Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

20250212_内閣府総合知WS

 20250212_内閣府総合知WS

Avatar for Kimura Atsunobu

Kimura Atsunobu

February 12, 2025
Tweet

More Decks by Kimura Atsunobu

Other Decks in Design

Transcript

  1. 1 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 総合知ワークショップ 総合知で切り拓く社会変⾰と

    ビジネスチャンス 木村 篤信 日本リビングラボネットワーク (Japanese Network of Living Labs) 2025/2/12科学技術振興機構/内閣府共催イベント
  2. 3 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 木村 篤信

    (Kimura Atsunobu) Profile 地域創生Coデザイン研究所(NTTグループ) ポリフォニックパートナー 大牟田未来共創センター パーソンセンタードリサーチャー 日本リビングラボネットワーク 代表理事 日本デザイン学会 情報デザイン研究部会 幹事 東京理科大学 客員准教授 京都大学デザインイノベーションコンソーシアム フェロー ソーシャルビジネスネットワーク フェロー 横浜市PTA連絡協議会 理事 デジタル庁認定Well-beingファシリテーター 社会課題解決/企業ビジネス開発の実践 リビングラボ/社会システムデザイン方法論の研究 ソーシャルデザイン/サービスデザインの教育 ・一人ひとりの存在が肯定され、社 会的な理由で孤立することなく、多 様な選択肢の中でそれぞれの力が 発揮され、わくわくする持続的な社 会・都市の実現を目指し,地域経 営目線で社会課題解決に取り組 む地域団体(大牟田未来共創セ ンター@大牟田市①・TOMOSU @奈良市②)設立&地域共創 拠点(うずうずマイン,BONCHI) 構築. ・地域団体がリーダーシップを担う 形で,産官学民のPJを実施 ・サービス開発③(発達特性のあ る人の視覚認知能力をVRで分析 するサービスなど) ・行政計画策定④(人が真ん中の まちづくりを推進する大牟田市健康 総合福祉計画など) ・コミュニティづくり(リロケーションダ メージを受ける市営住宅在住高齢 者の引っ越し伴走支援など)等 セクターを超えた共創を促進する方法論リビングラボ,理念的 に社会システムを転換する社会システムデザイン方法論を軸に 実践&研究し,学術論文(査読付き7件,査読付き国際会 議11件,受賞3件),メディア取材(書籍2件⑤⑥,新聞 ⑦⑧・Web多数),講演・アドバイザー委嘱多数. セクターを超えた共創(リビングラボ)/社会システムの転換を リードできる人材の育成のため,学生,企業,行政向け教育 プログラム開発⑨,教科書作成⑩を多数実施(ソーシャル デザイン講義,地域連携デザイン演習,リビングラボ運営者 /社会システムデザイナー育成プログラム,ウェルビーイング政 策デザイン研修,新規事業リフレーミングプログラム,美学思 考ビジョンメイクプログラム等).共に学び合う実践者コミュニ ティ(一社)日本リビングラボネットワークを設立・運営⑪. ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ 佐渡自然共生ラ ボ 大牟田LL おやまちLL 丹後LL 鎌倉 LL 未来LL 磯子杉田LL みんなのまち づくりスタジオ ふじみ野 LL はぐラボ むlabo TEN no KUNI Folke LLs Academy ⑪
  3. 4 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 木村 篤信

    (Kimura Atsunobu) Profile 地域創生Coデザイン研究所(NTTグループ) ポリフォニックパートナー 大牟田未来共創センター パーソンセンタードリサーチャー 日本リビングラボネットワーク 代表理事 日本デザイン学会 情報デザイン研究部会 幹事 東京理科大学 客員准教授 京都大学デザインイノベーションコンソーシアム フェロー ソーシャルビジネスネットワーク フェロー 横浜市PTA連絡協議会 理事 デジタル庁認定Well-beingファシリテーター 社会課題解決/企業ビジネス開発の実践 リビングラボ/社会システムデザイン方法論の研究 ソーシャルデザイン/サービスデザインの教育 ・一人ひとりの存在が肯定され、社 会的な理由で孤立することなく、多 様な選択肢の中でそれぞれの力が 発揮され、わくわくする持続的な社 会・都市の実現を目指し,地域経 営目線で社会課題解決に取り組 む地域団体(大牟田未来共創セ ンター@大牟田市①・TOMOSU @奈良市②)設立&地域共創 拠点(うずうずマイン,BONCHI) 構築. ・地域団体がリーダーシップを担う 形で,産官学民のPJを実施 ・サービス開発③(発達特性のあ る人の視覚認知能力をVRで分析 するサービスなど) ・行政計画策定④(人が真ん中の まちづくりを推進する大牟田市健康 総合福祉計画など) ・コミュニティづくり(リロケーションダ メージを受ける市営住宅在住高齢 者の引っ越し伴走支援など)等 セクターを超えた共創を促進する方法論リビングラボ,理念的 に社会システムを転換する社会システムデザイン方法論を軸に 実践&研究し,学術論文(査読付き7件,査読付き国際会 議11件,受賞3件),メディア取材(書籍2件⑤⑥,新聞 ⑦⑧・Web多数),講演・アドバイザー委嘱多数. セクターを超えた共創(リビングラボ)/社会システムの転換を リードできる人材の育成のため,学生,企業,行政向け教育 プログラム開発⑨,教科書作成⑩を多数実施(ソーシャル デザイン講義,地域連携デザイン演習,リビングラボ運営者 /社会システムデザイナー育成プログラム,ウェルビーイング政 策デザイン研修,新規事業リフレーミングプログラム,美学思 考ビジョンメイクプログラム等).共に学び合う実践者コミュニ ティ(一社)日本リビングラボネットワークを設立・運営⑪. ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ 佐渡自然共生ラ ボ 大牟田LL おやまちLL 丹後LL 鎌倉 LL 未来LL 磯子杉田LL みんなのまち づくりスタジオ ふじみ野 LL はぐラボ むlabo TEN no KUNI Folke LLs Academy ⑪ 地域での実践者 ・リビングラボプラットフォーム団体の組成、 ウェルビーイング政策デザイン @大牟田市、奈良市、天川村、 岡崎市、生駒市、八丈町、佐渡市等 (more than 7Living Labs) 大学・学会での研究者 大学・非営利団体での教育者 企業に対する 共創パートナー ・ビジョンメイク、仮説探索、社会実装支援等の リビングラボプロジェクト企画・運営 @企業・大学・研究機関
  4. 5 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボとは『セクターを超えた暮らしの現場での共創活動』 Steen,

    K. & Bueren, E. (2017). The Defining Characteristics of Urban Living Labs. Technology Innovation Management Review, 7(7), 21–33. ※木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本 における構造的課題、(調査資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局 4重螺旋モデル:Quadruple Helix Model
  5. 6 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 福岡県大牟田市 炭鉱最盛期に約21万人(1960)だった人口が、ほぼ半減し、現在高齢化率は37.6%(2022)となっている。

    10万人以上の都市の中では全国に先駆けて高齢化が進展 その影響もあり「認知症の人とともに暮らすまちづくり宣言」(2005年)を行うなど認知症ケアの先進地域
  6. 7 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 核となる新しい人間観:パーソンセンタード※ 生活者(パーソン)の暮らしを、独立した個人の暮らしとして捉えるのではなく、周りの家族や地域の人と

    の繋がりと、その繋がりの中で捉え直されるケイパビリティに基づき、豊かで継続性を持ったナラティブによっ て成り立っていると捉えるもの 学ぶ 楽しむ 働く 出会う 知る つながる 好奇心 意欲 問題意識 潜在能力 capability つながり connection 人生 narrative 【ビジネス】 マーケティング5.0 【教育】 未来の教室(経済産業省) 【福祉】 地域共生社会(厚生労働省) ※木村ら(2019)パーソンセンタードデザイン:その人らしい暮らしを目 指す人間観に基づくデザイン方法論,日本デザイン学会発表大会概要集.
  7. 8 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボの実践 大牟田未来共創センター(ポニポニ)の設立(2019~)

    ⚫ 「認知症」や「高齢者」などの福祉に閉じた課題設定や取り組みでは、地域においてさまざまな領域で生み出される社会 課題や地域創生を視野に入れたアプローチが難しい状況であった ⚫ 認知症ケアで見出されたコンセプトを深め、セクターや領域における縦割りを横断し、既存の社会システムから“独立しな がら埋め込まれる主体”として官民協働で大牟田未来共創センターを設立した(2019年4月) 大牟田未来共創センター 大牟田市 地域資源 地域・住民 縦割りの打破(調整)、政策展開支援 ビジョンの共有 共創 共創 地域資源の価値を再構築 地域・住民との協働 福 祉 教 育 産 業 地域内のアクター (市民団体、 地場企業など) 地域外のアクター (国内外企業、 研究機関等) ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ 国 予 算 制 度 事 業 基礎 自治 体 予 算 制 度 事 業 地域 実 践 取 組 対 象 多世代・横断 政策的統合 大牟田未来共創センター 統合的 アプローチ 計画 統合的実践 支 援 支 援 モデル提案
  8. 10 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 生活維持サービスの人手不足に向 き合う関係者が集う会議

    公営住宅モデルルームと住みこなしに必要な家具DIY 行政政策: 健康福祉総合計画策定・運用等 人の意欲が発揮され人手不 足を解消するムーブメントを 生み出す「労働供給制約社 会・大牟田」 生産性と多様性 の両立する地域 企業への伴走支 援PJ みんなが自然と元 気になるまちPJ w/ モデル事業 ×NTTデータ等 Well-being な住まいPJ ×有明高専等 社会の本質に迫る 問いと対話のメディア 「湯リイカ」 ×SMBC等 「わたし」として扱われる場があたたまりを生む 対話を通じて住民の主体性 があたたまる定期イベント 「ぐるぐるダイアログ」 主体的なデジタル活用をサ ポートする人材 「インフォナビゲーター」養成 講座 高齢者の主体性を引き出す デジタル体験 「VRを活用した未来の福祉 プロジェクト」 ×東大等 多様な市民や内外の関係者による対話会 対話を通じて未来について考えるメディア 会議シンギュラリ ティ ~ AIたちと 考えるこれからの 大牟田 大牟田から未来をのぞき見る、 対話・体験・テクノロジー 「NINGEN Societal Festival」 官民連携を推進する主体: 大牟田未来共創センター(大牟田市との連携協定) 地域共創拠点: うずうずマイン(コワーキング,イベントスペース,チャレンジショップ等) ・・・ リビングラボの実践 一人ひとりの可能性が発揮される社会へのシステム転換を志向 住民があたたまり地域内のキーパーソン同士がつながる場 健康福祉総合計画策定・運用
  9. 11 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボの実践 一人ひとりの可能性が発揮される社会へのシステム転換を志向

    産業 雇用 教育 介護予防 交通 コミュニティ 公 会社・業界の 維持が優先 【生産性低】※ 会社の 論理優先 学校・学級登校 【不登校多】 制度利用促進 (憲法25条型) 【改善僅か】 時刻表・ 大量輸送モデル 【空白地域】 自治会モデル 【加入者減】 公=行政 【硬直化】 社会・組織に 人が合わせる (人=代替 可能性、客 体) 非自律的 個人 (お上意識、 空気優先) 存在論的 不安 (ムラ的関 係の息苦しさ +都会的孤 独) 経営力強化(企業) (経営者育成・獲得、事業 承継・M&A、DX、人材育成) 多様な働き方の 実現(D&I) 学び方の選択 ・探究学習の推進 リエイブルメントの 推進(憲法13条型) 個人×移動(モビリ ティ)モデルの構築 存在肯定・共創推進 (共同自治、NPO、 ソーシャルビジネス、DIY) 官民協働の推進 (社会システム転換にコミット する官民協働推進主体) 労働生産性が 向上する、 賃金が上昇する 働きやすさ ・働きがい が向上する 学びへのアクセスが 向上する、学びの 魅力が向上する 改善率が向上する、 存在が肯定される、 意欲が引き出される 移動の自由 (選択肢)が広がる 存在が肯定され、意欲が 引き出される場、 機会が増える コレクティブ・インパクトが 展開する、EBPM、 SIB等が重視・導入される 新たなビジネスモデル が創出される (少ない担い手で生活維持) 就業率・就業者が 増える(地域内外 からの就業、移住等) 社会参加が進む (就労、消費、 地域活動等) 地域の新たな 担い方・担い手が 創出される 高い労働生産性を 実現した新たな モデルの持続可能な 地域産業によって 生活が維持される 安心した生活を送る ことができる賃金、 働きがい、働きやすさ が実現している 若者の定着、高齢者等 の参加、地域外から の就業、移住が 盛んになり、 地域の多様性が高まる 誰もが存在を肯定され、 つながりによって潜在 能力が引き出され、 地域(社会)に多様な ルートで参加できる 官民(市民)が協働して 「公」を担う 新たな地域経営 モデルが実現する 人が社会・組 織をつくる (人=唯一 性、主体) 自律的 個人 (つながりが 潜在能力を 引き出す) 存在肯定 (対話・新し いつながり方 の獲得) 政策的帰結 (理念において同期している) 現状の理念 新たな理念 (レバレッジポイント①) アクション (レバレッジポイント②) 短期アウトカム 中期アウトカム 長期アウトカム 労働供給制約 人手不足≒生活の維持が難しくなる 地域産業が生活を支え、 存在を肯定され、潜在能力が引き出された多様な人が働き、暮らし、 官民の協働によって地域が経営されている 暮らしやすさが 向上する 地域に残る若者が 増える 地域(社会)に関わる 若者が増える 行政=戦略・ マネジメント・環境 整備へ機能を転換する 日本社会の課題は、地方都市においても 同様に(多くは先行して)起きている。 (ここに中央・地方関係が重なる) 地方都市(数万~30万人)を社会の縮図 と捉え、システムレベル(理念+仕組み) での転換を試みる必要がある。 生きづらさ 変わらなさ 時代に合わなくなった政策体系 積極的な施策間・ 領域間連携・協働、 領域の再定義が必要 生き心地よい (自己肯定感) 変えられる (自己効力感) 社会システムが持つ 「内面化」を逆手に取り、 環境から価値観を変える 行政機構の意思決定力 ・戦略(政策)形成能力 を高めていくことが重要 ビジョン 協議会事務局 プロジェクト プロジェクト・団体 モデル事業 地域との協働 拠点整備 ポニポニ・協定 ※【 】内は 大牟田市の状況
  10. 13 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 構造的な地域課題としての「労働供給制約」 労働供給制約は、従来の「人手不足問題」を超えた「(国民)生活問題」へと広がる。同時に、絶対的な労働供給不

    足が経営戦略のあり方を方向づけることになる。 リクルートワークス研究所発行 『未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる』 (2023年3月) ◯問題意識 「単なる人手不足論ではない。後継者不足や技能承継難、デジタル人材の不足などと いった産業・ 企業視点からの問題ではなく、「生活を維持するために必要な労働力を日 本社会は供給できなくなるのではないか」という問題意識である。」 「労働供給制約社会において最も懸念されるのは、「生活維持サービス」である。物流や 建設・土木、介護・福祉、接客などの職種は既に需給ギャップが 顕在化しており、著し い人手不足に陥っている。これは「大変だなあ」ではすまない問題でもある。こうした職種 の供給不足を放置すると、私たちの生活に大きなダメージを与える可能性が高い」 ◯予測される状況(日本全体) ①2030年に341万人余、2040年に 1100万人余の労働供給が不足する。 ②労働供給は今後加速度的に減少していく。 ③労働需要はほぼ横ばい。 ◯起こりうる変化(パラダイムシフト) 「現在の人手不足が深刻化している状態ですら、まだまだはじまりにすぎないことも教えて いる。2040年にかけての日本における1つの格言は「今が一番人材を獲得しやすい」に なるだろう。去年よりも今年、今年よりも来年のほうが人材確保が困難な状況となる。 こうした実感は企業の採用意欲を加速させ、人材獲得に一層の激しい競争を生み出 す。人材を獲得するために経営戦略を変えたり、資金調達をしたり、新商品を開発し たりといった過去になかった動きを引き起こすだろう」 ◯示される解決策 (1)徹底的な 機械化・自動化 (3)シニアの 小さな活動 (2)ワーキッシュ アクトという選択肢 (4)待ったなしの ムダ改⾰ (古屋、2024) 参議院自民党・政策審議会 ホワイトカラー消 滅: 私たちは働き 方をどう変えるべき か (NHK出版、 2024) 冨山和彦氏 IGPIグループ会長 朝日新聞特集「8がけ社会」 (リクルートワークス 研究所、2023)
  11. 14 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 大牟田における労働供給制約の概況 ➢

    生産年齢人口と就業者数との差が年々縮まってきている。 ➢ 2020年からの5年間で最大2,000人(年間400人程度) の働き手不足が発生するおそれ。 ※ 約3,000人×就業率6割強 生産年齢人口と就業者数 生産年齢人口の減少(短期的状況) 【現役最後の世代】 【現役を迎える世代】 労働市場から 退出 労働市場へ 参入 3,050 0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 19551960196519701975198019851990199520002005201020152020 生産年齢人口 就業者数 大牟田未来共創センター 「労働供給制約社会 大牟田レポート ver1.1」 (国勢調査の実績値に基づき作成)
  12. 15 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs ケアマネジャーの不足と地域への影響に関する見取り図 労働供給制約

    (当面改善の見込みのない構造的な人手不足) 行政、民間企業(事業者)、地域コミュニティ等、例外なく影響する ※安易な負担(役割)の付け替えはできない 居宅 予防プラン受けづらい 包括 業務負担大 介 護 度 高い 低い 地域ケア会議 • 困難事例 ※大牟田はこちら • 自立支援型(あるある事例) → 地域資源創出(新たな組み合わせ) SC・共サポ セラピスト等他の専門職 改善 (卒業) 利用者 ケアプラン ケアプラン 高齢者を含む 地域コミュニティ 互助が弱体化 包括職員 ケアマネ 行 政 ( 市 役 所 ) 不足 不足 (担い手)不足 介護人材(全体) 不足 地域の民間サービス (住民団体・NPO等含む) 移動 不足 就労・参加/利用 調整・コーディネート ライフプラン (人生設計) サポート 総 合 ・ 統 合 的 な 全 体 の 把 握 ・ 仕 組 み の ( 再 ) 設 計 ( 行 政 の 縦 割 り で や れ て い な い ) 減少 余裕がない サービスの低下・減少 医療 包括への期待 介護サービス 事業所 不足 不足
  13. 16 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 大牟田市 従来の介護予防施策では

    リーチすることが難しい人がいる (財政的制約も強まる) 企業 企業の意図 「早期検知」という機能検証 から、「自らのことを知る新た な方法のデザイン」という意味 探索へと課題設定を変更 地域住民 他地域で実施した 疾病の早期検知サービス の実証実験に人が集まらない (高齢者として)これまでの経験や興味を活か して地域に関わる機会がない、多様な形でどんな 人でもいれる居場所がない 地域の意図 企業がリビングラボへ支払う対 価(資金)を活用し、高齢 者が仲間を得て、自らのことを 振り返る(知る)過程で意 欲を育み、多様な参加に向 かう仕組みづくり検討 課題の再設定・ 統合的実践 事例1:わくわく人生サロン 大牟田リビングラボ
  14. 17 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 社会システムの観点からのリサーチ 大牟田健康福祉部や包括支援センター・地域事業所のソーシャルワーカーともに、自宅・施設、認知症サロン、介護予

    防サロンなどの訪問を実施し多数の高齢者と会う。合わせて、各組織の運営の調査※を実施し、現場運用の課題を把 握すすとともに、政策的経緯を明らかにし、地域内外の実践者との対話を重ねることで、「生存権の保障(憲法25 条)から幸福追求権(憲法13条)の保障へ」(菊池:2019) という新たな理念を見出した。 幸福追求権(13条)とパーソンセンタード 大牟田まちづくり国際センター準備室 現実・問題 生存権(25条) 理想 幸福追求権(13条) 【問題解決型】 例)足が痛い→リハビリ 【幸福追求(自己実現)型】 例)お友達と買い物に行きたい 例)お友達を作る、 移動手段を確保する (動機を得た上で)リハビリをする 集積 地域生活課題 (他セクターと の協働) ナラティブ 関係性 相談支援 (ソーシャルワーク) 課題 菊地馨実(2019)社会保障再考 〈地域〉で支える https://toyokeizai.net/articles/-/318162?display=b
  15. 18 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs (チラシを貼る) 第4回において、

    睡眠センサーと家電センサーで得た データを「自分の無意識を知るため の情報」として利用 ※参加者にとっても情報提供、セン サー利用に価値がある形にしている •対象者:大牟田市在住の要支援・要介護認定を受けていない65歳以上の方 •募集期間:2019/11/28〜2020/1/31・開催期間:2020/1/10〜2020/3/13 •サロン申込者(面談参加者):35名/サロン参加者:32名(面談後の辞退:3名)/ センサー設置者:18名(センサー設置辞退:14名) わくわく人生サロン 実施概要
  16. 19 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 「大牟田市高齢者保健福祉計画・第7期介護保険事業計画」 総括時の職員の意見

    「既存活動に関心が 薄い人もいることから、「わくわく人生サロン」 ように自分こ とを語る場を設けるなど 、新たな活動きっかけを作る必要が あると考えます。 」 •地域包括支援センターがリーチすることが難しかった、20年間自宅に引きこもっていた方が参加 •介護保険サービスでは居場所が得られなかった(合わなかった)方の居心地のいい場となる •制度利用がなく生きづらさを抱えている高次脳機能障害のご本人、ご家族への支援を実施 (個別にご本人、ご家族の不安や悩みに寄り添った対応を実施) •配偶者に先立たれた方たちによるピアが生まれる(グリーフケア) •持っている資格やスキルを生かし、地域の課題を解決したいという方が生まれる(例:「防災 士の資格を活かして地域のために活動したい」「子どものための活動をしたい」「大牟田市をアピー ルする商品開発をしたい」などの自発的な言葉がある) •年齢が異なるが同じ大学やサークルに参加していた等「縁」のある人との出会いが生まれる (友人ができる) •前向きな動機をきっかけとして参加し、通所、ピア(グループ)、訪問、家族支援を、個別一 人ひとりの状況に合わせて柔軟に組み合わせて行う「多機能型サロン」とも言える相談支援拠点 の可能性を示唆 •自治体からの資金的な援助を得ることなく開催するモデルを構築(企業との協働) わくわく人生サロン 地域住民にとっての価値 高齢者にとって、自分の経験や興味を起点として地域に関わる機会や、支援されたり、高齢者的なテーマに区切られる ことのない居場所を持つことができ、同じ経験や悩みをもつ人と語らい、意欲が育っていく中で新たなことに取り組もうと する人が現れた
  17. 20 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs わくわく人生サロン 行政にとっての価値

    これまでの行政施策でアウトリーチすることが難しかった人に出会うことができるとともに、住民の主体性/潜在能力を核 に福祉計画全体を考えるという本質的な示唆を得た。そして、この示唆を活かして各施策を実行するために、暮らしの 総合計画ともいうべき大牟田市健康福祉総合計画を、縦割りの行政計画でなく、統合的に地域や生活を捉え直す構 造とした計画として策定した。 ✓ これまで別々に策定されていた、高齢、障害、健康増進、食育など9本の行政計画を、「地域共生社会の実現」という 共通のビジョンに向けて1つにまとめた。 ✓ 概要版については、通常、「計画のサマリー」にとどまりがちであったものを、「計画の理念を体感してもらうもの」へと位置 付けを変え、親しみやすいイラストを活用し、実際に大牟田で暮らしている人たちのエピソードを紹介する形とした。タイト ルにつけた「うずうず」は、わくわく人生サロンの際に見出した「温まる」を言葉にしたものである。この考え方(感覚)を行 政、市民と共有することを試みている。あわせて、計画策定の大牟田市側の担当者と強く理念を共感できるようにな り、それ以降計画推進全体のキーマンとなっている(現在、健康づくり課長)。
  18. 21 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 「疾病を前もって知ること=価値」の社会的合意 疾病の早期検知技術

    知る意味のデザイン (サービスコンセプトの転換) UI 生活者 知る意味の体験デザイン UX 「疾病を前もって知ること=価値」の社会的合意 疾病の早期検知技術 地域の調剤薬局 睡眠センサー・睡眠レポート 生活者 新規事業における体験デザイン UX わくわく人生サロン 企業にとっての価値 ⚫ 企業としては、これまで開発してきたアルゴリズムをサービスに活かすための土台となる、「(自らのことを) 知る意味のデザイン」の知見を獲得することができた ⚫ この知見をもとに、地域のかかりつけ薬局が地域住民と対話的な関係性を構築し、自らのことを知る体験 (UX)を提供するサービスモデルを提供
  19. 22 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs これまでの実践を踏まえた介護予防における理念・構造の転換 ⚫

    介護予防は本人視点では意識することができない概念であることを整理し、本人視点に立ったBeing- well※(本人の力が発揮されている状態)に転換。そのうえで、関わる事業者・団体についても、従来 の医療・介護サービス事業者ではない新たな事業者・団体が担う方向で、企業や地域と協働 要介護状態にならないように 予防する 要介護状態 介護予防 介護が必要な状態になったことがない人にとって、 それを予防するという意識を持つことができない Being-well※(本人の力が発揮されている状態) どのような状態でも、本人の存在が肯定され、 力が発揮されている状態を目指す ※Well-beingが「Well(良い状態)」を先に規定していることに対して、「Being(存在)」を肯定した上で、多 様な「Well(良い状態)」に開かれていることを目指す理念。造語。 高齢者等 • 医療・介護サービス事業者が担う • 制度の構造として、医療や介護が必要な状態 になったほうが収益が上がるため、予防に対す るインセンティブが働かない 要介護状態 高齢者等 一緒に力を引き出す(見出す) ような関わり方 • 医療・介護サービス事業者ではない事業者・団体が担う (新たなビジネス領域の可能性) • 誰もが、どのような状態になっても、社会参加ができるよう参加機会のユ ニバーサル化を図る
  20. 23 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 事例2:構造の転換に向けた「議論・意思決定」のボトルネック アイデア出し

    ディスカッション 意思決定・優先順位付け 意見交換 (ポジショントーク) 目標・目的/論理・根拠 ビジョン・判断基準・制約 議 論 の 広 が り 議論の深まり 地域のイベント(WS等) 多くの審議会・協議会 ・業界団体内 ほとんど存在しない (「意見交換」化している) 意思決定者が決定 地域における「議論」 ・数多く実施されている。理由や根 拠が具体的に交わされない「アイデ ア交換」も多い。 ・「ディスカッション」が期待される状 況においても右記のような理由に よって結果的に「意見交換(ポジ ショントーク)」の場になることが多 い。 ・審議会は「正当性」を担保するた めに開催自体が目的化しやすい。 協議会は機能不全になり、行政 の事務負担だけが残りがちになる。 ・イベント内で完結してしまうこと が多い。 ・ほとんど存在していない。 ・特に「立場を超えた目標・目的や ビジョン」が定まっていないことが多く、 原理的にディスカションが難しい。 ・参加者が意見を言う・深める方 法に慣れておらず、場の運営も十 分ではない。 ・お互いの意見に不可侵な態度 (責任の追加や批判の回避) 、 実行を誰か(多くは行政)に期 待する発言が多い結果、「意見交 換」化している。 地 域 の 状 況 ・ビジョン・判断基準が明確でなく 適切な指標が設定されず、実績 (データ等)に基づく検証も難し い。前例主義も強い。 ・政治・行政プロセスにおいては、 「制約」以上に、市民・各種団体 からの「要望」に応えることが重視。 結果、「選ぶ」のではなく、やること が順次「追加」されていく。 ・自治会等の住民組織では、担い 手不足で「やれない」ことが増えて いる現実もある。 アイデア 意見 理由・根拠 「なぜならば」 審議会 協議会 審議会 協議会 目標・目的 「意見交換」「ディスカッション」するには、 アイデアだけではなく、理由・根拠が必要 アイデアの広がり 市民参加:多 市民参加:少 市民参加:なし 磨かれた意見 選ばれた意見 決定された施策 市民参加:- それぞれ、属する 集団としての意見 はある(公式見解)
  21. 24 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 会議シンギュラリティ NTT研究所が掲げる「技術コンセプト」に対して、

    地域の産業・福祉課題、また意思決定プロセスの課題等の リアリティを踏まえたユースケース・UI・UXの具体化をすることに 大牟田リビングラボが伴走
  22. 25 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 地域には多くの「会議」がある 一方で、「議論」になりづらい

    (構造的な問題) テクノロジーが発展している 現状、効率化への活用 積極的な議論・意思決定 (やらないことを決める) 「人の可能性を引き出す」 テクノロジーの活用 労働供給制約と呼ばれる構造的な人手不足 地域の議論における構造(システム)を転換するために ①大牟田における中小 企業の生産性向上に 向けた施策の検討 ②大牟田における 介護予防施策の検討 議論・意思決定が 必要な地域のテーマ 知識はあるが文脈を読まない AIの発言機能
  23. 26 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs ・本イベントの趣旨説明 ・生成AI技術についての説明

    午前の部 10:00 – 12:00 テーマ『中小企業支援』 午後の部 14:30 – 16:30 テーマ『介護予防』 10:00 – 10:15|開会 ・AIたちによるアイデア出し (パート1) ・個人ワーク→グループ内共有→全体共有 10:15 – 10:55 |会議前半 10:55 – 11:00 |休憩 ・AIたちによる議論 (パート2) ・個人ワーク→グループ内共有 ・グループワーク→全体共有 11:00 – 11:45 |会議後半 ・アンケート記入等 11:45 – 11:50|閉会 ・本イベントの趣旨説明 ・生成AI技術についての説明 14:30 – 14:45|開会 ・AIたちによるアイデア出し (パート1) ・個人ワーク→グループ内共有→全体共有 14:45 – 15:25 |会議前半 15:25 – 15:30 |休憩 ・AIたちによる議論 (パート2) ・個人ワーク→グループ内共有 ・グループワーク→全体共有 15:30 – 16:15 |会議後半 ・アンケート記入等 16:15 – 16:20|閉会 会議シンギュラリティの流れ
  24. 28 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 人間が安心して発言できる場で「AI同士の発言」を見る効果 AIが余白のある80点程度の発言

    人間側が無礼講状態になり、発言しやすくなった 同じ属性の専門家がAIに付け足す・批判するなど発言が引き出された 通常言いづらい関係でも、AIが 空気を読まずはっきりと批判
  25. 30 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 論点①地域で企業・研究機関がリビングラボに取り組む意義 •

    生活者・地域の部分を捉えたビジネスや研究成 果だけは、解決できない問題がある。 • 地域で試行錯誤する必要性は、生活者の身 体性や地域コミュニティの連続性が、統合的な 暮らしの視点からの問いを投げかけてくれる • その問いを起点に、ビジネス、技術を捉え直すこ とで、新しいビジネスや研究の成果を生み出せる (本質的な研究・開発の課題設定に有用) 暮 ら し の 現 場 企 業 / 研 究 機 関 情 報 技 術 観 光 業 生 物 学 経 済 学 心 理 学 分野 統合的にコーディネートする リビングラボ人材 図:地域や生活者の統合性を起点にビジネス・技術・学術的知見 が再統合されるリビングラボの構造 (書籍「地域コミュニティへのアプローチ」図版より筆者一部改変) 総合知が前もってあるわけではなく、現場で調べ、探索する研究者や実践者が、身体・地 域により統合的に考えることを引き出されている
  26. 31 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 個別の地域活動や企業サービス、 領域ごとの政策による対応で

    バケツの穴(問題)を事後的に塞ぐ 新しい社会構造(システム)への 転換を志向することで 穴(問題)が生まれづらい状態をつくる + 個別の穴(問題) を防ぐ 構造(システム)の転換を志向 論点②社会システム転換に資する実践のあり方 e.g.本籍校に復帰できることを目標にする適応指導教室 e.g.学習計画を子どもたち自身が作るイエナプラン教育
  27. 32 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 論点②社会システム転換に資する実践のあり方 暮らしの質感(統合性)をとりこぼさない実践の理念をつかみ、理念転換を志向してハッ

    キングプロジェクトをやらないと、システムの構造は変わらない 暮らしの時間 ・主観的、生成的、多様 ・歴史的な絆、人間、世間 e.g. 自立共生的、生活世界 両方の構造に対して デザイン実践をする立ち位置 システムの時間 ・客観的、計画的、均質 ・政策的経緯、公論 e.g.操作的、システム ※Kimura et al.(2023) Social System Design Methodology for Transitioning to a New Social Structure - A Holistic Urban Living Lab Approach to the Well-being City -, Front. Sociol. Sec. Sociological Theory, Vol. 8. 実践の理念を つかむ 理念に基づいた システムハッキング
  28. 33 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 論点③自分たちで社会を変えつづけるための3要素 共創プロジェクト

    総体的・連続的に 深める問い 自律的に 動き出せる土壌 やってみる どうあるべきか のんびりする やってみる ※木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課題、(調査資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局 ※木村(2021)「リビングラボの可能性を広げるためにできること」,第3回全国リビングラボネットワーク会議基調講演 ※木村ら(2021)持続的な活動/持続的な変化に向けたリビングラボ概念の拡張,第68回 日本デザイン学会 春季研究発表大会 成果・報告・形式知の領域 ・存在肯定(安心できる) ・意欲醸成(うずうずする対話) ・セルフアドボカシー(社会を変えることができる) ・社会の問題構造をモデリング ・対話的に社会構想を問う ・ビジョン・理念を共有する ・単発でない理念を実装するメカニズム ・統合的な現場でのシステムハッキング ・統合的な価値に向けた評価サイクル ①社会を構想する統合的な問い ②システム転換に資するハッキングプロジェクト ③それらを自律的に取り組む人材