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クライアントワークのお作法

 クライアントワークのお作法

システム開発PJを成功させるには、異文化交流を避けて通れません
それを円滑に行うには、様々な価値観の理解や知識が必要です。

そしてそれは、プロマネや営業だけが知っておけば良いことではないはずなのです。

不確実性が求められる時代において、各自が所与の役割を「越境」できる価値は、今後より大切になるでしょう。

エンジニアやデザイナーの皆さんにも、より広い視点でPJに貢献できるようになってもらいたくて、この資料を用意しました。

中野康雄(ARI)

January 29, 2021
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Transcript

  1. 多様なステークホルダーの存在 4 引用:Webディレクションの新・標準ルール システム開発編ノンエンジニアでも失敗しないワークフローと開発プロセス(エムディエヌコーポレーション社刊) • 最終的に目指しているもの は同じだが、皆役割が違う • 役割が違うから優先順位も 違って当たり前(ただこの違

    いがトラブルを生む種に) • 違いに嘆くのではなく違い を前提に物事を考えたい インフラ エンジニア アプリ エンジニア デザイナー システム 担当者 業務部門 担当者 コンテンツ 運用者 情シス部門 担当者 システムの ゴール 業務の 目標・成果 機能・要件 UIデザイン プログラム サーバーや ネットワーク システム 利便性 社内ITの 最適化
  2. 企業システムに関わる取引構造 11 • 関係者(ステークホルダ)の 構造は顧客企業や案件ごと に全然違う • 我々と最終的なユーザー部 門との間にどういう登場人 物がいるのか?

    「情シス」 「現場・ユーザー部門」 引用:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)技術本部 ソフトウェア高信頼化センター(SEC). SEC BOOKS 共通フレーム2013(電子版) に一部加筆 ステークホルダ構造を知ることが プロジェクト戦略立案の第一歩
  3. 参考:「共通フレーム」ってご存知ですか? 12 受注者と発注者の 共通の物差しを目指して 国(IPA)が作成 (2013が最新版) システムの企画,要件定義, 開発,運用,保守及びそれ らに係る諸活動を対象に それらの標準を定義

    Amazonでも販売中 https://amzn.to/3gANIKf 引用:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)技術本部 ソフトウェア高信頼化センター(SEC). SEC BOOKS 共通フレーム2013(電子版)
  4. 関係者が多い分、コミュニケーションも複雑に 13 引用:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)技術本部 ソフトウェア高信頼化センター(SEC). SEC BOOKS 共通フレーム2013(電子版) • 関係者が多い

    =コミュニケーションも複雑 • 最近は各種クラウド業者も • コミュニケーションの第一歩は 関係部署や人物の全体感を 把握すること コミュニケーションを制するものは プロジェクトを制する クラウド ベンダ テスト ベンダ 脆弱性 診断 業者
  5. なぜ「提案書」「議事録」が重要なのか? 14 引用:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)技術本部 ソフトウェア高信頼化センター(SEC). SEC BOOKS 共通フレーム2013(電子版) に加筆 •

    顧客担当者に出した資料は、 社内で稟議・決裁に利用され ることが多い • 重要事項は第三者にも誤解 なく伝わるよう資料化する (担当者の説明力に期待しない) 一人歩きしても誤解がないように 丁寧に資料化する クラウド ベンダ テスト ベンダ 脆弱性 診断 業者
  6. なぜ「ステコミ」が重要なのか? 16 引用:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)技術本部 ソフトウェア高信頼化センター(SEC). SEC BOOKS 共通フレーム2013(電子版) に一部加筆 •

    ベンダーと顧客担当者との間 以上に、顧客社内で情報が 共有されていないことが多い (会社とはそういうもの・・・) • 主要関係者を招いて定期的 に認識を整えPJ重要方針の 意思決定する会議体が必要 顧客の自発的情報共有に期待せず プロジェクトとして能動的に計画する クラウド ベンダ テスト ベンダ 脆弱性 診断 業者 主要キーメンバの集まる会議体=ステアリングコミッティ(通称ステコミ)
  7. RFI(情報提供依頼書)とは何か? 23 RFI (Request For Information)とは「提案の前段階として情報提供を依頼する資料」のこと 正式なRFP提示する先を絞る予選的位置づけが高い RFI RFI提示 RFPよりもラフな依頼内容

    提案の方向性 各社の保有技術や実績などを 聞くことが多い 引用:Webディレクションの新・標準ルール システム開発編ノンエンジニアでも失敗しないワークフローと開発プロセス(エムディエヌコーポレーション社刊)
  8. IT予算の年間計画 26 https://www.kobelcosys.co.jp/column/monozukuri/108/ 3月が年度末となる企業の予算編成スケジュールの例 • 一般的に企業であれば、 IT投資は年間予算で縛 られることが多い 予算化されていることが 非常に重要

    • 3月末決算企業の場合 1~3月が予算編成時期 それを踏まえベンダーへ 見積依頼が活性化 秋から年末年始は積極 的に接点増やすべし (思い出してもらうため)
  9. その他 28 • 「情シス」の立ち位置や立場の強さは会社それぞれ • 「情シス」は自社の業務とシステムのことを何でも知っているわけではない • 「情シス」のメンバーはみんなエンジニアになりたかったわけではない • 「情シス」のメンバーはみんなITの専門家というわけではない

    • 顧客担当者はシステム化の目的を100%理解しているわけではない • PJにアサインされている担当者の時間はいつでも抑えられるわけではない • J-SOXやISO、各種ポリシーなど無条件に守るべき制約が結構ある • お客様も当然組織の一員。保身もするし評価も気にするのは当たり前
  10. システムに関する契約や法務を知ろう 29 • 契約形態の違い • 善管注意義務とは? • 契約不適合とは? • 基本契約と個別契約

    • 契約書の重要チェックポイント • システム開発で注意したい知的財産 • 下請法(下請代金支払遅延等防止法)とは?
  11. 契約形態の違い 31 各契約形態の違いを理解しておく必要がある 【標準的な契約形態とその内容】 派遣 準委任 請負 報酬を支払う対象 労働 労働

    成果物 成果物完成責任 なし なし あり 売主が負う責任 善管注意義務 善管注意義務 債務不履行責任 (期日までに成果物を提出する) 契約不適合責任 (旧瑕疵担保責任) (完成した成果物の不具合改修) 指示命令 委託者 受託者(業務責任者) (受託企業要員への直接指示は不 可、契約上の業務責任者に対して 指示を行う) 同左 報告義務 なし あり なし
  12. 契約書の重要チェックポイント 35 参考:JISA 法務・契約ハンドブック  資料と情報の扱い  知的財産の権利帰属  権利譲渡禁止

     成果物受領の権利  債権の第三者譲渡  損害賠償  条件や金額上限を設定  契約解除  紛争解決と裁判管轄 PMと営業は自分でも確認すること (法務に丸投げしない)
  13. システム開発で注意したい知的財産 36 参考:JISA 法務・契約ハンドブック • 特許権と商標権は出願が 必要 • 著作権の帰属については 契約書で明確にする

    • プロジェクトで知り得た顧 客の情報は不正競争防止 法における営業秘密となり うるので、取扱は十分に注 意する 参考:知的財産権について | 経済産業省 特許庁(https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/seidogaiyo/chizai02.html)
  14. 下請法(下請代金支払遅延等防止法)とは? 37 参考:厚生労働省・中小企業庁・公正取引委員会「働き方改革に伴う『しわ寄せ』への対策について」(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/koyou/2019/190612jinzai01.pdf) 下請け企業が親事業者に比べ、不利な立場になりがちになるため、その力関係を 是正するために設けられた法律。プログラム作成業務の場合は以下が該当する。  親事業者の資本金が3億円を超えていて、下請事業者の資本金が3億円以下  親事業者の資本金が1千万円を超えて3億円以下、下請事業者の資本金が1千万円以下 •

    書面交付義務  契約時、親事業者は下請け事業者に対し、契約 に関する重要事項を記載した書面を交付する必 要があります。 • 書類の作成・保存義務  親事業者は、取引に関する重要な事項を記載し た書面を作成し、保存する義務があります。 • 代金支払期日を定めるべき義務 • 遅延利息の支払い義務 • 完成物の受領拒否の禁止 • 代金支払い拒絶の禁止 • 代金減額の禁止 • 返品の禁止 • 買いたたきの禁止 • 購入や利用強制の禁止 • 報復措置の禁止 • 割引が難しい手形を交付することの禁止 • 不当な経済的利益の提供を要求することの禁止 • 不当な給付内容の変更ややり直しを求めることの禁止 義務 禁止行為 参考:システム開発における下請法の重要ポイント | アサインナビ マガジン https://assign-navi.jp/magazine/engineer/e063.html