゲーション中心のマネジメントスタイルと何がどう違うのか 。部下に仕事を委任し、それを介入せずに見守るデリゲーションは、成長していくス タートアップ組織においては、時に「優秀な人材を雇う」こととセットで行われる。組 織の成長にあわせ、その規模のマネジメントを経験したことがある人材を外部から招 へい・採用し、スキル・実績を信頼して委任していく。一方、Founder Mode は、グ レアム氏によると、デリゲーション(委任)をしない。創業者あるいは経営者が、組 織のあらゆるレイヤに直接的に関与することを志向する。
  4. Founder Modeの実践例 例えば、スキップレベル1on1 というミーティング手法がある。これは、かのスティーブ・ジョブス氏も実践していたダイレクトなコミュニケーショ ンスタイルで、上位の管理職が自分の直接の部下を飛び越えてメンバーと行う対話である。「部下の部下」と 1on1 を実施することで、より現場で起き ていることを直接的に理解するとともに、組織のコミュニケーションを活性化し、意思決定の透明性を向上させる。グレアム氏は、このスキップレ ベル1on1を Founder

    Mode の実践例の一つとしてあげている。他にも、マネージャー陣を集め、経営者が直接議論をリードする合宿や研修旅行等も プラクティスにあげられる。 スキップレベル1on1 上位管理職が直接の部下を飛び越えて「 部下の部下」と対話することで、現場の 状況を直接理解し、組織のコミュニケ ーションを活性化する マネージャー合宿 経営者がマネージャー陣を集め、直接 議論をリードする合宿や研修旅行を通 じて、ビジョンや方向性を共有する 直接的関与 創業者や経営者が組織のあらゆるレイ ヤーに直接関与し、意思決定の透明性 を向上させる
  5. Founder Modeのバランス 当然のことながら、スタートアップの創業者・経営者は、従業員が20人だった頃と同じ方法で2000人の会社を運営し続けることはできない。ある 程度の委任、役割分担は必要になる。また、「Founder Mode」はややもすると、ただの過干渉、マイクロマネジメントになる可能性もある。しかし 、そのリスクを踏まえても、Founder Mode を採用する方がよい、とグレアム氏は主張している。創業者や初期からいる経営者には後から入ってき た役員や管理職にはできないことができるのだ。 グレアム氏は、このエッセイの草稿をイーロン・マスク氏に読んでもらったことを明かしているが、Founder

    Mode は、ビジネス界・スタートアッ プ界の著名なリーダーたちの間で議論を起こしている。彼ら彼女らも、組織が大きくなってから管理職になったマネージャーに任せることと、創業 者として直接影響を与えることの分担やバランスについてまさに悩みを持っている。例えば、ある創業者は、「詳細の把握は続けるが、細かい指示 まで行うことはしない」というバランスをとっていたり、他の創業者は「各事業は事業のリーダーの指揮のもとやってもらうが、そのリーダーとは密 に1on1 を行うと同時に、会社全体には創業の理念やパーパス、組織カルチャーが常に浸透しているように、常に実践されているように働きかけ続け る」等、絶妙な形での組み合わせがないか模索している。 Founder Modeのリスク • 過干渉になる可能性 • マイクロマネジメントに陥る危険性 • 規模拡大に伴う限界 バランスの模索 • 詳細把握は続けるが細かい指示は避ける • 事業リーダーとの密な1on1の実施 • 理念・カルチャーの浸透に注力
  6. Founder's Mentality(創業者メンタ ンタリティ) グレアム氏は、Founder Mode は重要なプラクティスでありながら、それに関する書籍 もビジネススクールもないのでは、という自身の見解を述べた。しかし、同様のテーマ を分析し、そのための処方箋として Founder Mode

    の重要性を指摘した書籍が、「 Founder's Mentality (創業者メンタリティ)」というタイトルで2016年に出版され、既に 存在している。 Founder's Mentality は、Bain & Company のパートナー(共同経営者)、クリス・ズック 氏とジェームズ・アレン氏によって提唱された概念であり、フレームワークである。創 業者の持つ野心的で大胆な姿勢や行動にフォーカスし、企業の持続的な成長を実現する 経営者や組織に見られる特徴をとるべき行動指針としてまとめている。 例えば、そのような経営者や組織には、以下のような特徴がある。 • 自らをイノベーターやディスラプターと称する • 全社で強い使命感を共有する • 現場重視の価値観が組織全体に浸透している • 複雑さや官僚主義を徹底的に排除する • 従業員の当事者意識(オーナーシップ)が強い
  7. Founder's Mentalityの3つの柱 これらの特徴を、ズック氏は、Founder's Mentality の3つの柱としてまとめている。 Insurgency(反骨精神) 強い目的意識を持ち、自社を単なる ビジネスではなくムーブメントとと らえる。イノベーターやディスラプ ターとして業界に挑む。

    Frontline Obsession(現場主義) 顧客と接する現場を重視し、顧客のニ ーズを理解し、市場の変化をつかみ取 り、迅速にアクションを取る。 Owner's Mindset(当事者意識) ビジネスに強いこだわりを持ち、全て のタスクに責任感を持ち、品質に対し て高い基準を適用する。
  8. Frontline Obsession(現場主義) 創業者は最初に自らのビジネスの顧客になってくれた人・会社のことを昨日のことのように覚えている。創業者の中には、顧客ととりわけ強いコネ クションを持ち、顧客に価値を提供できるビジネスパートナーと厚いネットワークを持っている者もいる。常に顧客と接することができる現場の部 署や従業員を重視し、顧客のニーズを理解し、市場の変化をつかみ取り、迅速にアクションを取る。プロダクトマーケットフィット、強固なフィー ドバックループが、ビジネスの継続的改善を可能にする。 例えば、Amazon における「徹底した顧客への執着」に基づく事業オペレーションは広く知られている。それに基づく迅速な配達システムや顧客サー ビスでの継続的な革新は、現場主義の好例といえる。Amazon が起業してから5年後である1999年に、ジェフ・ベゾス氏はCNBCのインタビューに

    応えている。そのインタビューの中で、ベゾス氏は、「Amazon とは何かといったら、それは、顧客体験(Customer Experience)への執着であり、 Amazon がインターネット企業かどうかは重要ではない」と語っている。1999年と言えば、UIやUXの概念がようやくビジネスの場に普及してきたよ うな頃であり、CX経営というコンセプトが普及するのはその後のことだ。この時点でCXの追及を企業の中核においたベゾス氏の現場主義の徹底ぶ りは驚嘆に値する。 「Amazon とは何かといったら、それは、顧客体験(Customer Experience)への執着である。Amazon がインタ ーネット企業かどうかは重要ではない」 - ジェフ・ベゾス(1999年)
  9. Owner's Mindset(当事者意識) 創業者は、ビジネスに強いこだわりを持つ。会社の中で行われる全てのタスク、オペ レーション、プロジェクトに責任感を持ち、品質に対しての高い基準を適用して、結 果にコミットメントする。加えて、従業員にも同じような責任感、基準、コミットメ ントで役割を果たすことを期待する。これにより、パフォーマンスを追及し、複雑さ を排して官僚主義が組織に入り込むことを回避する。スティーブ・ジョブス氏が、 Apple のすべての製品に彼の高い基準を満たすよう要求していたのはよく知られてい る。創業者の持つ当事者意識は従業員にも伝播し、彼ら彼女らは自らの役割にイニシ

    アティブを持ち、Get Things Done の精神で物事に臨むようになる。 Bain & Company の調査によると、創業者が率いる企業は他に比べて顕著に優れた成 果を上げるという結果が出ており、Founder's Mentality はそれらの企業の業績、株価 、競争力と強い相関関係があると見ている。そもそもスタートアップにおいては、上 記3つの特徴はごく当たり前のものとして存在している。イノベーションをもたらす 反骨精神、顧客重視としての現場主義、使命感を伴う当事者意識、これらにより濃密 な時間の中で爆発的に成長していくことがそもそもスタートアップにとって生き残れ るかどうかの分水嶺である。言い方をかえると、Founder's Mentality が示したこの特 徴はスタートアップにおける基本的な行動様式でもある。
  10. Founder's Mentalityの喪失と危機 しかし、スタートアップも組織が成長するにつれて、体現していた Founder's Mentality の特徴は次第に薄れていく。大きな規模となり、プロセス や管理の負担が増大し、予期していなかった力や惰性によって蛇行する羽目になり、その勢いと輝きを失っていく。複雑化して動きが遅くなった企 業は、遠からず成長を停滞させる。もはや迅速に対応する柔軟性は失われ、官僚主義が蔓延し、前にも後ろにも進められない苦境に立たされるか、 完全に自由落下な崩壊状態へと移行してしまう。 ズック氏によると、スタートアップは時に次の3つの危機に直面する。

    Overload(過負荷) 企業の成長とともに人員や部署が増加し、 ルールや手続きが複雑化。マネージャーは 管理業務に集中し、業務プロセスが長大化 。従業員の自由度と敏捷性が失われ、クリ エイティビティが阻害される。 Stall-out(停滞) 組織の複雑化と明確な使命の希薄化により 成長が鈍化。予兆なく突然訪れ、かつての 成長率から急落。もがいても成長のアクセ ルが効かず、若く速い競合に追い抜かれる 。 Free fall(自由落下) 主要市場での成長が完全に停止し、ビジネ スモデルが通用しなくなる。経営チームは 制御を失い、根本原因も解決策も特定でき ない。完全な崩壊状態へと向かう。
  11. 明確なFounder's Mentalityの復権 組織の複雑化は管理者を増やし、創業者や創業期のリーダーたちからのデリゲーションも増えていく。そのような中、反骨精神、現場主義、当事者 意識という Founder's Mentality は失われていき、スタートアップは、過負荷、停滞、自由落下と、破滅へのシナリオを進むようになる。 いかに、成長著しいスタートアップはこれらの危機を回避するのか。答えは、Founder Mode による「明確な

    Founder's Mentality の復権」にあると考 えられる。何よりも、創業者や初期を知るリーダーが従業員と接し、反骨精神、現場主義、当事者意識を繰り返し浸透させていくことが肝になる。 例えば、反骨精神を維持するために、既存の体制、既存の仕事のやり方は常に革新的なもので否定されるべきだという価値観を全社で共有し、イノ ベーションの追及を忘れないことを基本動作として確立する。場合によっては、「安定は危機である」というメッセージを社内に定期的に発し、一丸 となって走り続けることをやめない。
  12. 「永遠の危機」という経営理念 Samsung の先代会長であるイ・ゴンヒ(李健熙)氏は、1980年代終わりから1990年代前半にかけて、Samsung を大量生産の廉価製品メーカーか ら高品質のプロダクトを作るメーカーへと変貌させた。それは売上が数倍となる大きな成長だったがそこで歩みを止めず、幹部陣を集めて合宿を行 い経営方針をまとめ、その後、同社を世界最大のエレクトロニクス企業へと育て上げた。イ・ゴンヒ氏は、成長著しい最中にあっても、当時の日本 企業を抜いて世界一となっても、「今、わが社は過去最大の危機にある」と明確に繰り返し、直接社員に語ったこともよく知られている。緩めてしま いかねない手綱を何度も握り直し、全社を鼓舞し続けて Samsung をグローバル企業のスケールへと導いた。これは当時「perpetual

    crisis (永遠の 危機)」という経営理念とも評された。 この絶え間ない危機感こそが、同社を前進させた原動力であり、Founder's Mentality を復権させ、維持させてきたものであった。 反骨精神がある限り、規模が拡大しても道を失わずに済む。経営者が最もやるべきことは、創業時の使命を忘れず、イ・ゴンヒ氏のように反骨精神 を従業員に保持させ続けることだろう。一時の成功に甘んじることなく、増殖する複雑さにも屈することなく、そうすることでむしろ、反骨精神を もつ大組織として、規模の利点を活かしていくパフォーマンス創出も可能になる。 「今、わが社は過去最大の危機にある」 - イ・ゴンヒ(李健熙)
  13. リーダーを育てる・従業員を自走させる デリゲーション型のマネジメントによって組織は Founder's Mentality を希薄化しうる。そのため Founder Mode が改めて重要になってくる。ただ 、Founder Mode

    は、マイクロマネジメントではないし、単なる創業者の介入でもない。ビジョンを語り続ける「明確さ」が重要であることは先に述 べたが、それによって、Founder Mentality を体現する次のリーダーを育てるということと、明確な反骨精神・現場主義・当事者意識を通して、( デリゲーションではなく)従業員に自律的に動いてもらうようにする=従業員を自走させていくことがポイントになる。 食料品デリバリーサービスを展開する Instacart の フィジ・シモ CEOは、The information で意見記事を執筆し、自身のMeta社での経験を引用して Founder Mode は創業者だけのものではないと述べた。 彼女は、「Metaでマーク(・ザッカーバーグ)は、私たちに良い企業幹部になる方法だけでなく、大きなリスクを取り、大きな報酬を得る方法を教 えてくれました。それが Founder Mode なのです」と書いている。マーク・ザッカーバーグ氏は起業家精神を社員に共有し、新しいプロダクトや事 業をゼロから立ち上げるリーダーを評価し、チームの規模やマネージャーの一般的な成功指標よりもそのような野心的挑戦を高く評価した。それは 創業者が Founder's Mentality を社員に正しく伝え、次世代のリーダーを育てるものであった。 ビジョンの共有 創業者が明確なビジョンを語り続け、全社 に浸透させる 次世代リーダーの育成 Founder's Mentalityを体現する次のリーダ ーを育てる 従業員の自走 反骨精神・現場主義・当事者意識を通じて 従業員の自律的行動を促進
  14. 成長し続ける組織を目指して スタートアップは成長のスピードに負けない速さで、次世代のリーダーを育てていく必要がある。次世代のリーダーにいかに挑戦と当事者としての活躍の機会を与え るかは極めて重要だ。さらに、Founder Modeを体現した経営者は、すべての従業員に現場を起点とした、顧客を向いたサービスのオーナーのように感じる文化を作 り出す。これは単なるデリゲーションとは異なり、創業の精神を引き継いだ形での自律的な意思決定と実行、すなわち自走を可能とさせていく。 靴のネット販売・ECを展開している Zappos は、独特の企業文化を構築したスタートアップとしてよく知られている。顧客満足度が高いことに定評があり、顧客のリ ピート率が75%を超えると言われる同社は、10あるコアバリューの厳格な徹底を通して、反骨精神のバリエーションともいえる従業員のクリエイティブさの追及、現 場主義である顧客へのフォーカス、自ら手本を示す当事者意識の価値を浸透させている。そうすることで、Founder's

    Mentality を維持し続けるとともに、従業員の責 任ある自走を達成している。 少数精鋭のスタートアップが、まるで都市のような大企業にまで成長し続けるには、Founder Mode (創業者モード)が必要であるというグレアム氏のエッセイは、 今現在、規模が拡大し続けている、あるいは、成長が鈍化してしまっているスタートアップにとって検討に値する内容を持つ。そして、この問題を考察した Founder's Mentality というフレームワークは理解を深め、アクションを取っていく上で助けになる。 私自身、楽天グループで14年間(2006年~2020年)、研究開発のリードという役割で、その劇的な伸長に関わっていた。この期間、楽天のエンジニア組織はグロー バル含め、20倍の規模にまで拡大した。安定を許さず、弛まぬ自己変革の連続こそが進むべき道であった。三木谷さんの近くでその薫陶を受けた者としては、この Founder Mode と Founder's Mentality は自身の経験とも一致している。現に、今も楽天は大企業でありながらも挑戦し成長し続ける組織として走り続けている。 スタートアップはその事業が伸び、規模が大きくなるにつれ、マネージャーは増え、多くのデリゲーションが行われ、手続きも煩雑化してプロセスの官僚化を招き、 創業の精神を形骸化させていく恐れと戦うことになる。その危機は予想よりもはるかに早く到来する。いかにその早くに訪れる理念の死を防ぐか。いかに創業の精神 を維持し、従業員の自走を実現し、次世代のリーダーを育てるか。新たな情熱を育てていくか。成長のスピードに負けることなく、経営者が全社に、全従業員に、働 きかけ続けることが、未来を切り開く上で大切であることは間違いないだろう。